CAPCOM vs.SNK 2

2001年9月13日発売/カプコン/94点

 1990年代に2D格闘ゲームの雄として台頭していた2社、カプコンとSNKの格闘ゲームのキャラクターが夢の競演をするシリーズの二作目。
 今でこそ「ドルアーガ」の新作が「不思議のダンジョン」で出たり、「ゼルダの伝説」をカプコンの関連会社が製作していたり、そのものズバリのタイトル「ナムコ・クロス・カプコン」が出たりと、メーカーの垣根を越えたコラボレーションというのは珍しくありませんが、これの一作目が出た当時は、大変な衝撃を受けた記憶があります。
 ふたを開けてみれば、予想通りというか大まかには「ストリートファイター vs KOF」だったわけですが、私を含めたSNKゲームのファンにとっては嬉しい衝撃だったのではないでしょうか。

 そして本作はその続編。
 よく見ても「荒削りな野心作」だった前作よりもシステムが洗練され、フリーレシオ製の導入、選択できるグルーヴの増加、それに伴うサブシステムの増加等、随分遊びやすくなりました。
 特にレシオ(※) がフリー選択制になったのは進化。前作では、キャラクターごとに予めレシオが決定されていましたが、本作ではそれを自由に設定できるようになり、構成できるチームの幅が一気に広がりました。チームの最大人数が3人になり、「レシオ1×4人」という構成はできなくなったのは賛否ありましたが、個人的には良い判断だったのではないかと思います。

 また遊べるメニューが豊富なのも好印象。
 一人用の対CPU、トレーニングモード、サバイバルモード、二人用の対戦モードをはじめ、キャラクターのカラーを自由に変更できたり、オリジナルのグルーヴを製作できたりと、サービスは満点。
 特にキャラクターのオリジナルカラーの製作は、かなり熱くなります。それは一時期、ネット上に自作のオリジナルカラーの色見本をのっけたページが幾つも立っていたことからも解るとおりです。SNK側のキャラには男女ともなかなか花があり、カッコいいカラーの作りがいがありました。
 ……が、それらに飽きた男性プレイヤーの興味の矛先は、当然(?)女性キャラをいかに色っぽいカラーにするか、という方向に向いていきます(それも、パレットの数が多くないので、かなり難しくはありますが……)。
 普段の戦闘服がハイレグのキャミィなど一番裸にしやすそうでしたが、服と帽子のパレットが同じだったため「全裸にしたら頭が禿げた」という悲劇が起こり、愕然としたものです。
 それでも、ユリのスパッツを生足にしたり、ただでさえ裸みたいな舞の衣装を更にスケスケしたり、アテナやナコルルの服を水にぬれた感覚で透けさせるなど、エロ職人達の病的なまでの創意工夫がいろいろと炸裂している様は、圧巻ですらありました。
 ただまあそれだけに、キャラクターのグラフィックに統一感がまったくないのは残念。
 リアル調に近い頭身で描かれたSNKキャラに対し、カプコンキャラは「ヴァンパイア」から続くアニメっぽい描き方で、印象がバラバラ。………というか、「ストリートファイターZERO」からそのままブッコンだな、これ。なのに、リュウ、ケン、春麗だけはSNKキャラと同じく描きなおしてあり、バラバラ感は一層加速。
 更にモリガン一人だけはヴァンパイアからそのままツッコンでいるので、違和感が炸裂。塗り方だけじゃなくて、キャラの描き方も統一して欲しかった。

 さて、今も昔も、オールスター・ゲームとなるとカプコンはそのキャラクター選別に謎のセンスを発揮するのですが、そのセンスは当然、本作でも健在。両社とも格闘ゲームの数が多く、キャラクターの性質が重なりやすいため、選別が難しいのは解るのですが、だからといって、なぜ藤堂(父)やチャン・コーハンを持ってくるのか……。
 藤堂(父)にいたっては、続編でリストラされてしまった元祖「龍虎の拳」以降、なんと10年ぶりのプレイヤー・キャラクター復帰。それも、簡単かつ強力なオリジナル・コンボを引っさげて、「強キャラ」として堂々の凱旋。なんだかなぁ……。

 ぶっちゃけ、ゲームのバランスは少々微妙です。CPUはなぜか異様にガードが固く、またボスキャラはこれまたカプコンの伝統で、異常な攻撃力と防御力を持っているのに、ワープ技で逃げまくりながらヒット・アンド・アウェイというセコさ10000%のチキン野郎揃いで、爽快感は全くなし。
 勝利メッセージ等のセンスはSNKのほうに一日の長があるかな。

 本作を遊ぶのならば、やはり対戦(ネット対戦も可能です)が一番、だとは思うのですが、こちらも「前転キャンセル」(無敵時間のある緊急回避「前転」が、必殺技でキャンセルできるバグ。このテクニックで、ほぼすべての必殺技に無敵時間をつけることが可能)が発見されてから、これができる人とできない人とで差が開く一方で、対戦によってはかなり悲惨なことに。

 SNKが倒産し、SNKプレイモアが「SVCカオス」を製作した現在、本作の続編が出るかどうかは微妙ですが、できるならこのシリーズが発表された当時の衝撃を、また味わってみたいものです。

(2006.02.10)