KOF MAXIMUM IMPACT

2004年8月12日発売/SNKプレイモア/66点

「THE KING OF FIGHTERS」といえば、一作目の「'94」から毎年新作が出続け、2004年に10周年を迎えた、格闘ゲームではあまり例のない長編シリーズ。10周年である2004年に、それを記念して同シリーズ3タイトルが一気に発売されましたが、本作はその中の一本。
(他の2本は「THE KING OF FIGHTERS '94 RE-BOUT」と「THE KING OF FIGHTERS 2003」)

 まず驚いたのが、3D化(ポリゴン化)したということ。
 元々個性溢れる……というか、ある意味、個性溢れすぎるキャラクターを多数擁するKOFシリーズですが、ポリゴン化したことで、良くも悪くもその「濃さ」がより顕著なものに。最初に3D八神庵の前髪を見たときは、腹抱えて笑いました。そりゃあ「八稚女」かました時なんか、あれが真正面から猛スピードで突進して来るんだから怖いよなぁ。

参考:八神庵氏

 これまでの2Dシリーズでは、MVSの容量の限界もあり、キャラクター数が多い替わりにモーションに使う絵の枚数を節約していたため、キャラクターの動きが重く感じられていました。3D化した本作は少々モデリングが甘く、やや動きにぎこちなさを感じるものの、プレイに支障が出るほどのものではありません。
 完全な新ストーリーで主人公も新キャラ、加えてフルボイスで喋りまくります。新キャラの設定の壊れ具合も含めて、目新しさという面では他の10周年記念タイトルよりも遥かに上。
(ただし新主人公のアルバとソワレ以外は、お世辞にもセンスがいいとは言えませんが。特にミニョンは痛すぎる)

 また1Pと2Pでキャラクターの容姿がまるで変わるところも面白い。ユリや舞が自慢の髪をばっさりと切ったり、八神庵が爽やか(風味)なバンドマンになったりと、ファンの想像をブッチぎったスタッフのお遊びが炸裂。

 どうでもいいけど、クラークの2Pは前世の名前がザックっていいませんか?
 さらにおまけ要素で、キャラクターに付属品をつけることで、更なる別キャラクターに出来たりと、サービスという名のお遊びは留まるところを知りません。
 悪ふざけが過ぎて、少々やりすぎと思わないでもないですが、まだキワキワで抑えてあります。プロデューサー&キャラデザのFALCOON氏が「2」以降ちょっと暴走しちゃってますが……。

 新キャラ関連のストーリーが充実しているのに、既存キャラのそれが少々おざなりなのは仕方がないかな。K"を出したんならアッシュも出して、歴代主人公総登場させたら、もうちょっと面白かったんだけど。

 さて、肝心のゲーム部分ですが、これはKOFシリーズ……というか、SNKプレイモア作品の宿命でしょうね。どこまでも大味。
 本作独特の要素として「スタイリッシュ・アート」という連続技があります。各キャラクターに平均10個以上用意されたそれは、連続技の途中でいきなり座り込んで鼻歌を歌い始めたり、しゃがみこんで猫パンチを連打したりと、見た目に楽しいものも多くていいのですが、やはり強いものは強く、スタイリッシュ・アート→必殺技の打ち合いになりがち。バランスもあまりいいとは言えません。

 どちらかというと、やはりファン限定の記念品、といった雰囲気が強いのは残念。

(2006.02.17)