発売機種 | 発売日 | 発売元 | 価格 |
業務用(MVS) | 1996年3月12日発売 | SNK | 98000円 |
+家庭用 |
異種格闘技大会「THE KING OF FIGHTERS」から半年が過ぎた。ロバート・ガルシアは時々極限流の道場に顔をのぞかせるだけで、毎日気ままな生活を送っていた。
今日も親友リョウの妹ユリとのデートのため、愛車ACコブラに乗り、海岸沿いの道路を軽快なエンジン音を響かせ走らせていた。が、その時、突然男が道路に飛び出してきた。
ロバートはとっさにハンドルを切り車を止めたが、飛び出してきた男の姿はすでになく、道路には女物のバッグが転がっていた。
そのバッグを取りにきたのは、息を切らせながら走ってきた1人の少女であった。
「ハァハァ。私のバッグ……、あなたが取り返してくれたんですか。ありがとうございます」
「え? 君のバッグやて? なるほど、あいつはスリっちゅうわけか。よかったな無事に戻ってきて」
「はいっ。なんとお礼をいったらいいか……。あら? そのペンダント」
ロバートの首にかかっているペンダントを見つけた少女は、自分の首にかけていたペンダントを差し出した。
「わいと同じペンダント。なんで君が……」
「私が子供の時、大の仲よしの子がいてね。その子がアメリカに渡ることになった時、お互いを忘れない印として私がその子に送ったものなの」
「えっ、じゃあ君は……」
「そう、私よロバート。フレア・ローレンスよ。私のこと忘れちゃった?」
「忘れるわけあらへん。フレア、すっかり見違えたなあ。ずいぶんといじめられたのに。親父さんは元気にしとるんか?」
「父は……死んだの」
「すまん。つまらんこと聞いてもうた……」
「ううん、いいの。私ね、これからグラスヒル・バレーにいくとこなの。父の友人でグラスヒル・バレーに住むワイラーのところにね」
「へえ、何でまた」
フレアはロバートにグラスヒル・バレーにいく理由を話した。
考古学者であった彼女の父は、南米で何かを発見したらしい。やがて、親友である生物学者のワイラーの父、ビクトリアと共に研究に没頭した。しかし、研究が進むにつれフレアの父はこの実験の中止を考えはじめるようになった。
理由は「危険」、ただそれだけであった。そして研究の続行を唱えるビクトリアと対立し、彼は研究データと共に研究所を去った。
ビクトリアを裏切ったことにフレアの父は死ぬまで悔やんでいたという。
「父の遺言で、持ち出した研究データをワイラーの元に届けるところだったのよ」
「なんか複雑な事情があるみたいやな。そや、わいがワイラーのところまで送ったるわ。思い出話もあるし、なにより最近退屈でしょうがなかったんや。グラスヒル・バレーっちゅうたら、サウスタウンにも引けをとらんぐらい危険な街やしな。ボディーガードちゅうんも大袈裟やけど、わいもそれなりに役に立つと思うで!」
こうしてロバートとフレアは、一路ワイラーの住むグラスヒル・バレーへと向かった。
「あっ、しまった。ユリちゃんにフォローの電話入れとかな……」
気力ゲージ&気力システム……「体力ゲージ」とは別に「気力ゲージ」が存在し、「気力ゲージ」は必殺技、超必殺技を使用するか、相手から挑発されると減少します。必殺技は気力ゲージが足りなくなると性能が落ちてしまいます。ゲージは「気力回復」で回復しますが、隙が存在します。
実質上、龍虎シリーズ最後の作品。
舞台の時代設定は、前作「龍虎2」から半年後。リョウとロバート以外は、キャラクター総入れ替えで、ユリもそのあおりで演出キャラになってしまいました(一応、ストーリーには絡むが……)。
今回もストーリー重視の演出は変わらず、主人公がリョウからロバートに変わり、「キング・オブ・背景」藤堂竜白の娘、香澄が登場。バトルの前には凝った演出が入り、ストーリーを盛り上げました(香澄はこのあと、「KOF」や「SVCカオス」にも登場するなど、人気キャラになりました)。もちろん、このゲームの影の主役で、全然しのんでない忍者No.1、不破刃も忘れてはいけません。凄い漢だ……。
(ただ、演出重視のシリーズの割には、演出面が充実しているとは言えないのが悲しいところ)
ロバートのエンディングでは、ユリが自分の意思でロバートのイタリア帰国について行き、リョウのエンディングでは、ユリがリョウ公認でイタリアに帰るロバートを追いかけ……と、ユリのストーリーとしては一気に進展を見せましたが……。
次回作の予定が無く、「KOF」がパラレル設定である以上、これ以降の展開が語られることはないでしょうね。(2023年9月、「餓狼伝説」に続いて「龍虎の拳」などの新作ゲームの企画が立ちあがったことが発表されました!)
ゲームとしては、2D格闘ゲームとしては初めてモーションキャプチャーを導入。アメリカで2ヶ月かけてモーションを収録し、本作の為に制作環境をアートボックスからMicrosoft Windowsに更新してモーションキャプチャーに対応し(キャプチャーしたデータをブラッシュアップしていくうちに原型をとどめなくなってしまったらしいですが)、滑らかなアニメーションを実現しています。
操作感覚も3D格闘ゲームに近く、浮かし技からの空中コンボやダウン攻撃などが追加され、前作とは全く違うものになっています(というか、浮かせてからの空中コンボが攻撃の超主体で、必殺技の存在がもはや空気)。
システムとして面白いのが「誕生日システム」で、MVS筐体内の時計と連動し、キャラクターごとに設定された誕生日にそのキャラクターを使うと、常時「ヒートモード」となり攻撃力が1.2倍になります(家庭用では不可能)。
残念ながらヒット作はならず、シリーズは頓挫。SNKの小田泰之氏によると、本作の開発スタッフはその後「月華の剣士」の開発をすることになります。
●二日目(vs.王覚山)
●王覚山戦後
●???
●四日目(vs.シンクレア)
●リョウエンディング
●最終日(ワイラー戦前)
●ワイラー戦後
●ロバートエンディング