極限流空手の奥義の一つで、大きく身を引いて構え、両腕を縦に広げるモーションから自分の身長ほどもある巨大な「気」の塊を放つ技。「気」を自在に操る極限流空手の象徴である。
リョウが長年修行して身につけたこの技を、ユリはわずか一年の修行で会得した、というエピソードは、その潜在能力の高さを示す逸話(ただし、技の性能はさすがにリョウには劣る)(※1)。
※1
中国語版「Baidu百科(百度百科)」では、
「覇王翔吼拳はサカザキ家に伝わる武術であり、ロバートとロバートが数年かけてマスターしたこの技を、ユリは数週間でマスターした。それ以来、優しい少女は戻ってこなかったが、格闘ゲームに可愛い生き物が誕生した」(ほぼ原文ママ)
……という記述がある(Google Chromeの翻訳機能による)。
■閉じる
「龍虎の拳」(1992)で初登場し、格闘ゲームに初めて「超必殺技」という概念を持ち込んだ名技。CPU戦では「超必殺技伝授」というイベントをクリアしなければ使えなかったが、そのぶん、ガードしている相手さえ気絶させるほどの強烈な破壊力を誇った(ただし、ある程度乱数によるので「確実に気絶」とはいかないのが残念)。
漫画版からの出典だが、「龍虎の拳」(天獅子悦也)では、若き日のタクマがこの技で藤堂竜白の道場を半壊させ、ロバートが装甲車を正面から撃破している。また「KOF'94外伝」(鷹岬諒)でもユリが体重200kgを超えるチャン・コーハンを吹き飛ばしていることからも、この技の尋常ではない破壊力が分かる。
(「龍虎の拳」のシステム上、通常必殺技の飛び道具同様、小技の連打でかき消されてしまうが、「龍虎の拳2」では通常必殺技の飛び道具を一方的に打ち消しながら相手を攻撃できる)
超必殺技伝授! ……師匠! これ覇王翔吼拳じゃなくてファイヤー波動拳(マヴカプ版)です! 師匠!(パチスロ龍虎の拳/2013)
「SNKオールスターファイト」(2020)では、ばっちりポーズを決めてから気弾を発射する。
リョウやロバートの覇王翔吼拳は超必殺技である場合が殆どだが、ユリの場合は超必殺技よりも必殺技として登場する機会の方が多い。
必殺技である場合は基本的に虎煌拳からの派生技で、虎煌拳を撃つと見せかけて一旦拳を引き、構えなおして巨大な気弾を放つ。隙が特大なため遠距離での牽制以外には危なくて使えない。気弾が大きいためジャンプ防止にはなるが、ジャンプ以外の回避手段が多くあるKOFでは、ちょっと残念なことである。
ただし、いくつかのタイトルでは覇王翔吼拳から追撃が可能で、「KOF11」(2005)では画面端の相手に画面中央あたりから様々な連続技を決めることができ、ボイスも「覇王ちょうアッパー!」「覇王飛燕鳳凰脚!」など、非常に綺麗に決まる(「2003」でも可能だが、ボイスが途切れないため二つの技名が重なって聞こえる)。
「KOF11」(2005)ではさらに、バグで画面外へ飛び出たショー疾風限定で覇王翔吼拳×4というロマン連続技が可能。「KOF11」の超必殺技のボツ案で、画面暗転後、ユリが相手をビンタで吹き飛ばして自分は画面端まで後方ジャンプ、画面端から現れたタクマとともに親子で「W覇王翔吼拳」を放つ、というものもあった。
裏を返せば、超必殺技ではなく必殺技で用いているということは、それだけユリがこの技に慣れており、得意としているということだろう。実際、ユリは極限流一派の中では、「雷神覇王翔吼拳」「天翔覇王翔吼拳」「空中版天翔覇王翔吼拳」など、最も多彩な覇王翔吼拳のバリエーションを持っている。
「SNKギャルズファイターズ」(2000)では技後に胸を押さえて呼吸を整えるモーションが入るので、少し隙が大きい。
「MAXIMUM IMPACT 2」(2006)では、モーション中に「百烈びんた」コマンド(もしくはキックボタン)を入力すると、以降のモーションをキャンセルしてフェイントに使うことができるが、そのフェイントの隙をさらに他の(超)必殺技でキャンセルすることができる。
「KOF13」(2010)から再び超必殺技として使用するようになるが、覇王翔吼拳を放つ際にユリの掌が赤く光る。
「KOF14」(2016)では、リョウ(赤)、ロバート(青)、ユリ(ピンク)と三人で気弾の色が異なる。またリョウとロバートの気弾が相手に当たった場合爆発のエフェクトが起こるのに対し、ユリの気弾は微妙に花びらを思わせるエフェクトが現れる(ような気がする)。
「KOF15」では、MAX版の弾速が非常に速く、画面端同士でなくても(それなりに離れていれば)弱・覇王翔吼拳→MAX覇王翔吼拳が連続技になり、「ちょう!龍虎乱舞」よりもわずかにダメージが高い。
「KOF2002」(2002)ではユリの覇王翔吼拳でいくつか怪現象が起こり、ユリの覇王翔吼拳とK'のクリムゾンスターロードが相打ちでK'の体力がゼロになると、ユリとK'の両方が試合決着後も動けるようになり、短時間だがバトルが継続できる。
またメイ・リーのキーオブビクトリーの控えポーズ中の方がユリの攻撃と「相打ち」(覇王翔吼拳に当たりながらユリにもダメージがいく状態等)になった場合、やられポーズで吹き飛ぶユリがその姿勢のままで空中で固まる。この時のユリは無敵状態のためダメージは与えられず、メイ・リーが攻撃を出しすぎると画面がバグる。
ラモンのタイガーロードが覇王翔吼拳と相打ちになっても似たようなことが起こり、ユリが立ちやられポーズのまま固まってしまい、無敵状態のままラモンの攻撃が当たらなくなる。
「KOF'98 ULTIMATE MATCH Online」(2016)ではなぜか「味方の男性格闘家の攻撃力を12%増加」という効果を与えられており、八門のうち景門までを開放するとさらに15%に増加。また自分が死亡時、男性格闘家が30%の確率で怒り+300になる。さらに景門を五段階目まで強化すると飛燕鳳凰脚に変化する(情報提供:ルイージファン様)
「KOF'98 ULTIMATE MATCH WEB-EDTION」(2017)では、敵にヒットしても気弾が消滅せず、画面端に消えていくまで触れた敵にダメージを与え続ける。
「君はヒーロー」(2017)では、封印状態の敵に当てた場合、ダメージが110%アップする(「燕翼」で敵を封印状態にすることができる)。「ヒロインズ」コラボバージョンだと、さらにダメージが120%上昇する。
「SNKオールスター」(2019)では「極限流の最強奥義」とされ敵の縦一列を攻撃するほか、味方の女性格闘家に「覇王」という効果を付与することができる。専属武器を覚醒した後は、味方の「覇王」効果を持つ格闘家の「怒気(秘奥義ゲージ)」を回復する。
「拳皇命運」(2018)ではアクションゲーム故か格闘ゲーム時よりもモーションも弾速もかなり速くなり、前後の隙はほとんどないが、画面端までは届かない。またパワーアップ版だと、多少隙はできるが気弾を二連発する。
「KOFアリーナ」(2022)では、一瞬構えて右拳に光をまとわせ腕をぐるぐる大きく回してから気弾を発射する。
覇王拡散照射拳にかかれば軍事基地もこのアリサマ。「龍虎の拳」(ゴッセージ)
トリプル覇王翔吼拳でビル破壊。
「THE KING OF FIGHTERS A NEW BEGINNING」(あずま京太郎)
父のタクマは「KOF2000」(2000)の龍虎チームのエンディングで、衛星軌道上から発射された巨大ビームを覇王至高拳で吹き飛ばしてかき消すという、人間離れもは甚だしい超絶技を披露している。老いてもその強さには一遍のかげりもないようだ。
(ちなみにこの技は「KOF2002アンリミテッドマッチ」(2009)のタクマのMAX2「覇王獅咬拳」として再現されている。もう「KOF」といういより「X-MEN」の世界の技である)
同じ技でも、タクマが使うとこうなる。(「龍虎の拳」/天獅子悦也)
ユリ以外の極限流での同系統の技としては、父のタクマが使う「覇王至高拳」「覇王獅咬拳」、またタクマが「Mr.カラテ」と名乗ったときに使った「超覇王至高拳」、同じくタクマが「'99」のストライカー技として使った「超必殺・天狗至高拳」が存在する(なお、厳密には「覇王至高拳」と「覇王翔吼拳」は別の技であり、「至高拳」は「翔吼拳」の上位版でまだタクマにしか制御・使用することができず、リョウ・ロバート・ユリにはまだ伝授されていないという設定である)。
リョウも普段は「覇王翔吼拳」として使うが、「Mr.KARATE」を名乗るときのみ「覇王至高拳」を使うことが多く、「KOF MAXIMUM IMPACT2」(2006)では「皆伝奥義 覇王至高拳」としている。
またリョウとタクマは「龍虎乱舞」のフィニッシュとして覇王翔吼拳(至高拳)を用いる場合もある(タクマは覇王至高拳三連発フィニッシュという荒業を使うことがある)。
2013年の「パチスロ龍虎の拳」では、「闘神バトル」モード限定のようだが、リョウとロバートによる「W覇王翔吼拳」をアニメで見ることが出来る。
漫画ではゴッセージ版「龍虎の拳」で度々豪快な使い方をしており、リョウとロバートで相手を挟み込んで同時に放つ「覇王翔吼圧挟拳」(マックスデビルをこの技でペチャンコにした)、リョウがロバートにジャイアントスゥイングで振り回されながら周囲に覇王翔吼拳を撃ちまくる「覇王拡散照射拳」(Mr.BIGを軍事基地ごと焼け野原にした)、「覇王翔吼圧挟拳」の要領で二人の「気」を合体させてより巨大にして放つ「覇王翔吼龍虎拳」(Mr.KARATEをビルの100階屋上から弾き落とした)など、様々な応用技を披露している。
また「THE KING OF FIGHTERS A NEW BEGINNING」(あずま京太郎)では、リョウ・ロバート・ユリの三人同時覇王翔吼拳でビルを破壊する試合前パフォーマンスを見せている(そのパフォーマンス、絶対に試合で自分たちが体力的に不利になるだけやろ、などと無粋なツッコミを入れるものではない)。
一部をアニメで見ることができる「ザ・キング・オブ・ファイターズ京」
知名度が高いだけにパロディで使われることもあり、「真・サムライスピリッツ」の黒子の使う「黒子八極弾・七 覇王翔吼拳」、火引弾の「我道翔吼拳」(SVCカオス)、同「覇王我道拳」(スーパーストリートファイター4)、早乙女乱馬(らんま1/2)の「猛虎高飛車」、キルタンサス(フラワーナイトガール)の「青炎花の波動」などがある。
「闘神伝2」のカオスの「地獄轟火」は覇王翔吼拳とほぼ同じモーションでタクマのように弾を三連発するが、うち一発しか当たらない(カオスは他に闇払いや鬼焼き、大蛇薙、パワーゲイザーも隠し技として使う)。
「KOFオールスター」では、「ストリートファイター5」からのゲストキャラ・リュウに、タクマとリョウとの絆バフで「波動拳vs覇王翔吼拳」がある。
そこは真空波動拳じゃないんだ……。
この技の使い手は基本的に極限流空手の使用者に限られるが、「KOF14」の女性格闘家チームのエンディングでは、なんとリチャード・マイヤが使いそうになっていた。
ボイスは基本的に「はおうしょうこうけーん!」、もしくは「こおう……じゃなくて、はおうしょうこうけーん!」。
「KOF14」では、ちょっと聞こえづらいが「きめるぞ〜! はおうしょうこうけん!」と言っているようだ。「SNKヒロインズ」では、アレンジボイスで@「使わざるを得ない! いっけー!」、A「いっくぞー! はおうしょうこうけーん!」、B「元祖! 超必殺技!」と、すべてボイスが異なる。
極限無双、極限流紅一点、空中当身(仮)、空中覇王飛燕鳳凰脚、限定製造!、タクマ・サカザキ、<リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、