「3vs.3」のチームバトル形式が大きな特徴であり、数多い格闘ゲームの中でも稀に見る長期シリーズである「KOF」。その中でも、特にずば抜けて名作だった「KOF'98」(以下「'98」)のリメイク版です。
まともに遊べるのが他には無いとは決して言いませんが、キャラ数、システム、操作感覚、爽快感、難易度等において、(私なりに)ほぼ完璧な格ゲーだった「'98」を10年ぶりにリメイクするというのだから、「期待するな」というほうが無理というものです。
で、その「'98」に、様々なアレンジや復活キャラ(旧「'98」には登場しなかった旧キャラ)らを加えた結果、
「まあ……(五秒)……こんなもんかな?」
という感じ。名作を基にしての二年間という開発期間を考えれば、少々物足りないというか、やはり名作には下手にメスを入れないほうがよかったと思えなくもありませんが、逆に言えば、元が名作なので、少々デキが落ちても、それなりに遊べるゲームにはなったかな、と。
元々「'98」が何でもアリの「お祭編」で、基本的にストーリーが存在せず、エンディングも各チームごとに一枚絵があるだけなので、そのあたりに多大なストレスを感じなくていいのは、本当にありがたいことです。
登場キャラクターは、旧「'98」から引き続き登場する
の各キャラクターに、復活組の
を加えた全60キャラクター(裏庵、裏レオナ、オロチ、ゲーニッツはアーケードではCPU専用のため除外。家庭用ならば使用可能なので、家庭用は64キャラクター)。
「KOF'94」から「KOF'97」までに登場したキャラクターを、ボスキャラ・隠しキャラ関わらず、全員突っ込んでます。
これだけの数で「キャラクター間の強さのバランスを取れ」というほうがそれこそ無茶苦茶な話ですが、旧「'98」ではそれをやってたってのがまたすごい話で、「KOF」の過去から現在に至る全作品を省みてみれば、それこそこの世に「神」が降臨するのと同じレベルの奇跡なんですが、いったいどんなクスリを試したのか非常に気になりますが、それは旧SNKの話なので脇においておきます。
全てのキャラクターに多くの修正が加えられ、キャラによっては新技が追加されたりして、キャラバランスは旧「'98」とは完全に別物。個人的には、やはり七枷社(表/裏どちらも)がかなり弱体化したのが痛いです。今でも充分に強いキャラではあるんですが、適当にブン回すだけで勝てた時代は終わりました(T_T)。
通常技をガードされた後に、確定でチョイの鳳凰脚を食らうとか、ありえねぇ……(T_T)。
あと、やはりクラウザーが強いですね。上段ブリッツボールがしゃがんで避けられるのと、身体が大きい(食らい判定が大きい)くらいしか弱点がないんじゃないでしょうか。レッグトマホークが何気に強いし、投げ技がたくさんあるので至近距離での切り替えしにはことかかないし、なによりカイザーウェーブが強い! 皇帝陛下の臣下が増えたのも、わかる気がします。
さて、リメイクを担当したのはSNKプレイモア。この会社の格ゲーの特徴は、なんといっても超絶にテキトーな作りが目につくこと。
プレイして一番気になったのが、旧作には無かった、なんともいえない「モッサリ感」。なんか、ボタンの反応が妙にずれるんですよね。本作に使用された「TAITO Type X」は、「ストリートファイター4」で使用された「TAITO Type X2DX」の前世代基板。「スト4」でのわずかなタイムラグの話もあり、基板そのものの問題なのかと思ってましたが、どうも家庭用でも同じくらいのラグがあるようなので、やはりソフトの問題なんでしょうか。
また、餓狼キャラや龍虎キャラは、一部のエフェクトや効果音を原作のほうから引っ張ってきてるんですが、効果音はともかく、やっぱりエフェクトくらいは描き直したほうがいいような気がするんだわ。
旧作ファンへのサービスをするのは、SNKプレイモアにしては良い心がけだと思うのですが、どこかそれがずれてるのも毎度のことで、ゲームの中で浮いちゃったら、あまり意味が無い気も……。
そして、「KOF」とSNKプレイモアのソフトについてくる毎度御馴染みのバグももちろんあり。
今回のバグは「ダウンしている相手に飛び道具を撃ち、その間にガード不能技を空振りすると、その飛び道具がガード不能になる」というもの。これ、CPUもたまに使ってくるので、ひょっとしたら気づいてたけどそのまま放置したのかもしれません('94でも似たようなバグがあった気がするが……)。けれど、やはり対戦で使われるとムカつきます。
この様なバグは、普通、家庭用に移植する際に訂正されるものなんですが、本作の家庭用は、たいへん頑張っていろんなヤリコミ要素をくっつけたぶん、正比例してバグも増えたという、もう笑い話にしかならない状態で、そろそろネオジオ博士を解雇したほうがいいような気もするのですが大きなお世話ですね。
まあ、もともと開発の人数が少ないらしいので、仕方がないっちゃないんですけどね。本作はなんと、たった6人で作ったって話もあるくらいですし。
さて、本作はやや慣れるのに時間かかりますが、決して悪いゲームじゃありません。が、私はプレイするなら旧「'98」で遊びます。ごめんなさい。
(ちなみに、家庭用「KOF'98UM」では、ネオジオ版の旧「'98」もプレイできます)
(2008.08.20)