(以下、「アイドルマスター」を「アイマス」、「ONE FOR ALL」の「OFA」と略します)
2005年のアーケード版から数えれば9年目(2014年現在)という長い歴史を持つアイドル育成ゲームの最新作にして、ファンが待ちに待ち望んだ集大成の一品。
(シリーズの情報が最初に出たのは2001年10月ごろ。公式にアナウンスされたのは2002年9月で、この時はアーケード版「1」の開発度が2%だった)
歴史が長いとはいえ未だにその展開は広がっており、2014年1月末に公開された劇場版アニメは、最終的に公開館数85、観客動員46万2570人、興行収入6億7818万4800円というヒットを記録。
2011年から始まったソーシャルゲーム版では3作品(シンデレラガールズ、ミリオンライブ!、SIDE-M)合わせて300人近いアイドルが登場し、ネットラジオから派生したものを含めまだまだ新CDも発売され続け、2007年、2011年、2013年、2014年、2015年に続いて2017年にもアニメ化が発表。
スピンオフも含めれば漫画化された数は数知れず、その人気は衰えることを知りません。
かくいう私もプロデューサー
の一人です。私は家庭用最初の「アイマス」であるXbox360版はつついてはみたものの、登場アイドルの一人・如月千早に激怒されてプロデュースを諦めてから何年かアイマスから離れていました。
その後、ちょうどアイマスを完全に忘れてしまっていたころに、ゲーム版とはまったく設定が異なる最初のロボットアニメ「アイドルマスターXENOGLOSSIA」に偶然出会い、ものすごい勢いで惚れこんでしまって以降、スピンオフの漫画「ぷちます! 」(これもゲーム版とは設定が異なる)にこれまた傾倒し、そこからゲーム版の設定に帰って2011年版のアニメが2013年末に私的に超ヒット、という、皇居を一周するのに板橋駅まで遠回りするような道筋でアイマスにはまった口です。
(最初がロボアニメだったためか、作品ごとにキャラの設定が大幅に変わることの多いアイマスでも、たいていの作品には耐性がついて楽しむことができる体質になっています)。
これらの道筋について語りだすといくら字数を重ねても足りないのですっぱりカットしますが、
そろそろXENOGLOSSIAも再評価されても良い頃だとモニョモニョ。詳しくは「管理人」の項の「好きなキャラ」の項目を参照。
さて、このシリーズは開発チームが色々とはっちゃけすぎていることでも有名で、いわゆる公式が病気なモニョモニョも多々ありすぎたのですが、9.18事件と呼ばれる悲劇の後、純粋にシリーズの登場キャラクターがプロデュースできるゲームの登場が待ち望まれていました。そして、前作「アイマス2」から3年ぶりに発売されたのが本作、「OFA」です。
前作ではライバルユニットとしてプロデュース不可能になってしまった水瀬伊織、三浦あずさ、双海亜美、秋月律子が再びプロデュース可能になり、システムも全面的に見直され、765プロのアイドル13人全員を同時にプロデュースすることが可能となりました。
(ただし、最初から全員攻略可能なわけではなく、前半は12週ごとに一人ずつ、後半は24週ごとにひとりずつ解禁される。13人全員がプロデュース可能になるのは、ゲーム内時間で最短でも5年間待たないといけないが、ゲーム内はいわゆる「サザエさん時空」で、時間は流れるが誰も年をとらない。
時間制限はなく、最終目標に到達してもゲームの続行はできる。最初の一人と、解禁される順番は任意に選択が可能)
攻略キャラクターは、
氏名 | 身長 | 3サイズ | 取説の解説 | 備考 |
---|---|---|---|---|
天海春香 | 158 | 83-56-82 | 底抜けに明るく素直で友達想いな女の子 | ときどき、事務所で謎の動きをしている |
星井美希 | 161 | 86-55-83 | 潜在能力無限!がヤル気ない(?)肉食女子 | |
如月千早 | 162 | 72-55-78 | ただストイックに。全てを歌に捧げる少女 | →EDが違う意味で衝撃的。もう結婚しちまえよ… |
高槻やよい | 145 | 74-54-78 | 健気にいつも一生懸命!家族想いの元気な少女 | 健気すぎてイベントがとてつもなく重い |
萩原雪歩 | 155 | 81-56-81 | 自信のない自分を変えようと一心に頑張る女の子 | 案外、穴を掘らなかったですね |
水瀬伊織 | 153 | 77-54-79 | キュート!?厳しい!?猫かぶりなセレブお嬢様 | ASライブでは春香以外で唯一、センターを担当 |
我那覇響 | 152 | 83-56-80 | 笑顔はまさに沖縄の太陽!カラっと明るい女の子 | 今回は人間の友人もいるもよう |
菊地真 | 159 | 75-57-78 | カッコよさ抜群!でも中身は乙女な女の子 | ローディング画面では腰の入った正拳突きを披露 |
四条貴音 | 169 | 90-62-92 | 月を臨み、愁ふ。高貴で不思議な令嬢 | ときどき、ポロッと口を滑らせる |
三浦あずさ | 168 | 91-59-86 | 心・体・笑顔!全てが癒し系のお姉さんアイドル | →EDでPにガチ告白も、完全スルーされる |
双海真美 | 158 | 78-55-77 | 双海姉妹のカッコイイ系!ヘロモン美女by真美 | タカり過ぎだお前ら! |
双海亜美 | 158 | 78-55-77 | 双海姉妹のカワイイ系!まぶしすぎる美女by亜美 | |
秋月律子 | 156 | 85-57-85 | 765プロに必要不可欠!事務員兼アイドル |
……の13人。
ゲームとしては実にシンプルな内容で、まずはリーダーを選んでソロ、デュオ、トリオのいずれかで、ひたすらオーディション、フェス、ライブのどれかを週ごとにこなして能力を上げつつ、ライバルと戦って自分のアイドルランクを上げ(ランクアップフェス)、最終的にアイドル世界の頂点である「アイドルエクストリーム」の優勝を目指します。
リーダー、メンバーともに固定ではなく、いつでも変更可能。そのため、特化撃ちで誰か一人を育てることも、全員を平等に育てることも可能ですが、ランクアップフェスの相手が強い人ばかりの為、普通にプレーしていると4〜5人を同時に育成することになるでしょう。
バトルやオーディションなどは基本的にリズムゲーで、曲のタイミングに合わせてボタンを押してスコアを稼ぎ、最終的に敵よりも大きなスコアを目指します。発動すれば大きくスコアを稼げる「バースト」や、連続パーフェクトボーナス(これがなかなか侮れない)など、シンプルながらスコアを上下する要素はたくさんあり、またフェスの相手もそれぞれ厄介な特殊能力を持ってアイドルの前に立ちふさがります。
どうも「アイドルマスター1」をひたすら親切に、マイルドにしたような内容で、難易度そのものはシリーズでも最も低いとも言われています。
……が、それでも難しいときはやっぱり難しい、というか難易度設定が狂っているところも多く、少し練習すればランク(E〜Aの5レベルで、さらに1レベルごとにE3、E2、E1など3段階(計15段階)に分かれています)が下の相手には圧勝できるものの、自分と同格か1つでも上の相手にはほぼ100%勝てないという謎仕様で、なんのためのランクなのかよく分かりません。
私は伊織、真、響、千早、貴音を中心にユニット「裏切りのコボちゃん」を育成しているのですが、最初は格下の相手をチマチマ狩りつつ、ひたすらレベル(ランクとは別の能力値)を上げ、ステータスが上がってからランクアップフェスにチャレンジするという、石仮面でもかぶってないと我慢できないほど冗長になりがちで、特にランクB1あたりからその傾向が顕著になってきます。
(慣れないうちは、厄介なスキルを持つランクD3の日高愛、バースト中にこれでもかとスキルを使いまくりこちらのボルテージを下げまくるランクB1の天ヶ瀬冬馬あたりが壁になります。
ただし、一度アイドルが倒した相手は別のアイドルを育成するときに二段階まですっ飛ばすことができ、ランクC3からC2、C1を飛ばして一気にB3の相手に挑むことも可能です)
しかし、キャラクターごとのストーリーが大きく進展し始めるのはアイドルランクがBに突入してからで、それまでは同じことを繰り返すだけの完全な作業ゲーム。
アイドル育成ゲームであるがゆえに、衣装、アクセサリー、アイテムなどの数が多く、また衣装で上昇する能力値も細かく違うので、コーディネートを考えるのは面白いです。コンプリート目的でフェスやライブを繰り返すのも十分にアリと言えばアリ。
(半年に一度、13人を三つのユニットに分けて三連続ステージを行なうオールスターライブイベントがあるのですが、一定の条件を満たして成功すると、13人全員で同じ曲を歌う特殊ムービーを見ることができます。
みんなが劇場版の衣装(ゲーム中ではDLCでのみ入手可能)で「M@STERPIECE」を歌うムービーが流れたときは、映画を何度も見に行った身としては、思わず感動してしまいました。
ランクD1の「765's DREAM!」成功時に流れる「自分REST@RT」のときのみ、春香ではなく伊織がセンターを勤めます(亜美、あずさ、伊織の旧「竜宮小町」の三人が真ん中になる))
……が、ゲームとしてはやっぱり単調なので、一度飽きてしまうと、再プレーまでに少し時間がかかってしまうかも。
また今回は主人公(プロデューサー)が最初から各アイドルと顔見知りという状態からスタートするので、育成方針をめぐってあまりぎすぎすすることがなく和気藹々と進んでしまい、緊張感が生まれにくいのも飽きやすい原因かもしれません。
千早とか最初からニッコニコだし、今回はレッスンの仕様が大幅に変更され、純粋な短期間の能力値ブースト(難易度は三段階アリ)になったため、基本的に仕事やレッスンでの「ドタキャン」が起こりません。
ただそのぶん、キャラクターに愛着が持てるようになると、その独特の動きも含めて目が行くようになり、アイドルたちの反応が楽しくなってきます。
我那覇響のいちいち大げさな身振りや、萩原雪歩のおしとやかな仕草、そして天海春香の独特すぎる「目」の動きなど、キャラクターがグリグリと良く動くので、これが楽しみでわざと変な選択肢を選んでみたりすることも……。
オーディションに合格したりフェスで勝利したりすると、「観客からのアンコールに応える」というかたちで歌とダンスのリプレイを見ることができるのですが、これが本当によく動き、表情もアングルも目まぐるしくかわります。私が初心者プロデューサーだからでしょうが、最初のうちは本当に感動したものです。
(過去作は分かりませんが、今回はいわゆる乳ゆれがすごい気になります。縦の動きの多い「M@STERPIECE」なんて躍らせると、B90以上のあずさ・貴音はもちろん、B77の伊織まで派手に揺れまくります。分かりづらいのですが、ビキニだとB72の千早まで揺れているようでこれはパッド仕込み疑惑になるか?)
ただ、会話が発生したときに、どれが正解なのかわからない選択肢が多かったり、正解を口にしておきながらその箇所をクリックできない(「髪を梳いてあげよう」と自分で言っているのに相手の髪をつつけない)など、わけのわからないところも多々ありますが……。
そういえば今回、律子がだいぶ性格が変わっているような……(アニメ版の印象が強いために、特に感じるのかも)。また、やよいの「ガルウィング」(大きく頭を下げて両手を後ろに跳ね上げる、やよい独特の挨拶)を見れたときはひそかに感動しました。
個人的には、ランクアップフェスで戦うライバルたちの面子にもかなり感動しました。
これについては非常に長くなる上にネタバレになるので、こちらにまとめてます。
さて、アイマスといえば、なんといってもそのオリジナル楽曲です。アイドル育成、リズムゲームであるこのシリーズはオリジナル楽曲が多い、しかも名曲が多いうえに声優さんの歌唱力が非常に高く(春香役・中村繪里子氏の、初期から今にわたる歌唱力の上がりっぷりの凄まじいの何の)、ジャンルも多岐にわたるため、どの曲がゲームに入るかはファンの最大の楽しみであり、最大の不安でもあります。
今回は、新曲の「Destiny」「ONLY MY NOTE」、劇場版の主題歌「M@STERPIECE」以外はわりと古い人気曲でかためた印象がある全20曲です。ダンス付きで20曲というと普通は「十分多いじゃん」と思われるかもしれませんが(しかもおそらく、すべて新録です)、ゲーム以外のところで膨大な数の曲を聴いているファンだと、もう何曲かほしかったところ。
曲名 | 初出 | 初登 場年 | 備考 |
---|---|---|---|
Brand New Day! | アニメED | 2011 | |
CHANGE!!!! | アニメOP | 2011 | 初のオールスターライブ後に開放 |
Colorful Days | アイドルマスターSP | 2009 | |
Destiny | 新曲 | 2014 | 765ST@RDOM大成功後に開放 |
GO MY WEY!! | Xbox360版「1」 | 2007 | |
Kosmos.Cosmos | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | |
M@STERPIECE | 劇場版主題歌 | 2014 | 765M☆STAR LIVE大成功後に開放 |
My best friend | Xbox360版「1」 | 2007 | |
ONLY MY NOTE | 新曲 | 2014 | オールスターライブ大成功後に開放 |
READY!! | アニメOP | 2011 | 初のオールスターライブ後に開放 Newtype×マチアソビアニメアワード2012主題歌賞受賞曲 |
The world is all one !! | アイドルマスター2 | 2009 | 初のオールスターライブ後に開放 |
いっぱいいっぱい | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | |
キラメキラリ | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | 一時期、千葉ロッテマリーンズの応援歌になっていたことがある |
自分REST@RT | アニメ | 2011 | 765's DREAM!大成功後に開放 |
スタ→トスタ→ | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | |
フタリの記憶 | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | |
ふるふるフューチャー☆ | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | |
迷走Mind | MASTER ARTIST(CD) | 2007 | |
目が逢う瞬間 | MASTER ARTIST(CD) | 2007 |
しかし、「目が逢う瞬間」があるのに「蒼い鳥」も「眠り姫」も「約束」も「arcadia」もない。「迷走Mind」があるのに「エージェント夜を往く」も「自転車」も「チアリングレター」もない。「Brand New Day!」があるのに「TRIAL DANCE」も「Next Life」も「コーヒー一杯のオマージュ」もない。なにより、「relations」が入ってないのはショックだった……。
贅沢を言ってはキリがないことはわかっているし、収録に膨大な手間がかかっていることは分かります(ステージ4Uモードを観ながら収録の手間を考えると頭がくらくらします)。
まあ、このあたりはアイマス名物の膨大なDLC(ダウンロードコンテンツ)地獄をにらんでの措置なのかなとも思います。アイマスはDLCで金を落とさせる典型的な課金ゲームで、新コスチューム1着1300円とか新曲1曲1500円とか、普通にシングルCDで買うよりも高い歌がくることも珍しくありません。
私はゲームではいっさい課金しないタイプなので、歌が増えないことがわかっていると、すこしだけモチベーションが下ってしまいます。追加要素を全て収録した追加ディスクが発売されれば買うかもしれませんが……。
あえていうと、「テレビアニメ版からアイマス世界に入ったファン」を見据えたゲームのようにも思えます。元のゲームとは若干キャラクターの性格・設定が変わっていたりするし(ただし、これはアイマスでは普通の現象)、ゲームのシステムも過去作とはかなり違ううえに、難易度が恐ろしく低いので、元のゲームのファンでもはまれるでしょう。
ただ、ゲームとしては延々と同じことの繰り返しで、新鮮さを求めると後々山のようなDLCの輪廻地獄にはまることになるので、完全な新規のファンにお勧めできるかどうかは微妙ですね。
(2014.06.20)