クォ・ヴァディス2 000

登場人物

マクスウェル

 偶然から「罰の紋章」を継承し、群島解放戦争においてクールーク皇国の軍事的脅威から群島を救った英雄。ラインバッハ動乱においてリノ・エン・クルデスから独立を果たし、オベリア・インティファーダを率いる。群島でも屈指の「双剣」の使い手。座乗艦は「アリアンロッド」。

リノ・エン・クルデス

 群島の島国オベル王国の国王にして、白い髪を逆立てた姿厳雄偉の大男。群島解放戦争後に「群島諸国連合」を提唱。マクスウェルの理解者の一人で、前回の動乱で大きく損なわれた王国の再建を企図する。座乗艦は「オセアニセス」。

エレノア・シルバーバーグ

 赤月帝国出身の大軍師で、ある理由から群島で隠棲していた。マクスウェルの依頼によって群島解放戦争に参戦。戦後は周囲の国々を放浪していた。大の酒豪。クレイのかつての師であり、現在もアグネスとターニャの二人の弟子がいる。

キカ

 群島にその名を轟かせる女性海賊王。マクスウェルと同じく双剣の使い手で、彼の理解者でもあるが、その経歴には謎が多い。正義を旨とする冷静な人格の持ち主だが、海賊らしい計算高さ、荒々しさも併せ持つ。座乗艦は「グリシェンデ」。

カタリナ

 リノ・エン・クルデスと同盟関係にある都市国家ラズリルの海上騎士団の団長で、事実上の領主でもある。かつてのマクスウェルの師匠にあたり、一時的に対立した過去もあるが、現在は同盟を結んでいる。魔術師。

キャンメルリング公爵ギネ

 ガイエン公国の皇太子。ガイエンで門閥貴族勢力を排除して独裁政権を確立し、スノウ・フィンガーフートを通じて群島との関係強化に腐心している。かつて「八房の紋章」の眷族紋章の一つを「魔眼」として使用していた。

スノウ・フィンガーフート

 元ラズリル領主の長男で、マクスウェルの親友。群島開放戦争後、若くして隠棲していたが、先の動乱でカタリナの依頼により、再び世に出る。現在はガイエン公国の公爵として、ギネ皇太子の片腕を勤めるかたわら、ガイエンと群島地方の関係を取り持つパイプ役としても活躍。

グレアム・クレイ

 かつてのエレノアの弟子で、赤月帝国で軍部の重役を若くして歴任。怪物的な印象を与える無機質な笑顔が特徴。闇商人としてクールーク海軍を私物化し群島解放戦争を起こし、その後、ハルモニア神聖国に取り入ってラインバッハ動乱を引き起こすも、敗れて行方不明。

ヘルムート

 元クールーク海軍第二艦隊に所属した分艦隊司令官で、第二艦隊を率いた勇将コルトンの長男。ラインバッハ動乱においてマクスウェル艦隊の中枢をになったが、第四次オベル沖海戦にて戦死。座乗艦は「アプサラス」。

ジュエル

 ラズリル海兵学校時代のマクスウェルの同級生で、彼にとっては命の恩人。明るい性格で、仲間内のムードメーカーだった。ラインバッハ動乱ではある理由からマクスウェルと対立、マキシンによる無人島襲撃戦において戦死。

マノウォック公爵ハーキュリーズ

 ガイエン公国の大貴族。二十代の女性だが性格は奔放で、ギネとスノウを楽しみ半分でからかっていた。「八房の紋章」に関連する襲撃事件に巻き込まれ、奮戦するも戦死。

用語

罰の紋章

 真の紋章の一つで、次々と持ち主を換えながら歴史の闇を邂逅してきた。「許し」と「償い」を司り、使用者の生命を削りつつ驚異的な破壊を振りまく、もっとも呪われた紋章の一つ。この紋章を継承する者は、大艦隊を一撃で消滅させるほどの攻撃力を得るかわりに、紋章の力を引き出すたびに精神力・体力を削られ、一回の使用で死に至ることもある。現在の継承者はマクスウェル。

夜の紋章

 真の紋章の一つだが、剣のかたちをとり、人間と意思疎通できる数少ない存在。「月の紋章」と大きな因縁があり、吸血鬼に対して絶対的な力を発揮するが、「罰の紋章」とも浅からぬ関係がある。現在の継承者はミツバ。

群島解放戦争

 かつて群島の北で隆盛を誇ったクールーク皇国の南進政策に端を発した戦争。しかしその実、クールーク海軍はクレイの手によって私物化され、クレイの紋章奪取の為の手駒とされてしまった。開戦当初はオベル王国を占領するなど、クールーク側の優勢に進んだが、結局はマクスウェルら群島解放軍の活躍でクールークの敗北に終わり、群島諸国連合とクールークとの間で休戦協定が発効した。

群島諸国連合

 群島に点在する島々の政治的・経済的一体化を目指した共同体組織。リノ・エン・クルデスが解放戦争後に提唱。しかし内部の反発も大きく、未だ強固な同盟関係の構築にはいたっていない。その政治的間隙をクレイに利用され、ラインバッハ動乱が起きた。

イスカスの政変

 クールーク皇国崩壊の原因となった一連の政治事件。クールークの政治を二分するグループの一つ、長老派のイスカスが、皇王派の重鎮マルティン将軍の妻を篭絡し、国の実権を握ろうとした。しかし、将軍の娘コルセリアが出奔し、その後の対応も杜撰を極め陰謀は失敗。在野の青年キリルの手によってコルセリアが保護され、イスカスは逃亡したが、その後死亡。皇王の座に就いたコルセリアは、疲弊した国家を解体する道を選んだ。

オセアニセス

 群島解放戦争中に竣工したオベル海軍の巨大船で、同海軍の旗艦。全長263メートル、全幅38.9メートル。強大な装備群と群島屈指の快速を誇る。マクスウェルが命名し初代艦長を勤めたが、ラインバッハ動乱中にマクスウェルが失脚すると、ミレイがその座を継いだ。

吠え猛る声の組合

 ハルモニア神聖国における特殊ギルド。おもに破壊活動や諜報に優れ、「ガン」と呼ばれる秘密技術を独占する。神官長ヒクサクに忠誠を誓う手足というわけではなく、国の中枢からは一定の距離をおいているが、その徹底した秘密主義から誤解されることも少なくない。現在のグレアム・クレイの母体でもある。

■第一回

(初:17.06.06)