いや、これはダメだろ。
「ART OF FIGHTING 龍虎の拳外伝」のボスキャラクター。
メキシコの郊外にあるグラスヒルバレーの名家ワイラー家の五代目当主で、フレア・ローレンスの幼馴染。長身で中肉の男で、どうやら究極の力を求めているらしい。ファーストネームは不明。
傲慢な性格で、ナチュラルに人を見下す傾向があり、偶然尋ねてきた見ず知らずの格闘家を実験対象にしたりするなど、基本的にモラルは薄く、ファーストネーム不明のためか口もかなり悪い。
彼の父親ビクトリアはフレア・ローレンスの父とともにある薬物の研究を行っていたが、この薬を危険視したフレアの父親が薬を持ち出したまま研究を離脱しため、実験は中止になる。
フレアはこの父の持ち逃げしたデータをワイラーに届けにグラスヒルバレーを訪れ、事件に巻き込まれた。
ワイラーは未完成の薬品をそのまま飲み、筋肉超ムキムキ(下半身も膨張するが、上半身の膨れ具合が尋常ではない)のモンスターになってしまい、特に必然性もなく格闘家に襲い掛かる。
しかし倒されてしまうと薬を飲む前よりも体格がしぼんでしまい、精神も幼児退行を起こしてしまう。
身長180cm(変身後240cm)、体重84kg(変身後124kg)。1957年10月22日生まれの23歳。血液型O。
目標は「父の薬を完成させること」だそうだが、ゲーム中ではフレアが来る前に(つまり明らかに研究途中の)薬を一気飲みして見も知らぬ格闘家にケンカを売るなど、行動と思想が支離滅裂である。
恐らく物事を深く考えない性質なのだろう。旅行の計画を任せたら杜撰極まりないスケジュールで旅行を台無しにして、みんなに責められて拗ねるタイプだと思われるが、ひょっとしてそういうシチュエーションに燃えるのだろうか?
また、素の状態でもかなり体格がよく、薬に頼らなくても努力次第でそこそこ強くなれたはずである。泥臭い努力を嫌がるくせに、行動や思想に一貫性がなく、ドM疑惑がある。
……ひょっとして、SNK史上に残るレベルのダメ人間なんじゃないだろうか。
天獅子悦也の漫画「カーマンに指令を」では、多少知性を感じさせる台詞もあるが、自分がラスボスを勤める「龍虎の拳外伝」の漫画化なのに完全な脇役であり、台詞の数はわずか34、うち8が雄たけびである。
(ピンチになると筋肉ムキムキになって襲い掛かって返り討ち、という性質上、どうしても「クイズKOF」のラスボス「帝王(キューリッチ)」がオーバーラップしてしまう)
また彼の父の残した薬は未完成の状態で体格が1.4倍に膨れ上がる。完成後の薬はどんな代物になる予定だったのかとか、ワイラーの父はこんなもん作って何がしたかったのかなど、ツッコミどころは多い。
(このあたりは上記の漫画「カーマンに指令を」で大幅に設定が増補されているが、ゲームにおけるワイラーの行動と噛み合わない部分が出てくるのは致し方ないことだろう)
純粋に効果が今の三倍になるとすると、完成した薬を飲むと身長7.2メートル、体重336kgに変化することになる(数学的に考察すれば、体重はさらに増加して5,376kgになる)。
格闘家などより地球防衛軍に喧嘩を売ったほうが良いデータが取れそうな気がするが……。
またボスキャラなのにファーストネームが分からないことで影が薄くなってしまっている。公式ストーリーで父親の名前が判明しているにもかかわらず、本人のフルネームは登場しない。
ワイラー自身は格闘技は身につけておらず、基本的に攻撃は単純に殴る蹴るの野趣あふれるもの。基本連続技も、浮かせてから左裏拳連打など、単純なものが多いが、牽制技の立ちA、+A→+Aのコンビネーションが非常に強力で、しかも巨体ゆえか「相手の投げ技が無効」という特種効果も強い。しかし下段攻撃を持たないためか、体力面でリードされると巻き返しに苦労する。
倒されると薬で膨張した筋肉が縮み、なぜか薬を飲む前よりも痩せ細ってしまい、精神も子供時代に退行してしまう。
各種移植版ではタイムリリースや隠しコマンドでプレイアブルキャラクターとなるが、基本的にCPU戦ではデモがない。ネオジオCD版のみ、エンディングが存在する。
追い討ちヒップアタックや、筋肉モリモリの勝利デモ、それでいてB級な悪役面、サイトロン攻略ビデオでの下品な喋り方など、かなりのインパクトがあり、ファンからの愛称は「アミバ」。
「外伝」のストーリーは謎が多く、なぜアミバワイラーが究極の肉体を求めたのか、なぜフレアの父がアミバワイラーにデータを届けるよう遺言したのかなど、よく分からないところが多い。
アミバ自身はフレアを気に入っている(惚れている?)らしく、サイトロンの攻略ビデオでも「このままずっと側に置いてやる」などと発言している。フレアにも薬を飲ませてモンスター夫婦になるつもりだったのだろうか?(漫画版では自分とフレアの間にできる(予定の)子供に薬を飲ませると発言していた)
フレアも精神退行を起こしたアミバを放っておけず、彼の面倒を見る覚悟のようだ。
担当声優はモンスター前塚氏。