大ヒットしたCAVEのシューティング「怒首領蜂」(どどんぱち)の続編。……だったんですが。
本作発売後、一年も経たないうちに「怒首領蜂 大往生」が発売され、半ば無かったことにされてしまった不遇の作品です。
どういう経緯があったのか詳しくは知りませんが、本作はCAVEではなく、台湾のメーカーIGSがCAVEのライセンスを受けて製作しカプコンが販売した、いわば「異母兄弟」。
聞いた話によると、CAVEは本来「プロギアの嵐」を最後にアーケードから撤退する予定だったんですが、他社発売の本作があんまりなデキだったため、CAVEが再奮起し「大往生」を製作、以降「エスプガルーダ2」「虫姫さま」「鋳薔薇」「ピンクスウィーツ」と次々にヒットを飛ばすことに(一応付け加えておくと、以前からCAVEとIGSは親密な関係にあった)。
「怒首領蜂」のプロデューサーである池田氏が、本作について「自分の息子をレイプされた気分だ」と、過激な感想を述べたとも言われており、コアなシリーズのファンの間でも、あまり評判は良くないようです。
さて、実は私もけっこうコアな「首領蜂」シリーズのファンでして、「首領蜂」で人生最初の「シューティング・ハイ」状態を経験して以降、続編は全てプレイしています。とくに「怒首領蜂」は、財布の紐が緩みっぱなしでした。
そんなドンパチフリークス(自称)の私から見ると、やはりこの「怒首領蜂2」は、CAVEが製作した他の兄弟たちとは、少々毛色が違います。
システムはボムが二種類の選択性になったくらいで、あまり変わっていません。最初の面のボスとして、前作のラスボスとしてプレイヤーを泣かせに泣かせた首領蜂が出てきたときは流石に驚き、その首領蜂が呆気なく轟沈していく様に超絶に驚きましたが、2面以降は背景も敵機の編成・攻撃も前作「怒首領蜂」のまんま焼きなおしで、新鮮味は殆ど無し(グラフィックは少々硬めに書き直されていますが)。
また、私的にはこれが決定的だったんですが、各ステージのボスに体力ゲージがない! これは怒首領蜂の続編としてはいただけません。
「台湾のセンスで怒首領蜂を製作したらこうなっただろうな」、という歴史のifを目の前で見ている感じです。
なるほど、確かにファンの受けが悪いのも解るような気がします。
ただですね。ドンパチフリークスとしてではなく、一介のシューティングゲームファンとして本作を見ると、案外良く出来たゲームなんですよ。
スタート時点で初心者モード(難易度低、四面で終了)と通常モードが選択でき、初心者モードは私でもクリアできるような難易度。また、首領蜂シリーズといえば常軌を逸した弾幕で有名ですが、本作は通常モードでもあまり極端な難易度は感じませんでした(流石にラスボス・未知秘蜂は情け容赦ありませんけど)。
また、これはIGSのセンスなんでしょうが、ボスのネーミングが素晴らしい。
英語名の方はシリーズの面影が少しありますが、漢字の肩書きの方がミン南語センス全開で楽しいです(ミン南語は台湾の公用語)。
母體蜂后とか狩殺狂蜂とか、日本語じゃなかなか出てきません(笑)。
シューティングとしてはなかなか面白いものの、もうゲームセンターでは殆ど見ることが出来ない本作、やはり「怒首領蜂」の名を冠してしまったことが、その悲しい運命の始まりだったのでしょうね。
販売のほうはカプコンだし、どうにかPS2でカプコンから発売してくれないかな、と、秘かに待っているのですが。
PS.「DEEP-BLUE」戦のときのBGMってどこかで聞いたことがあると思ってたんだけど、あれ「アインハイダー」のボス戦のときのBGMじゃなかったっけ?
それ以外にも、本作のBGM・効果音は、少々使い回しが多いような気がします。
(2006.05.22)