正義の御旗の元に悪の野望を打ち砕く、美少女戦略SLGの正伝第四作。
今回は、大神隊長の独壇場です。
主題歌からシナリオ、果てはGD-ROMをラジカセ(せめてCDプレイヤーとか書け)にセットしてしまったときのエラー・メッセージまで、大神一郎目立ちまくり。
大神フリークにはたまりませんぞ!
……申し訳ありません、少し落ち着いていきます。
「帝都編」(1〜2)、「巴里編」(3)と続いた、大神一郎編「サクラ大戦」三部作の完結編。
これまでの流れを締めくくる作品に相応しく、「帝都」と「巴里」、両方の「花組」のメンバーがエンディング対象のヒロインとして総出演という、非常に豪華な一本。
な・ん・だ・け・ど。
やはり「3」から一年未満という恐ろしく短い開発期間で、13人というヒロインのストーリーを長尺で作りこむのは無理があったのか、ストーリーのボリュームがかなり短いです。
(「3」の発売日が2001年3月22日、「4」の発売日が2002年3月21日なので、実質的な開発期間は半年くらいだと思われる)
このシリーズの最大の特徴は、一本のストーリーをエピソード毎に分割し、アニメ方式で「起承 ⇒ 転(バトル) ⇒ 結 ⇒ 予告編 ⇒ 次回」という流れに沿って製作されていたこと。
一作目が10話、二作目が13話、三作目が11話と、かなりのボリュームがあったんですが、この「4」では、そういうアニメーション的な構成概念自体がなく、場面転換時に出てくるセーブポイントが、かろうじてその名残を残しているのみ。また、各ヒロインに特化した大エピソードがなく、物語が淡々と進んでいくのも、ファンとしてはあまり頂けません。
(元々ストーリー展開には無理のあるシリーズなので、そこは突っ込んではいけない)
もちろん、前作までの三作で各ヒロインを主題にしたエピソードを出し尽くしていたから、という見方もできるでしょうが、やはり全体的なボリューム不足は否めません。
前作までのように、魅力的な敵キャラクターが組織で行動、ということもなく、実質的に敵はたった一人(長安は長安で、味のある、いいキャラではあるのだが……)。アニメを意識したムービーがふんだんに使われるということもなく、イベント用の一枚絵すらあまりありません。このあたりもボリューム不足を感じさせる一因でしょうな。
開発期間が少し伸びてもいいから、新キャラの一人くらい入れて欲しかった……。
まったくの余談だが、私はこれを購入した際、プレイする前にある人にこれを大見得切って勧めて買わせ、友人を一人失った。
ま、どうでもいい話だが……ちくしょう。
あえて言うなら、私のような、一度は頭から爪先まで「サクラ」にどっぷりと沈んだ人むけの、「締めくくり」的なファンアイテムでしょうね。どこかのレビューでみた、
「これまでの「続きもののアニメ」という感覚ではなく、「スペシャル番組」という位置づけ」
という解釈には感動しました。まさしくそのとおりです。
エンディングの米田中将のムービーは、「サクラ1」から「サクラ3」までを遊びつくした人への「お礼」の意味合いが大きい気がします。
(実際、あのムービーで私は泣きました)
安定した作品ではあり、決して悪いゲームではありませんが、「サクラ」未体験のプレイヤーを開拓するには、やや力不足&ボリューム不足。また、シミュレーションとしての難易度も低いため、本格的なSLGを求める人にもお勧めは出来ません。
大神一郎とともに「サクラ大戦」を経験してきたプレイヤーだけに贈られた、グランドフィナーレなのです。
(2005.10.12)