格ゲー野郎

2000年2月17日発売/インクリメントP/69点

 自分だけの格闘ゲームを製作できる、ゲーム・コンストラクション(ゲーム製作ツール)の一本です。

 さて、ゲーム・コンストラクションといえば、私は過去、紹介済みの「RPGツクール」「デザエモン」他、多くのゲーム製作ツールに野心だけで挑戦し、その度にシューティングゲームのザコ敵よろしく、ものの見事に撃墜されてきました。
 しかし、この「格ゲー野郎」はその中でも割と楽しめた一本。

 特徴は、なんといっても「手軽さ」。
 私が他に挑戦した格闘ゲーム製作ツールには「3D格闘ゲームツクール」「格闘ゲームツクール’95」などがありますが、それはそれはもう、気が遠くなるような作業の世界でございまして、キャラクターの容姿はもちろん、細かなフレーム制御(1フレームは1/60秒)、攻撃判定・食らい判定の設定、攻撃力の設定など、凝りだしたら一つの技だけでゆうに休日が終わってしまうのに、それが通常技から必殺技、コンビネーション、超必殺技と出揃えば貴方、これはもう一種の学問であるとすら思えてきます。
 ところが本作は、予め用意された大パーツを組み合わせるだけという手法に留めることで、それらの煩雑な作業をばっさりカット。達成感のほうは置いといて、とりあえず簡単に満足感に浸れるほうを選んだ、というわけです。

 用意されたキャラクターは、熱血主人公、クールなライバル、艶っぽいチャイナのお姉さん、女子高生二人、ゴッツイ番町、そしてロボット。
 キャラクターはカラーが変更できるだけで、基本的に姿かたちは変えられません。その代わり、豊富に用意された別パーツのマスクをかぶせることで、別キャラにすることは可能です(このマスクは自分で製作可能。デフォルトでもGGXの「ファウスト」や、KOF「タクマ」の天狗面があったりする)。
 これらのキャラクターに、予め用意された通常技、必殺技、超必殺技の中から気に入ったものを選んでくっつけるだけという、実にお手軽。攻撃力やフレーム等、他のややこしい設定は一切ありません(その割りに、「格闘ゲーム」そのものとしての出来も一定レベルにあると、私は思ってますが)。
 また、勝利メッセージ画面も作れます。枚数に限界があるので、大層なものは作れませんが、この勝利メッセージ画面を上手く並べると、ストーリー形式のゲームの製作も可能です(テキストがコントローラー入力なのは仕方がありませんが、そんなに文字数が入らないので、逆に入力が苦にならなかったりします)。

 そうそう、なにか提携でもあったのか、本作ではデ・ジ・キャラット/ブロッコリーのイメージキャラクター、「でじこ」も登場します。ステージのモブキャラとして配置したり、勝利メッセージ画面用の一枚絵が用意してあったりで、自作ストーリーにも編入可能。
 ……なんですが、どうせ出すならクリエイト可能キャラとして登場させて、ばんばん必殺技とか撃たせて格闘ができるようにしてれば、本作ももうちょっと売れたと思うんですけどね。残念です。
 個人的にはインクリメントP繋がりで、「大運動会」の神崎あかりとか出してくれたら、もう一本買ってた。
 ウソです、ごめん。

 原色がキツく、画面が目にあまり優しくないのが少々残念。また、「手軽さ」は魅力なのですが、反面やはり技やキャラの数が少なく、お世辞にも「一生遊べる」とは言えません。購入するのならば、あくまでも「手軽に楽しむ」ことを前提にしておきましょう。

(2006.01.14)