PGR3 -プロジェクト・ゴッサム・レーシング3-

2006年1月12日発売/エレクトロニック・アーツ/66点

バーンアウト・リベンジ」のレビューのところで「EAはまともなレースゲームを作れないのではなく作らない」と書きましたが、すいません、本当は作ってます。
 フェラーリF430やランボルギーニ・ムルシエラゴなど舌を噛みそうな名前の有名スーパーカーを80台収録、世界各地の大都市を昼夜問わず疾走しながらポイントを溜め、Gothamワールドチャンピオンシップを制覇せよ!
 レース中にオーバーテイクやジャンプなどの「魅せる走り」をすると「クードス」と「クレジット」というポイントがたまり、これで新しい車を獲得したり、評価を上げたりできます。

 もうアレだ、グラフィックに関しては言うことがない……わけでもないんだけど、とにかく新宿、ロンドン、ニューヨークといった街中の表現は素晴らしいの一言。人のプレイを見ている限りは、写真と見紛うほどキレイで超リアル。なにせ2万枚の写真からグラフィックを起こしたとかで、この辺労力と技術は大したもんです。

 ところが、いざ自分でプレイしてみると感想が一変。まぁ、操作に忙しくて街中のグラフィックを見る余裕なんてないのが一因と、あと、車体や遠くの建物の「ヘリ」に物凄くジャギが目立つんですよ。これが気になって気になって。
 これ、たぶん解像度の問題なんじゃないかな。Xbox360の解像度は本来1240×720。それを、1024×600で表示している為、どうしても物体の輪郭の表現は甘くなる。後ろから人のプレイを見ている限りは余り気にはならないんですが、自分でプレイしている時は集中すればするほど気になってきます。あと、画面全体もちょっと暗すぎるような気も。
 グラフィックそのものは1⇒2⇒3と正統進化しているものの、各作品共に細かい部分でアラがあるのは伝統かな。この辺、「ニード・フォー・スピード」あたりの暴れゲーならばアリなのかもしれませんが、「スタイリッシュ・レーシング」を標榜するのであれば、もうちょっと気に留めて欲しいところ……と、このレベルのグラフィックを体現しているゲームに言うのも可愛そうな気はしますけれども。
 あと、登録されている車種が少なくなっているのも秘かに残念。スポーツカータイプではない車種が根こそぎボツを食らったらしいのですがまあ80台もあれば私のようなヘボドライバーには充分なんですが。

 まともにプレイしていると「クレジット」はともかく「クードス」がためづらく、ドリフトやジャンプなどの魅せる運転を奨励しているのはEAらしくていいんですけど、他の作品に比較するとやはり地味。クードスを獲得すると画面上に獲得ポイントが表示されるんですが、続編ごとに地味になってないか、これ?
 また一人プレイは基本的に幾つかある条件をクリアしていくんですが、最初に操作感覚の良さ(トリガーのスプリングが丁度良い)と走行の気持ちよさを満喫してしまうと、あとは完全に作業。
 遊べるモードが多く、「ゴッサムキャリア」が前作よりもかなり難易度が下がっているだけに、なんともいえない残念感みたいなものが胸をよぎります。ロードの多さ・長さも相まって、すぐに飽きてしまうのも事実。気がつけばガレージにある2つのミニゲームに熱中しているアリサマ。

 確かにレースゲームとしては悪くはない、どころかトップクラスのデキなんですけど、前述のグラフィックや、ちょい軽すぎる気がするサウンド、マニュアルの説明不足が激しい、リザルドが長すぎ、ロードが多すぎ&長すぎなど、少し適当な仕事が目に付きます。
 買って損はしないでしょうが、期待しすぎると痛い目を見るかもしれません。

(2006.09.21)