フロムソフトウェアのロボットアクション。「無印」と呼ばれる第一作がプレイステーションで登場してから2007年でもう11年、これも長いシリーズとなりました。PS時代に「カルネージ・ハート」と迷ってこっちをとった人は正解でしたね。
表題は「4」ですが、ナンバリングタイトルは「同3 サイレントライン」以来実に久しぶりになります。「3」との間に「ネクサス」「ナインブレイカー」「フォーミュラフロント」「ラストレイヴン」「同インターナショナル」を挟んでおり……「4」で正式には何作目になるんだこれ。13作目？ 沢山ありすぎてもはや解らないぞレイヴン。
これまでは、国家という政治体制が瓦解し巨大企業群がその表舞台にたった世界で、プレイヤーは「アーマード・コア」と呼ばれる軍事ロボットを駆る「レイヴン」（傭兵）となり、数々の任務をこなしていく、という設定だったのですが、久しぶりのナンバリングタイトルということもあってか、それらの設定を一新したようですね。本作では、国家vs.企業間で起こった「国家解体戦争」と呼ばれる戦争が企業側の圧勝で終わった後、企業による新たな統治が始まった直後の世界です。
「アーマード・コア」シリーズ最大の特徴は、そのロボットを構成するパーツの細かなカスタマイズ性と、それを用いたプレイヤー同士の対戦。特に「超時空要塞マクロス」のメカニックデザインやAIBOのカスタムデザインで有名な河森正治を起用したメカ・デザインは、構成するパーツの一つ一つに至るまで作られた偏執的と言えるほどの設定と合わせて、このタイトルに最大の魅力になっている。……のですが、やはりこちらもシステム・パーツ・エンブレム・操作性全てが一新されています。
これまでは、
「選ぶの面倒くさいから、思いついたものをとにかく全部入れたァッ！ これで満足できなきゃ、俺は俺は人間をやめるぞジョリ―――――ンッッ！！
……とでも言わんばかりに、圧倒的な物量作戦を誇ったパーツが、なんと激減。もちろん無策に減らしたわけではなく「厳選した」という印象はありますが、やはり減ってしまうと寂しいものですね。
エンブレムはこれまでのドット打ちが出来なくなってしまいましたが、こちらは組み合わせることが出来るパーツが多数あり、意外とオリジナリティが下がった気はしません。これらのパーツが全て「クロム・ハウンズ」からの流用だと気づかなけりゃもっとよかったけど、逆に言えば「クロム・ハウンズ」で得たノウハウも流用できるということです。
前向きだな、レイヴン！
ただ、やはりロボットアクションに慣れていないと、お楽しみはここまでです。
クイックブーストやプライマルアーマーの新要素はどれも便利でいい感じ。上手く使うことが出来れば戦闘がサクサク進むのですが、そこまで逝くのが地獄の一本道だレイヴン！
一新された操作性は、Xbox360のコントローラーのボタンがフル稼動の鬼教官仕様。出撃前に何回確認したって、咄嗟に正しい行動なんぞ取れるはずもなく、脳内で描いた行動と画面内のマシンの動きがテンでバラバラ。とっくにアクションゲームの第一線から身を引いた身としては素直に「目標をセンターに入れてスイッチ」くらいで抑えて欲しいものですが、そんな軟弱な考えで、この混沌とした世界を生き残れるか！
「所詮、弱い傭兵にこの混沌とした世界を生き残る資格なんざねぇんだ、このバクテリア野郎が！」
とか鬼教官のセリフを勝手に脳内再生している隙にもボッコボコ。
次回作には、ぜひ新パーツに「クリムゾン」の採用を提言したいものです。エコール社製の。
ここらへん、オフラインでのミッションでみっちりと鍛えておく必要があります。基本的にミッションはチャプター別に分かれており、失敗によるリスクは殆どないので、初期ミッションを何度でもチャレンジして慣れていくことが肝要（オンラインは最新レギュレーションでしかプレイできませんが、オフラインはレギュレーションを自由に選択できます）。
ただ、こちらも中盤以降のミッションは強烈な難易度。世間的には「簡単」と言われている様なのですが、それは機体とパーツの特性を細部に至るまで把握したトリガーハッピー 熟練者たちが多いゆえの平均値ではないでしょうか。今の私にはとてもとても。
しかし、パーツを一つ一つ組み替えながら難しいミッションに挑んでいくのは、メカカスタム要素のあるゲームの基本的な楽しみ。
オフラインでレイヴンとなりミッション完遂を目指すか、オンラインでライバル・レイヴンたちとランキング戦を繰り広げるか。どちらにしても、操作に慣れたらこれほど爽快感あるバトルを楽しめるゲームも稀ではないでしょうか。
……どうでもいいんですが、レギュレーション1.6以降のジョシュアは何かあったんですか？ ドーピングでもしているのかという、驚異的な強さになっちゃいましたね……。
（2008.05.10）