THE KING OF FIGHTERS EX NEO-BLOOD

発売機種発売日開発発売価格
ゲームボーイアドバンス2002年1月1日発売アートゥーンマーベラスエンターテインメント5800円
ゲームボーイアドバンス
(GBA本体、KOF仕様クリアブラック、同梱セット)
15600円

メインストーリー

 高く澄む空冒涜し、母なる大海原を陵辱し、緑なす永遠の大地を蹂躙した人というモノを粛清すべく、長きに渡る眠りより目覚めた地球意思“オロチ”――そのオロチなる絶対存在が、三種の神器と呼ばれる者たちによって人知れず封印されてから、数ヶ月が過ぎていた。
「確かにオロチは封印されたのかもしれん。――が、その血はいまだにあの男の中に流れている。実に興味深い……面白い男だ」
「俺に任せてもらえりゃ、アイツがそんなにご大層なヤツじゃないってことを5分で証明して見せますよ」
「まだ根にもっているのか?」
 高い塔の上から下界を睥睨していた男は、鼻息の荒い部下のセリフに皮肉っぽく笑った。
 最高級のスーツに身を包み、革張りの椅子にゆったりと身をうずめている男の姿は、世界の経済界の重きをなす一大コネクションの総帥に相応しいものだったが、部下を一瞥したその眼光は、ビジネスマンというより猛禽のそれを思わせる。
 傲慢なまでの猛々しさをスーツに包み隠した男は、部下を振り返ってひとつ釘を刺した。
「――だが、あの男の力を見極めるのはお前の役目ではない。他にもっと適任がいる」
「あの小僧のことですか?」
「ああ。……そろそろ招待状を配らねばならんな」
 頬杖をつき、男は目を細めた。

 オロチの存在を知るごくわずかな人々が、オロチとの戦いがあったという過去をようやく忘れかけていたある日、ひっそりと人目をはばかるように、しかし明確な意図を持って、世界各地の格闘家たちのもとへ差出人の定かでない白い封筒が届けられた。
『キング・オブ・ファイターズを開催する』
 招待状を受け取った格闘家たちは、ある者はおのれの実力を確かめるために、ある者はその裏に隠されている後ろめたいものを感じ――大会参加の決意を固めていた。
 そしてその中には、オロチとの激闘の後、久しく行方知れずになっていたあの若者の名前もあった。かつてのチームメイトでもある二階堂紅丸、アメリカで知り合った葉花萌とともに、ふたたびKOFの舞台へと戻ってきた“払う者”――草薙京。
「俺がこうして生きてるんだ、あいつだけがあっさりくたばったって考えるのはムシがよすぎるか……」

「予想通りのメンツがエントリーしてきました。どいつもこいつも見慣れたツラばかりですよ。ちょっとした同窓会ってカンジですね」
「そうか……」
 部下の報告を聞いた男は、ゆっくりと視線を転じ、壁にもたれてたたずむ長身の青年をみやった。
「――これで舞台と役者は揃った。君の感想を聞きたいが?」
「…………」
 じっと腕を組んで瞑目したまま、赤毛の青年は答えない。精悍な横顔はあくまで無表情で、心ここにあらずといった風情だった。そんな青年の顔色を観察しながら、男が面白そうに問いかける。
「まだ何か不満があるのかね?」
「……もし俺が満足することがあるとすれば、それはこの手で奴を殺したその時だけだ……」
 無愛想にそうもらし、青年は前髪の奥の瞳を開いて窓の外を見つめた。
 どぎついネオンに彩られていた夜の街が、静かに朝を迎えようとしていた。剣のような三日月がその輝きを失い、代わりに目映い日輪が昇ってくる。決して交わることの無い月と太陽が交錯する、束の間の逢瀬のときがやってきた。
 オレンジ色の曙光に背を向け、青年は不意に歩き出した。
「……奴が来たら呼べ。俺の狙いは奴だけだ」
「おい、どこへ行く!? 勝手な真似すんじゃねえ!!」
「構わん、放っておけ」
「ですが――」
 スーツ姿がいささか似つかわしくない狂犬のような雰囲気を漂わせた男は、青年が姿を消したドアを見据えて奥歯をきしらせた。
「よろしいのですか? 監視をつけておいたほうが……」
「監視などつけても無意味だろう。その気になれば、あれは監視している連中を平然と皆殺しにして姿をくらませることができる男だ」
「だったら俺が――」
「それも無用だ。あの小僧が勝ち上がってくれば、あの男は呼ばずとも自分で戻ってくる」
 男が朝日を見つめて唇を吊り上げる。獲物を前にした猛禽の笑みだ。
「――差し当たって、我々はただ楽しめばよいのだ。このショーをな」

龍虎の拳チーム ストーリー

 開催が迫ったKOFを前にして、極限流チームは深刻な問題に直面していた。
 なんとメンバーのユリが、この歳にしておたふく風邪で寝込んでしまったのである。

 さらに悪いことに、タクマはメキシコ支部道場の視察に出かけており、アメリカを離れていた。
 もっとも、リョウとロバートは、タクマと組むといつもろくなことにならないので、それだけは避けたかったのだが……。

 思案に暮れる二人の前にとある人物が現れた。
 それは、ユリの見舞いに道場を訪れたキングであった。
「そや、リョウ! キングに助っ人を頼めばええんや!」
 こうして、急仕立ての龍虎チームが誕生した……。

コラム

 これまで携帯機向けの移植(?)を担当してきたタカラとは別に、携帯機で新たに登場した「KOF」です。
 SNKからの委託ではなく、マーベラス側から持ち込まれた企画なんだそうで、「オロチ編」と「ネスツ編」をつなぐオリジナルストーリーを用意するなど、たいへんな力の入れようでした。
 が、格闘ゲームとしては壮絶に残念なデキだったようですな。

 どれくらい残念なデキだったか、ということは、各レビューサイトを参照してください。たぶん、レビューはいっぱいあると思いますから。
 なんでもSNK側の製作スタッフは一人も加わっていないそうで、そういや、ストーリーも各所で日本語が微妙に崩壊……ふんぐぁっくっく。

 基本的なシステムは「KOF2000」を踏襲していますが、背景などは「KOF'99」からの使い回しです。
 CPU戦は「チーム戦」と「シングル戦」の2つの他、チーム及びシングル戦の2つが選択可能な「通信対戦モード」、プレイヤー1人でどこまで戦えるか競う「サバイバルモード」、最終戦クリア時のタイムを競う「タイムアタックモード」、対戦の練習が可能な「スパーリングモード」を搭載しています。

このゲームの問題点(「ゲームカタログ@Wiki 〜クソゲーから名作まで〜」の同タイトルからのページからの引用)。

 ユリはリョウ、ロバート、キングと龍虎チームから出場(意外にもこの組み合わせは本作のみ)ですが、今回はストライカー専用キャラクターとしての参加で、残念ながらメインキャラとして試合に出場させることはできません。
 というか、ユリはおたふく風邪でチームを離れているはずなのになぜかストライカー参戦。このように、本作のストライカー専用キャラクターは、チームストーリー上では参加不可能なはずなのに、どういうわけか参加しています。しかもチーム正規エンディングは、正規ストライカーを入れなければ見ることができません。

 ちなみに、「EX」シリーズに登場した十種神宝(とくさかんだから)は、以前にPSのADV「KOF京」にも登場しましたが、両作品では設定が大幅に違います 。

神宝該当者
(KOF京)(KOF EX)
沖津鏡テリー・ボガード葉花萌
辺津鏡アンディ・ボガード大神零児
八束剣リョウ・サカザキ華守純
蛇比礼ロバート・ガルシア黒咲壬羽
蜂比礼不知火舞天羽忍
品物之比礼キング(未登場)
生玉二階堂紅丸(未登場)
死返玉大門五郎(未登場)
足玉麻宮アテナ(未登場)
道返玉ケンスウ(未登場)