ファイナルファンタジー10

2001年7月19日発売/スクウェア/95点

 泣いたさ。ああ、泣いたとも。
 FFシリーズは、ネットゲームである11以外、PS2までの作品は全部プレイしてますが、一番泣きましたね。
 ラストバトル間際の「ブラスカの究極召喚」戦あたりからもうヤバかったんですが、特にエンディングは涙腺が完全決壊。こんなに泣いたゲームは、「EVE -burst error-」以来久し振りでした。

 もちろん、この後に「FF10-2」という、FF史上最も論議を呼んだギャルゲー化の先鞭として(以外にも色々と)批判があることは知っています。しかし私は、「10-2」は無論、「FF7」や「FF8」に比べても遥かにこちらの方が好きです。
 よくシナリオやグラフィックが話題に上りますが、私が最も感心したのが、その解りやすいインターフェースと、常軌を逸した作りこみ。
 なにせ、街で歩いている人の姿が、一人一人みんな違うさ! それも3Dで!
 ティーダをはじめ、ストーリーに関わる主要人物全員にドラマがあるのが本作の大きな特徴ですが、ゲームに登場する脇役からモブキャラに至るまで、みんなにそれを感じるんですよ。
 これは主人公だけが勝手に箱庭世界で暴れているのではなく、意志の大小や方向性の差はあろうとも、世界全体が「シン」の打倒に向けて同じ方向に動いている、それをプレイヤーに感じさせる、シナリオライターの腕でしょうね。
 このあたり、後に「FF12」をクリアした時の、なんとも言えない「空虚な感動」とは、えらい違いです。
 サブイベントが豊富で、更にそれがシナリオの本筋に効果的に絡めてあるのも好印象。本編だけでは解りづらい人間関係をフォローしてあるので、一層本筋に没入できます。特に、ジェイクとアーロンに関係するものは良かったですね。

 また、本作はなかなかのヤリコミゲーでもあります。
 色々とミニゲームやヤリコミ要素はあるんですが、10といえばやはりブリッツ・ボールでしょうね。
 昔「魁!男塾!」に出てきたモンゴルの妖しい格闘技「水龍鞄球」をそのまま球技にしたようなスポーツで、様々な独自のルールが設定されており、これだけ抜き出して「シンプル2000シリーズ」あたりで売り出しても良さそうな出来栄え。難しいけどね。

 もちろん、グラフィックの良さはお約束。
 年たった今見ると、流石に少々古さを感じますが、それでも「旅情」というか、「ああ、旅をしているんだな」という独特の感覚は、FFシリーズの中でも最大級です。この辺、3Dであることの最大の利点でしょう。どうも「FF7」「FF8」の時は感じられなかったので、余計に嬉しかった記憶があります。
 音楽の素晴らしさも相まって、思わず大草原の真ん中に立ち止まってボーっとしたり、チョコボで走り回ってみたり……ああ、なにやってんだ俺は!

 さて、RPGということで、重要なファクターは「シナリオ」ともう一つ、「戦闘」。
 シナリオがプラス方向に突出した本作に置いて、もう一つの柱石であるバトルはどうなのかというと、残念ながらマイナス方向に突出。
 とにかく、キッツいのなんの。バランスが凄まじく悪い上に、新要素である「スフィア版」の使い勝手の悪さもあって、ストレス溜まりまくりです。
 敵の特殊能力を低確率でもレジストする能力を、プレイヤー・キャラクターは与えられていないらしく、盲目だの毒だのにかかりまくって、パーティーはさながら野戦病院の風貌に。特にミヘン街道がかなりきつかった記憶があります。
 また、最近のFFの特徴だと思うんですが、フィールドが変わると敵の強さもアホみたいに変わる、というヤな点もしっかり継承。ラストダンジョンで、いきなりベヒーモスに嬲り殺された時は、どうしてくれようかと思いました。

 シナリオと戦闘、どちらに主題を置くかで、ガラリと評価は変わってしまいそうな本作。実際、本作の評価は人によって真っ二つですが、私は戦闘の悪さ以上に、シナリオに惹かれました。
 ごくごく、単純なことなんです。
 この「ファイナルファンタジー10」以上に泣けたRPGには、この年間、未だに出会っていません。
的な意味で泣けた、というなら、いくらでもあるんですが……)

(2006.08.15)