カプコン ファイティング・ジャム

2005年6月16日発売/カプコン/33点

 さー、カプコン会心の一撃、「FightingJam」です。
 販売がカプコンとはいえ、本作の開発はカプコンUSAです。

 そこのあなた。今、なにか思い出しました? なにか思い出しましたね?

 そう、「ストリートファイター・ザ・ムービー」「ファイナルファイト・リベンジ」を開発した、あのカプコンUSAです。
 正直、最近のカプコンについては余りいい噂を聞かないのですが、そりゃあこんなゲーム出してりゃしょうがないわな佐伯さん。佐伯さんって誰だ。

 この作品、元はアーケード、つまりゲームセンター用に製作されたゲームです。正直、発売前から評判は悪く、ゲーセン業界でも評価は微妙だったんですが、どうにもカプコンの営業が口八丁手八丁で各所にムリヤリ押し込んだらしいです。
(よくあることなのかもしれませんが、特にカプコンはこういう話をよく気がするのは気のせいでしょうか。三万本しか予約が入らなかった某作品を、無理やりショップに七万本押し込んだ、とか。噂ですけど)

 で、どうなったかというと、最初の数日こそインカムがあったものの、あっという間に閑古鳥が泣き始めました。循環の早い最近のアーケードゲームの中でも、プレイヤーが離れた速度ではダントツじゃないでしょうか。そりゃまぁ、ゲームである以上、良し悪しの判断は免れえませんが、こんだけ叩かれるゲームも珍しい。

 肝心のゲーム内容のほうは、どうにも手抜きくささが隠しきれてません。
 カプコンの人気タイトルから人気キャラクターが総出演!というコンセプトも、「vs.SNK2」が出た今となっては少々食傷気味なんですが、キャラクター数も21人と少な目。しかも、カプコンのキャラの選別基準が完全に謎。特に「ウォーザード」が理解しがたく、なんでヌールが出てるのにタオが出てないの?と、友人はハンカチを噛んで嘆いておりました。

 バトルシステムは統一されておらず、各キャラクターは、その出身タイトル独特のシステムで戦います(ストVならブロッキング、ストUならスーパーコンボと高攻撃力、ヴァンパイアならチェーンコンボ他、といった具合)。
 ……なんだけど、どーもなー。ヴァンパイアキャラの、アカラサマな旧作CGの使いまわし(しかも、他のゲームのキャラの大きさに合わせて単純に拡大しているので粗い……)を見てると、システムを作りこむのが面倒なんで、キャラを他のゲームからそのまま突っ込んだんじゃないかと思うのだが……。

 で、このゲーム唯一の新キャラである「イングリッド」が、またクセモノ(笑)。姿かたちはどう見ても15歳前後なんですが、一人称がなんと「ワシ」。口調も明らかにお婆さんで、どの年代のどういうポイントのファンを掴もうとしたのか、全くわかりません。
 また、動きがSNKキャラのパクリくささ満点。このゲームの開発スタッフの「やる気」を、まざまざと見せ付けてくれます(ホントかどうかは知りませんが、旧SNKのKOF開発陣が製作に参加したって話もあります。本当なら、SNKくさくて当然なんですけど)。
 とまぁ、キャラクターがこんなもんで、対戦バランスは悪いです。多分、バランスとろうともしてません。
 個人的に、このゲームで褒められる部分は、「ストリートファイターV 3rd」からユリアンが出た、ただそこ一箇所だけですね。正直、同じメンツが数々のゲームで焼きなおしに焼きなおされいてるので、もうとっくのとうに飽きちゃった、ってこともあるんですが。

 さて、なぜこんなクソゲーができてしまったのか、経緯というか裏話を、ちょっとで耳に挟みました。
 このゲーム以前、「カプコン・ファイティングオールスターズ」というゲームの企画がありました。やはりカプコンにおけるKOFみたいな位置づけのゲームだったのですが、情報誌などに大々的に取り上げられていたにも関わらず、どういうわけか発売直前まで漕ぎ着けながら、開発中止の憂き目にあった不遇な作品です。「ジャム」の新キャラ「イングリッド」は、もともとこのタイトルの新キャラになる筈でした。
 で、ここからが大人の事情。ゲーム自体は開発中止になったものの、完成前にあらかじめキャラクター商品のパテント契約を結んでしまっていたためにちょっとごたごたがあり、その辺の収拾を付けるために、カプコンUSAの名前を使って適当にデッチ上げたのが「ジャム」だ、という、あくまでです。
 噂ですから、ことの真実は知りません。老舗であるカプコンがそんなことするか、とお思いの人も居るでしょう。
 例え「サイバーボッツ」や「ヴァンパイア・ハンター2」「同セイヴァー2」といった先例が山ほどあってもあくまで噂、だよネ♪