「主題歌だけそのままに、シナリオぶっこ抜いて、一から作り直したまえ!ニャン★」
もうお分かりだと思いますが、このレビューにはかなり感情的な文章、というか電波が含まれています。 ご注意ください。 |
……と、ちょっと電波入ったキム・カッファン師範のボイスで頭の中に響き渡ったこの言葉が、本作をプレイしている最中の正直な感想ですた。
いや、まぁね。これやってたら、師範じゃなくても、狂うよ。
なんと申しましょうか。取り繕っても仕方ないんですけど、普通に面白くないです。
ドリームキャストで出た前作「グランディア2」は、ツッコミどころは確かにあったし、ストーリーも小粒でしたが、それなりに楽しめはしました。しかし、本作は最初から最後まで、ものの見事に電波だらけです。
まず、プレイして最初に思うのは、とにかくムービーが長すぎ。プレイ時間の最初の45分のうち、30分(体感)がムービーってのは、プレイヤーのプレイ継続心理をつつこうとする、高度な心理学かなにかでしょうか?
また、「空に憧れる飛行機少年」というのが本作の「仮のアピールポイント」だから仕方ないとは言え、スタジオ・ジブリ作品に影響されすぎ。「天空の城ラピュタ」を「紅の豚」で叩き割ってカケラをただ投げつけたような内容は、正直新鮮味がなくて、カケラの投げ返しようがありません。
また、DVD-ROM二枚組というボリュームなんですが、ムービー以外、どこにそんなに容量を使ってるのか全く解りません。ロードは長いし、シナリオはぶっちゃけ短めだし、前作ではあったクリア後のアフターストーリーも無し。もちろん、クリア特典も無し。
とにかく、何もかも中途半端、というのが正直な感想。
ある程度ストーリーが進むと、飛行機で自由に世界を飛びまわれるのですが、いける場所が少ねええぇぇっ!
物凄く綺麗に作りこんである湖や大きな島などのマップは、ボタンを合わせると丁寧な説明が表示されるのですが、表示されるだけで入れません。出来るのは飛びながら見下ろすことだけ。
ああ、最初はなにかイベントを入れる予定だったんだけど、予定だけで吹っ飛んだんだな〜、というのがモロバレ。もちろん、地上マップや街中にも、そんなのは山のようにあります。
マップ製作に三年かけた、というのが本作のウリの一つですが、作っただけで終わっちゃいました。
かといって、ストーリーに絡むのはダンジョンばっかりで、この探索がまた死ぬほど面倒くさい。雑魚モンスターの強さの配置が超デタラメで、ラストダンジョンに至ってはラスボスよりザコのほうが遥かに驚異です。なんじゃこりゃ。
それでも、ストーリーが秀逸ならまだ救いがあります。戦闘バランスがデタラメでも「良作」として記憶に残るFFみたいな例もありますから。
……ですが、果たして誰の幸福のためにこうなってしまったのか、これがまたシステム以上に超デタラメ。
空にあこがれる少年が母親同伴で冒険という時点でかなりキレてますが、主要登場人物が一人残らず見事に「電波」。
……いや、冗談でもなんでもなく、本作は、ゲーム史に(輝かなくてもいいのに)燦然と輝く、特上電波キャラの見本市です。
これを「絶対に悪意を持って書いてるだろう」と思った人は、ぜひ、実際にプレイして確認してください。
少なくとも、私にはこれ以外の表現は不可能なので、実際に確認してもらうしかないです。
基本的に、あるキャラが発信した電波に、別のキャラが電波で応えながらストーリーが進行し、しかもほとんど状況説明がないため、まともな思考能力を持つプレイヤーほど、シナリオの超展開に置いていかれます。
(アルフィナ「あの子の手、凄く冷たかった!連れて帰ってあげればよかった!どうすればいいの?」→ユウキ「飛ぼう。飛べば答えが見つかるさ」のやりとりが特に有名)
シュミットが突然、大泣きし始めたときなんか、マジで精神的に路頭に迷った気がしました。
ついでに言うと、アルフィナやヘクトなど、何人かの主要キャラは、その電波っぷりをわざわざ引きずり上げるかのように、声の演技が壮絶に悲惨なので、ゲンナリ具合もブッチギリのスピードキングっぷり。
ちなみに、この壮絶な声優の演技に対しては、後に発売された「グランディア3 ファイナルガイド」(エンターブレイン)に収録されたインタビューで、想像を絶する事実が明かされています。
高橋(秀信)
「台本をばんっと渡される、役者さんはその演技をやるわけですよ。
そこで演技指導がどうとかって話はそんなに重要じゃない。
その本の中で、役者さんがどうキャラクターを作るかが重要なんです。」
(中略)
キャラクターは役者が生み出すんですよ。生み出して、出た瞬間にキャラクターになる。
イメージに合う、合わないって議論はないんですよ。」
(中略)
役者さんと話しているときにこういうキャラクターです、という話は無いんです。
まず、資料があって、こういう感情なんです、みたいな話を5秒くらいするだけです。」
うわあああああああ! キャラクターの説明も演技指導も一切無し! 責任を声優になすりつける気かぁ!!(笑)
要するに、製作者側に「どういうキャラクターにするか」という意図が全く無かったということです。正直、こんな信じられない勢作姿勢はありません。脳を使わずにダラダラと作り続けてた、としかいいようがない。
こんなことやってたら、そりゃまともな演技ができるわけないじゃん……。
そして、サターン最後の名作とされる「グランディア1」を手がけた故・本谷監督の、「3」に対する評価がコレ。
初代のスタッフが再結集したようなイメージで広告が出ていたとすれば、それはズバリ嘘っす(笑)。
まぁ、販売側にも色々と思惑があったのでしょう。ジャロに訴えられなきゃいいけど。
まぁ、3が失敗作かどうかはともかく、作家が変われば作風も変わるものだと考えてください(シリーズものの映画でも、脚本・監督が変われば印象も変わるのといっしょです。)
3のストーリに対する俺の率直な感想ですが……なんだか思いつきだけとっちらかったままで時間切れがきたような(^^;。
個人的には、新スタッフ金田監督の持ち味に期待していたぶん、ほとんど2と同じ作風に終わってしまっているのが残念です。
(なんか金田監督は、ゲームアーツさんとの距離を保ちながら仕事をされていたのかな〜。プランが空回りしてます。)
というわけでストーリーに対する俺の個人的な採点は0点ですゴメン高橋さん。
自分が生み出した作品に対する思い入れもあるのか、かなり手厳し目、というか、ぶっちゃけ全否定。
なんか、プレイしている最中から「ドラクエ8」の時と同じ失望感を感じてしまいました。一応、下唇を噛み締めながらもクリアはしましたが、二度とプレイしたいとは思いません。
ああ、本作を開発したゲームアーツ、良作を作ることで有名だったのになぁ……。なにがどう間違ってこんなんなってしまったやら。
(2005.12.19)