ゲーム業界(及びアニメ業界)と同人業界というのは、昔から複雑な関係にありまして、メーカーのなかには、同人業界の二次創作の人気を鑑みて、シリーズの続投や新作の傾向を改めるところもあるほどです。
自分たちのキャラクターを勝手に使われて商売されてるのに、原作の製作者には一銭も入ってこないという、メーカーにとっては忌々々々しいことこの上ないんですが、実際にはもう潰すわけにもいかない(というか、もうできない)一大市場になってしまっているもんで、複雑な思いをしながらもメーカーは見守るしかないという状況にあります。
まあ、この分野に限って言えば、私も大きな口を叩けないのですが。
(過去、任天堂が「ポケモン」のキャラクターを使った同人誌を描いた同人作家を警察に告発し逮捕させたり(※1)、「ドラえもん」の最終回を(勝手に)描いた同人誌が発行の差し止めを食らった事件(※2)などがありましたが、こういう対応はむしろ稀です)
ところがここ最近、この同人ゲームで、既存のキャラクターを使った「二次創作」ではなく、サークルオリジナルのゲームのレベルの高さが注目されてきています。
最近では「ひぐらしのなく頃に」(07th Expansion)が深夜枠とはいえアニメ化され、PS2に移植された「祭」も大人気。また、業務用では「アカツキ電光戦記」が同人から移植され、マニアックな人気を博しています。そして、そのムーブメントの先鞭となったのが、本作「MELTY BLOOD Act Cadenza」の原作となった伝奇ADV「月姫」(TYPE-MOON。2000年)。
同人ソフトでありながら、そのストーリーの完成度の高さで、商業用のアダルトゲームを遥かに上回る、数万本という売り上げを見せた怪物タイトル(「月姫」は18禁作品)。数々の関連書籍も売れに売れ、「月姫」キャラを使用した同人格闘ゲーム「MELTY BLOOD」(渡辺製作所。2002年)は、エコール・ソフトウェアがアーケード(業務用)に移植するほどの人気を得ました。
「真月譚」のことは言うな。
で、本作は、その業務用「MELTY BLOOD」のプレイステーション2移植版だったりするわけですが、前置き長ッ!!
(上の文章でもお分かりいただける通り、私も「月姫」「MELTY BLOOD」の熱狂的ファンであった時期があります。いやぁ、懐かしい(^^;))
さて、上記のような生誕の事情を持つだけあって、キャラクターゲームでもある本作は、原作である「月姫」を知らないと正直、面白さ75%オフ。
一応、取扱説明書に用語辞典を用意しており、フォローはしてあるものの、やはり原作の膨大なテイストを詰め込むことは無理だったようで、(あれだけの量あっても)ちょっと解りづらいかも。
またおまけ要素としてスペシャルボイスが大量に用意してありますが、これも「月姫」やTYPE-MOONのアダルト伝奇ゲーム「Fate / stay night」、ついでに移植を担当したエコールの過去のゲームである「デスクリムゾン」のネタが大量に詰め込まれており、わかる人はクスリと笑えますが、わからない人にはなにがなんだか。
あと、これは純粋な格闘ゲームとして発売されたアーケード版の移植なので仕方ないのかもしれませんが、やはり同人版「MELTY BLOOD」にあったストーリーモードを削除しちゃったのが究極に痛い。こちらもマルチエンディングのアドベンチャー形式で結構なボリュームがあるんですが、それを丸ごとカットしちゃったため、このPS2版だけでは、主人公「シオン」と「ワラキアの夜」との関係など、膨大な設定を詰め込んだせっかくのストーリーが、良くわかりません。
こういうのに一番向いていそうな据え置き型コンシューマ移植だというのに、非常に勿体無いです。
で、肝心の格闘ゲーム部分。
正直、元が同人ゲームなので、グラフィックには期待しないでください。演出時に表示されるグラフィックは悪くないんですが、ゲーム中のドット絵は、ホンマにもろ「ドット」です。
素人集団である「二次創作サークル」が作ったんだ、と思えばそりゃ確かにもの凄いレベルですが、アーケードやPS2で出ている他の格闘ゲームと比較してしまうと、さすがに見劣りします。
システムも、とにかく浮かせてナンボ、芸術的とさえいえる狂った連続技が炸裂する、牽制・駆け引きナンジャソレの爽快感優先型なので、「勝負は煮干一匹ブンだった」ということは余りなく、細かい牽制合戦が好きなタイプの人には決定的に向きません。
私のカルカンは、ダーウィン先生にはお気に召していただけなかったようです。
PC版の初代からプレイしている身として言わせていただくと、これでもかなり浮かせづらくなったんです。
また、ある程度牽制も重視されるようにシステムも改善されて入るんですが、それでも発狂的な連続技炸裂ゲームであることには変わりません。上手い人がやると、本当に延々と喰らい続けます。
正直に言うと、このPS2版を面白いと感じた人は、是非PCである同人版「MELTY BLOOD」「同 Re:ACT」をプレイしていただきたい。正直、ボリュームとしては同人版のほうが上です。
なにより、安いしな。
PS2版オリジナルキャラクターである「軋間紅摩」は使えませんが、その代わりに「白レン」が使えますし、「G.秋葉」なんて目を疑うようなキャラもいるし(笑)。まあ「G」は、攻撃方法がほぼ元ネタのままなので、ちょっと同人以外では使えないかもしれませんが。
(2006.11.13)
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※まさかオフィシャルで「夢猫戦隊」ネタが聞けるとは…。>