トゥルーラブストーリーF

1999年11月25日発売/アスキー/118点

トゥルー・ラブストーリー(以下「TLS」)」「同2」のファンディスクです。
 女の子二人がパジャマで笑顔というあんまりなパッケージで、その壁の高さがお分かりいただけると思いますが、本作は中身も、一般プレイヤーをよせつけぬ独特のオーラで満ち溢れております(笑)。
 ファンディスクというと、大抵はファン以外のプレイヤーを置いてきぼりにしているものですが、この作品はそれどころじゃありません。

 なにせ作品のメインキャラが、「TLS」「同2」で主人公のナビゲーター役でもあった「みさき」と「君子」。つまりダブル「妹」
「TLS」というと、引越し直前の一ヶ月という短い期間で、純真な同級生や先輩後輩の女の子と仲良くなるという、ちょっと変わった設定でヒットしたのですが、本作中の主人公の設定は、なんと「転校後」。
 つまり、転校前に出会い、親交を深めたはずの「TLS」「同2」のメインキャラは誰一人として出てこず、「攻略」可能キャラは「みさき」と「君子」の二人の妹のみという、あらゆる意味で「シスプリ」を濃縮しまくってそのまま趣味にブン投げたような潔すぎる究極のピンポイント爆撃。

 そのピンポイントぶりは、ゲームの中でも遺憾なく発揮されております。なんせ、学校から帰宅した主人公が行ける場所は「自分の部屋」以外は「妹の部屋」のみ。
 そして、ゲームの目的は、妹と会話して彼女達の好感度を上げ、デートに連れ出したりミニゲームをもらったりすること。つまり、本格的にやることは「会話」のみという、人を斬るためだけに鍛え上げられた日本刀のような清冽さ。

 まあね、確かにツッコミ体質で短気なみさきと、天然ボケ入ったのんびりキャラの君子、という個性はあるものの、流石に2人だけじゃなあ。
「TLS1」で初めて恋愛シミュレーションにスッ転び、みさきというキャラも大好きな私ですが、さすがにこれは飽きます。
 また、ヘンに難易度が高く、妹と三回デートしなければクリアできないのに、みさきも君子も一向に乗り気になってくれないしなんなんだお前ら。

 ポケットステーション用のミニゲームは16種類と多く、ファンディスクというだけあって、クイズやミニゲームをクリアすると書下ろしの新作イラストを見ることが出来たり、「TLS1」「TLS リメンバー・マイハート」「同2」でデータを共有して、過去作のCGをより高画質で見ることができるという特典もありますが、これもバンカーバスター並みのピンポイントな特典であることには間違いなく、例え「TLS」のファン「トゥルラー」と呼称)でも、過去三作を全部持ってないと本作を真に堪能することは許されないのです。
「TLS」における「妹萌え道」というのは、かくも狭く厳しい道なのでした。

 とにもかくにも、「TLS」のファンでないプレイヤーへの誘導やサービスが全く無い、という一点において、本作こそ真にして究極の「ファンディスク」です。
「どてら」「タコくちびる」「マッシュルーム・カット」といった単語を聞いただけで当時の萌えを再燃させられる人でないと、熱中するのは難しいと思われます。

「ファンディスク」なのに、「エビ・テール」萌えが入っていない時点で、どうかしてるとは思いますけど。

 一作目のCMに出ていたのは、なんと仲間由紀恵!(当時17歳) 若いですね。
 実は初代「TLS」の主題歌(「トゥルー・ラブストーリー 恋のように僕たちは」)も歌っていたのですが、仲間由紀恵は意外にもアニメ・ゲーム業界に縁があり、1stアルバム「遠い日のメロディー」には、「トゥルー・ラブストーリー 恋のように僕たちは」の他にも、自身が主役をつとめた深夜アニメ「HAUNTEDじゃんくしょん」のテーマソングや、「ロックマン」のCMソングなどが収録されてたりします。

(2007.05.15)