RPGツクール スーパーダンテ

1995年3月31日発売/アスキー/70点

 いやはや、ゲーム一本を作り上げるのがいかに大変なことか。
 私も、このコーナーで割りと好き勝手書いてますが、かつては同人ゲーでシナリオとプログラムスクリプトを書いてた前科がある身でして、一応、ゲーム製作の大変さの端っこくらいは理解しているつもりです。
 私の場合は、ネットで公開されているフリー・エンジンを使い、動かすといっても設計図スクリプトを書くだけなのですが、その「書くだけ」がまた大変。
 最初から本格的にヴィジュアル効果を駆使して動かそうなんて贅沢は思ってなかったんですけど、実際やってみるとそれ以前の問題。まともにキャラが立たねぇ! 背景が変わらねぇ! あげくにBGMも流れねぇ!

「貴様ぁ! なぜ俺の指令通りに動かぬ!?」
オレのスクリプトが間違っているというのか雑種キサマ!?」
KUAAAクウアアア、C++もVBも覚えとらんわぁ!」
「消えるな止まるな動けぇぇッ!」
「貴様のシナリオがつまらんから動かんのだ!」
「てめぇ、どさくさに紛れて今なんて言った!?」

 ……とまぁ、最初は作業中、ずっとこんなヘンなテンションでしたね。一名、変なのまじってますが。

 今思えば、この「RPGツクール」に触ったときも、似たような感じだったような気がします。
 モンスターの絵やBGM、効果音、魔法の効果絵、キャラクターなど、最初から全ての素材が用意されているところが唯一違いますが、とにかくややこしい操作に散々悩みながら、作業をするのは一緒。
 最初こそ「壮大なストーリーの感動作を、この私の手で編んでやるぜフハハハハ」「世界よ、泣けい」とか考えるんですけど、二時間後には大抵挫折。「獲らぬ狸の皮算用」とか「絵に描いた餅」というのはこういうのを言うんだ、と、実地で実感できます。
 頭の中でイベントを考えるのはいいんですが、それをモニタ上で再現する操作がややこしすぎ!
 これでフラグとかが絡んでくると、頭ン中スパークですよ。天才はそれが解らんのです。
 結局、最後はスライム一匹倒したらレベル99とか、最初に覚える魔法でどんな敵も全滅とか、挙句の果てには物凄く広い世界の中で、いるのはボクとラスボスの二人だけという「失楽園」という言葉をそのまま具現化したようなクソゲーの出来上がり。

 とにかく、確実に必要なのはストーリーテラーとしての能力以上に、情熱とヒマ。ただの設定製作マニアで根気の無い私のような人間には、絶対むきません。
 現在、GBAからPS2まで、実に多くの機種で発売されているこのシリーズ。セーブデータが持ち歩ける機種なら、自分で作ったRPGを友人にプレイしてもらうことも可能です。
 本格的に製作しようと思えば、膨大な時間と根気がいりますが、とりあえずゲーム製作の入門用として購入してみるのもいいかもしれません。君が文句を言っているゲームを製作するのは、こんなに大変なのだ!と思い知ってみるのもいいでしょう。
 主に俺が。