THE KING OF FIGHTERS '94

発売機種発売日発売元価格
業務用(MVS)1994年8月25日発売SNK68000円
家庭用

メイン・ストーリー

 西暦1994年。
 世界中の格闘家たちにまたもや『キング・オブ・ファイターズ』の招待状が届いた。しかし、差出人は不明。主催者はギースでもクラウザーでも無いはずだ。

 それでは、一体誰が…………。

 疑惑と期待の中、格闘界歴戦のスーパースター達が、新たな対戦形式のもと、強力なチームを結成し始めた。
 歴史に残る豪華な顔触れがどんな対戦を見せてくれるのか。
 人々のボルテージはすでに最高潮に達している中、大会はついに開始の時を迎えようとしている…………。

ユリ・サカザキ チームストーリー

「だめったら、だめだ! 絶対にだめだ! オレは絶対に許さないぞ!」 
 烈火の如く反対する兄・リョウの言葉を思い出すと、ユリは頬をふくらませた。
「なによ、お兄ちゃんったら、あんなに怒ることないのにさ。おまけに父さんと、ロバートさんとチームを組んじゃうなんてズルイ!」 
 怒りが収まらないままではあるが、ユリはふと冷静になった。
「どうしよう……。3人一組なんて……。そうだ!」 

「も〜ぅ!  アンディったらヒドイ!  せっかく3人で出場しようと思ってたのに……」
 舞は途方に暮れてつぶやいた。
 アンディは早々とテリー、ジョーとチームを組んでおり、ほかの知り合いは皆、行方不明。
「一体、どうすればいいのよぉ……」
 がっくりと肩を落としている舞の目の前に、同い年くらいの女の子が立っていた。
「不知火……舞さん、ですよね?」 
 その声の主の少女は、いつものような快活なイメージとは違う、初対面のせいか少しあらたまった口調をしたユリ・サカザキであった。
「はい。そうですが…… 何かご用?」 
 それに応えて
「実は……その……」

「なんだぁ! あなたもだったの!」 
「そうなの! ひどいでしょ〜!!」
 初めて会って数分後に、2人はすっかり打ち解けていた。
「でも、あたしたち2人のほかに誰か心当たりがあるの?」 
 舞が訊いた。
「ええ、1人イギリスにね♪」
「ええっ!? イギリス〜!?」
 このやりとりの後、美しき女性格闘家チームが結成されたのは、そう遅くはなかった。

コラム

 さぁ、出ました。今やすっかりユリ・サカザキの代表作となり、最大の出世作となったKOFの第一弾。
 当初、「剣道のように先鋒、次鋒とあるようなチーム戦の格ゲーはどうや」と語りだした上司がおり、それだとキャラクターが多くなるから「餓狼伝説」や「龍虎の拳」のキャラクターを借り、ついでに「怒」「アテナ」も巻き込んでいつの間にかオールスター企画になった、と言う経緯があります。
 当時、格闘ゲームメーカーとしての地位を固め始めていたSNKの人気キャラクターが総登場、という企画には誰もが驚き、そりゃあ、このタイトルが世に出たときの衝撃は凄いものがありました。
「あの噂は本当だった!」という衝撃的なテレビCMの効果もあり、大ヒット。
 24人というプレイアブルキャラクターの数も、当時としては普通の格闘ゲームの二倍の数で、しかも独特のシステムを持つ「龍虎の拳」シリーズのキャラは、どうしても必殺技の数が多く、強くなりがちで、開発には相当苦心した模様。
 実は、企画段階では、ユリはこのゲームに登場する予定はありませんでした。しかし、当時並行して開発が進んでいた「龍虎2」のユリを見て製作スタッフが惚れこんでしまい、容量的に問題があったキング、ビリー・カーン、ビッグ・ベアのイギリスチームからベアを削り、ユリを入れた、というエピソードが残っています。

 ただ、その本作のユリ、実は悲しいほどに弱いです。
 攻撃力が低さと必殺技のスキの大きさがたたって、ゲーメスト増刊「KOF'94」の対戦ダイアグラムでは、なんとブービーの不知火舞を抑えての単独最下位(24位)。互角に戦えるのが舞とチョイの二人だけという惨状でした。
 キングが一人7位と気を吐いたものの、舞(23位)とユリの弱さもあって、チームダイアグラムも悲しい最下位でした。

 ついでに、もう一つミニトリビア。このタイトルを製作したのは、アーケードから撤退したアイレム社から移ってきたスタッフなのですが、その当時のSNKのゲーム・キャラクターの設定に詳しくないまま製作してしまったため、正史では20歳近く年齢が離れているはずのテリーとリョウが同年代でできてしまった、という裏話が。
(とはいえそのKプロデューサー、SNK入社は1989年らしいんですが)
 システムは「攻撃避け」など、基本的に「餓狼伝説」シリーズのものが採用されていますが、ピンチに陥ったチームメイトを待機中のメンバーが助けてくれる「援護攻撃」など、チーム戦ならではのシステムもあります。

 ちなみにこのゲームが原因で当時、「ゲーム批評」誌とKOF開発チームがケンカしてます。

必殺技コマンド

特殊技コマンド
燕翼 or + D
必殺技コマンド
虎煌拳 + A or C
砕破 + A or C
雷煌拳 + B or D
百烈びんた + A or C
覇王翔吼拳 + A or C
超必殺技コマンド
飛燕鳳凰脚 + BC

勝利メッセージ

ブラジルチーム「軍人さん、ちょっと暗いんじゃない。もっと明るく行こうよ!」 
中国チーム「すっごぉーい! 今度私にも超能力教えてよね!」 
日本チーム「女だからってなめないでよ! これでも極限流空手の達人だぞ!」 
アメリカチーム「本気出したらこんなもんよ! 体の大きさなんて関係ないわ!」 
韓国チーム「すっごい面白いチームだけど、それだけじゃ私たちには勝てないよ!」 
イタリアチーム「噂ほどじゃなかったな。お兄ちゃんたちのほうが強いんじゃない?」 
メキシコチーム「どう! 私をメンバーに入れなかったこと、後悔したでしょう? へへ」
イギリスチーム「ほーんとそっくり! 今度会うときはもっと強くなっててね」

敗戦メッセージ

草薙京「なかなかいい動きだったが、見切れりゃなんて事はねえ!!」
二階堂紅丸「君達には格闘技よりもドレスの方が良く似合うよ!」 
大門五郎「中途半端な志では勝てぬぞ!」 
テリー・ボガード「結構やるじゃないか! これに懲りずに頑張りな!!」
アンディ・ボガード「これに懲りてもう闘いには首を突っ込まない事だな」
ジョー・ヒガシ「だから言わんこっちゃねえ。もうやめときな!」 
リョウ・サカザキ「大怪我をしてからじゃ遅いんだぞ! もうやめとけよ!!」
ロバート・ガルシア「ユリちゃん、ええかげんにしとかんと、その内ケガするで!」 
タクマ・サカザキ「早く帰るがいい! 全く、親不孝もいい加減にせんか!」 
ハイデルン「ここは戦場だ! 甘く見ていると大けがをするぞ!」 
ラルフ・ジョーンズ「お嬢さん達、可愛い顔が台無しだぜ!」 
クラーク・スティル「ケガするのが嫌なら格闘をやめる事だな!」 
麻宮アテナ「私がSNKヒロインの元祖なの。ごめんね………………」
椎拳崇「みんな可愛いけど、アテナの方がちっとだけ上やな!」 
鎮元斎「やれやれこりゃまたバアさんにしかられるわい」
不知火舞「私たちのつもり? 化けるならもっと強くなってからにしてよね!」 
キング「いくらマネをしても無駄よ! 本物の技に勝てはしないわ」
ヘビーD! 「ここは力がすべてだぜ! その細腕にゃ過酷すぎるんじゃねえか!?」
ラッキー・グローバー「あんたたちならいつでも相手になってやるぜ!」 
ブライアン・バトラー「オレたちを倒すには、力不足だったようだな!」 
キム・カッファン「華麗な技を持っているが、相手が悪かったようだな!」 
チャン・コーハン「ワッハッハッ! 当然の結果じゃねえのか? おじょーちゃんたちよ!」 
チョイ・ボンゲ「美しいものを切り刻むのは快感でんす! ヒョ〜ッヒョッヒョ!」 
ルガール・バーンシュタイン「君達は私のコレクションの中でも最高の物となるだろう!」 

途中デモ

ルガール「元気のいいお嬢さんたちだ。しかも、かなり強いと見た。ふっ、是非とも優勝してもらいたいものだな……」

ラストバトル前

ルガール「ハッハッハッハッ!」 
ルガール「ようこそ、お嬢さん方。私がこの大会の主催者ルガールだ!」 
「待ってましたぁ! 優勝賞金!」 
ルガール「ハッハッハッハッ! 全くせっかちなお嬢さんだ。残念だがまだ優勝賞金を渡す訳にはいかないのだよ」
ユリ「なっ、なんでよぉ! ちゃんと優勝したじゃない!」 
ルガール「いいや! 私との戦いが真の決勝戦となるのだよ! 但し、君達が負けた場合は、私のコレクションになってもらうがね」

「コレクション?」 
ルガール「周りの像を見たまえ! この像こそ私が今まで倒してきた格闘家達そのものなのだよ! どうだ、すばらしいだろう」
ユリ「げぇ〜、悪趣味ぃ!」 
ルガール「ハッハッハッ! だが、君達は像ではなく特別に剥製にしてやろう。その姿……像に塗りこめてしまうにはおしいのでね」
キング「あら、ありがとう。せっかくだけど遠慮しとくわ!」 
ルガール「フンっ! まあいい。出来るだけキズをつけずに殺してやろう。ではバトルステージへ招待しよう」

ボス初戦後

ルガール「フッフッフッ……。なかなか楽しませてくれるではないか……。では、私も本気で戦うとしよう!」 

エンディング

ルガール「ば、ばかな! この私が敗れるとは…………!」 

「ほら! そんな事、言ってるから負けるのよ!」 
ユリ「とにかく勝ったのは私達よ! さあ優勝賞金を渡してよ!」 

ルガール「フッ……ハッハッハッ! この後に及んでも賞金か!」 
ルガール「よかろう、ここにあるものなら何でもくれてやる。但しここから生きて出られればな……」
ルガール「私と共に滅びるがいい! さらばだ!」 
キング「あぶない! 逃げろ!」 
キング「ふぅ〜、何とか助かったか……」
ユリ「あの人死んじゃったのかしら?」 

「さあね。でもまあ、もらう物はもらったしぃ……」
「これよ、これ!」 
キング「そうそう、これでこの大会に参加したかいがあったってものだよ」
ユリ「うん! そうだね」

舞・キング・ユリ「オ〜ホッホッホ」
舞・キング・ユリ「オ〜ホッホッホッホ……!」