美食戦隊 薔薇野郎

1993年1月29日発売/ヴァージン・インタラクティブ/90点

(今回、やたらと「バカ」を連発しますが、すべて「褒め言葉」です。それを前提にご覧ください)

 いやぁ、キてます。
 たぶんこれ、スーファミの横スクロールアクションゲームの中で、一番キちゃってるゲームです。

 ゲーム自体は、かなり良く出来てます。コンティニュー無しというのはちょっとキツいものの、ライフ制を導入しており、必殺技のコマンド入力のレスポンスも良く、あまり腕が無くてもそこそこは進めます。

Q.では何がおかしいのか?
A.それ以外全て。

 兎に角、登場キャラクターからステージ、ライフの回復方法まで、全てがバカです。いやもう、ここまで徹底されると逆に清々しいほどバカです。

 まず、最初に選択できる三人の自キャラが三人ともバカ。爆発男爵ぼんじゅ〜る、爆発貴婦人まどもあぜる、大爆獣とれびあ〜ん、というネーミング自体がまずキてますが、それらが敵の襲い来るステージのど真ん中で、描きこまれたドット絵でポージングする様は、とても日本人のセンスとは思えません。
(唯一の女性キャラ「まどもあぜる」はトンでもないナイスバディの持ち主です)
 彼らはライフ制で戦っている以上、失った体力を回復しなきゃいけないんですが、この方法がまた素晴らしくバカ。ステージの途中で手に入れた「食材」をステージクリア後に掛け合わせて料理を作り、それを食すことで体力を回復するのですが、当然、その組み合わせでライフの回復量が変わってきます。

 代表的な組み合わせは、

「唐辛子 + 海老 = トムヤムクン (体力+20(平均))」
「卵 + 貝 = シーフードオムレツ (体力+6(平均))」

 という解りやすいものから、

「アイス + 米 = アイスクリーム丼 (体力-5(平均))」
「プロテイン + プロテイン = ただのプロテイン (体力±0(平均))」
「きのこ + きのこ = 毒キノコ (体力-999(平均))」

 と意味不明なものまで様々です。毒きのこに至っては、ほとんど即死級のダメージを受けることに。なんだこりゃ。

 では、彼らを迎え撃つ敵側のキャラはどうかというと、これがまた自キャラ三人がまともに見えるくらい、とんでもなくバカ。
 頭だけのモアイ像の上でコサックダンスを踊ってる超小人「もあい」、巨大化して頭が緑色になった目玉オヤジみたいな「でんき」、海パン鰭付きのマッチョ「すいまー」、もうその姿を形容のしようがない「よだれ」等、雑魚キャラだけでもうお腹いっぱいです。
 これがボスキャラになると、そのインパクトは更に三倍増。もうこればっかりはプレイしていただくしかありません。洗脳されること請け合いです。

 これらの、いい意味でブッチギレまくったキャラクターが、これでもかと描きこまれたドット絵で動きまくるんですから、す薔薇しいの一言。最高難易度の意外なエンディングなど、見所も完璧です。
 ちなみに、裏技を使えば、この個性的な敵キャラを使ってプレイできます。もっとも、「よだれ」は自分ではコントロールできませんし、「ミサイルだん」は落ちて爆発するしか攻撃方法がありません(もちろん、爆発したら死亡)。
 これでクリアできたら貴方も立派な薔薇野郎です。私には無理。

 ある意味、確信犯的なバカゲーですが、ここまでやってくれればもう言うことはありません。「ラブ・クエスト」と並んで、SFCで最も笑えるゲームの一つでしょう。

(なお、本作の強烈なキャラクターをデザインしたイラストレーター、斉藤智晴氏は、2006年7月29日、骨膜肉腫のため38歳の若さで亡くなりました。最後の作品となったXbox360「カルドセプト・サーガ」には、病のために片足を切断しながら参加したという、真のプロフェッショナルであった方です。氏のご冥福をお祈りいたします)

(2005.11.08)