北斗の拳も、非常に息の長いブランドです。少年ジャンプに登場してもう20年、作画担当である原哲夫氏に6億円のロイヤリティが入ったと言われるパチスロが最近の大ヒット商品ですが、それだけでなく、ラオウを中心としたアニメが豪華キャストで製作されたり、アーケードの格闘ゲームが発売されたりと、未だにその人気は衰えることを知りません。
当然、北斗神拳2000年の歴史は、そのままゲームの歴史でもあります。1986年5月にエニックスがPC-88版を発売したのを皮切りに、ファミコンで東映動画が迷作・問題作を連発しながら、その陰に隠れるようにセガがメガドライブでひっそりと名作を出すという循環がかなり長いこと続きました。
そして、SFCを経て次世代機の時代に突入する頃、北斗の歴史に燦然と輝く二つの大問題作がこの世に降り立ちます。
2000年にプレイステーションに降臨したバンダイの「北斗の拳 世紀末救世主伝説」と、そして本作、バンプレスト版「北斗の拳」です。
本作は「格闘アドベンチャー」という聞きなれないジャンル。それだけ革新的な何かが詰め込まれているのかという当初の期待は、プレイする前から粉々。なにせ本作、パスワード制です。ええええ?
これより以前に出てた、あの東映動画のSFC版でもセーブ機能があったのに?
退化してどないすんねん!と思っていると、パスワード入力画面にはモヒカンのザコが一人。
なんとパスワードはこのザコの秘孔を突いて入力するのでした! えええええ?
アドベンチャーゲームであるからには、重要なのはストーリー。一応、原作後から十年後という設定のオリジナルストーリーの筈なんですが、登場人物がほとんど原作の別キャラクターのコピーとはどういうことだ。
開始早々、リンとバッドの結婚式って時点でもう原作から離れちゃってますが、その式の最中にリンを誘拐していったのは、ジャドという名のジャギ。あの仮面もまんま同じ。
その後も、サウザーやファルコ、ジャコウの子供たちが、父親のコピー状態で次々に登場し、ストーリーを 散々混乱の渦に 盛り上げてくれます。原作の設定を気持ちいいくらい完全に無視してますが、原作後十年経っているはずなのに、リュウケンやトキが生きている時点で、そんな無粋なツッコミやめました。
心を空洞にすればするほど爆笑できる奥が深いゲーム、それが「北斗の拳」。
これはまさに未体験の格闘ワールドあたたたたっ!(パッケージより)
ひたすらケンシロウの歩行シーンを見せてくれる無駄なサービス精神や、素晴らしく下手な絵、連打命でひたすら疲れる戦闘、狂いまくった原作の解釈など、何から何まで「馬鹿」としか言いようの無い本作。
はっきり言ってしまえば、キャラクターを入れ替えただけの粗悪な原作コピペゲーでしかないのですが、そのコピペのレベルが酷すぎて逆に笑いに夢想転生。端から端までツッコミどころだらけで、ファンでなくても、そしてファンならその250倍、大爆笑できること間違いなし。
特にその独特の「間」は、駆け出しのお笑い芸人には真似できないようなハイレベル。そこらのエンタの神様なんか、とてもじゃありませんが適いません。
これが計算の結果だとしたら凄いんだけど、たぶん天然なんだろうな〜。まともにゲームとして楽しもうとするとかなりキツイですけどね。東映動画のスタッフが雑じってるし。
どうでもいいけど、リハクは何年現役でいるつもりなんだ……。
(2007.01.08)