■ 龍虎の拳
ネオジオ
1992年12月11日発売
SNK
28000円
PCエンジン(アーケードカード専用)
1993年3月13日発売?
アイレムソフトウェア
4980円
スーパーファミコン
1993年10月29日発売
ケイ・アミューズメントリース
9800円
メガドライブ
1994年1月14日発売
セガ
8800円
PCエンジン
1994年3月26日発売
ハドソン
6900円
ネオジオCD
1994年9月9日発売
SNK
6800円
■ メイン・ストーリー
欲望と野望が渦巻く街、サウスタウン。
力ある者が明日のために己を懸け、信念なき弱者は夢に破れて屍をさらす―この野生の法則だけが、この街のたったひとつの掟であった。
この街に道場を構えて幾年―極限流空手師範、タクマ・サカザキもまた、この街の弱肉強食の掟を生き抜いてきた人生の猛者のひとりである。
「立てい! リョウ! それしきのことで漢が務まるか!」
道場内、タクマの慄然とした瞳の先に、そのリョウと呼ばれた少年はいた。
「…だめだ、だめだよ…ボクには無理だ…父さんみたいに強くはなれないよ…」
涙に震えしなだれる金髪の少年――その者こそ、将来「無敵の龍」と呼称されることになる偉大な格闘家、リョウ・サカザキであった。
「女々しいぞ!自分の限界を見極めもせずに、はなっから諦めて何とする!」
タクマの憤怒の拳が、リョウに向かって唸りを上げる。
「せ、先生っ!もう堪忍したってや!リョウには…リョウには武術は向いてないんや…」
膝を落とすリョウをかばうように、タクマの前に一人の少年が立ちはだかった。
彼の名はロバート・ガルシア。イタリアの大資産家アルバート・ガルシアのひとり息子である。
父、アルバートの示唆により、ロバートは帝王学の一環として極限流道場に入門し、タクマを師と崇めている。
「…リョウ、お前が自分自身に打ち勝たぬ限り、お前の人生は始まらないのだ…本当の「強さ」とは何であるか、しかと心で感じ取るがよい…」
タクマはそれだけ言い残すと、リョウたちに背を向けて去って行った。
「…げ、元気だせやリョウ…あんまりしょげてると、ユリちゃんに笑われるで」
友人のそのなぐさめの言葉に、今のリョウにはただ力なく頷くことしか出来なかった。
その日の夜のことである。
外出したタクマと妻、ロネットが不慮の交通事故に巻き込まれるという事件が起こった。
幼い妹を連れて病院へ向かったリョウは、そこで悲しい現実と直面する。
…母は既に帰らぬ人となり、加えて、事故直後からタクマは消息を絶ってしまったのだ。
この日から、幼い兄弟のたった2人の生活が始まった。
道場は門をとざされ、親友のロバートは一時サウスタウンを離れることを余儀なくされた。
「…リョウ、ワイは必ず帰ってくる。それまでユリちゃんのこと、しっかり頼むで」
ロバートのその言葉を忠実に守るかのように、それからのリョウはユリを守るためだけに生きた。
ユリの笑顔のため、ユリの幸せのため、リョウは様々な修羅場をくぐった。
賭けストリートファイトでアザの耐えない日々が続き、何度も自分の無力さを呪う夜が続いた。
しかし、そのたびに思い出される父の言葉と、ユリの笑顔に励まされ、リョウは「拳だけでは知ることの出来ない、人間としての強さ」を育みつつあった。
「オレには守るべきものがある、倒れるわけにはいかない」
その信念は少年を強くした。
いつしかリョウは街でも評判のストリートファイターとなり、優しき心と修羅の拳を持つ「無敵の龍」へと成長したのであった。
そして同時に、再びリョウたちの前に姿を現したロバートもまた、「最強の虎」へと成長していたのである。
そしてそんなある日、その事件は起こった。何者かにより最愛の妹、ユリが連れ去られてしまったのだ。
「誰が!? 何のために!?」
わずかな手掛かりを元に、リョウとロバートはサウスタウンを駆ける。
10年前の交通事故…父、タクマの失踪…そしてユリの誘拐。
リョウは黒い宿命の渦を感じながらも、まだ見ぬ謎の敵に向けて、怒りの拳を震わせるのであった。
今、龍虎たちの運命の歯車が、ゆっくりと回り始める…。
■ コラム
ユリ・サカザキがキャラクター・デビューを果たした記念すべき第一作目。
とはいえ、ストーリーにもある通り、役割は敵役である「組織」が父・タクマを利用するためのエサとして誘拐されるという、不遇のデビューとなりました。
もちろん、このストーリーが後々、ユリというキャラクターを確立させるために大きな役割を果たしたことは言うまでもありません。
…なんだけど、この頃はまだ『兄思いの優しい妹キャラ』という位置づけだったような気がするのですが、「龍虎2」以降の変遷を、このとき誰が予想できだかッ…。(^^;;)
ところで、多くの機種に移植された本作、スーファミ版には独自のエンディングが存在するのが面白いところ。BIGがギースの部下になっている時点で違和感炸裂ですが、これを素直に信じると、テリー・ボガードの敵討ちの対象はギースではなく、タクマということになるのだが…。
■ エンディング(スーパーファミコン版)
タクマ
「リョウ、流石だな。しばらく見ぬ間に随分と腕を上げたもんだ」
リョウ
「父さん! 一体……一体どういう事なんだ!」
タクマ
「リョウ。儂はお前達のもとを去ってから、ロネットを事故死させた奴を追って各地を歩き回った。
やがて儂はこのサウスタウンへとやって来たのだが、なかなか手がかりが掴めず、酒浸りの生活が続くようになった。ギャンブルにも手を出し、多額の借金まで作るありさまだった。
そして路頭に迷った儂の前に、ギース・ハワードと名乗る男が現れ、借金の肩代わりをする代わりに、事業の手助けをしてほしいと言ってきた。だが儂はギースの本性を知ってしまった。ギースと奴の部下、BIGの密談を聞いてしまったのだ……」
BIG
「ギース様、ここまでくればサウスタウンを手中に収めるなどもはや時間の問題でしょう。ただ、あのジェフ・ボガードとかいう男、早く始末しておかねば後々厄介な事になろうかと」
ギース
「フッ、それならば既に手は打ってある。この間拾ってきたタクマとか言う男、聞けば極限流空手の師範とか……。ストリートファイトと称してジェフと戦わせ、奴を消す。その後でタクマも消せば、なに、造作もない事よ」
ロバート
「ギースか……そいつが黒幕ちゅうわけやな。よし、ワイが軽く片づけたる!」
リョウ
「ロバート、落ち着け! 父さん、続けてくれ」
タクマ
「後で解ったことだが、奴も拳の達人らしく、奴の手でその男を始末できただろう。だが、そんな事をすれば実業家としての地位が危ぶまれる。
そこで奴は極限流空手師範の儂の存在を知り、力を利用しようとしたわけだ。無論、儂は応じなかったが、奴はユリを人質に取って……儂は言うことを聞くしかなかった」
タクマ
「リョウ、それにユリ。突然お前達の前から去った上、こんな事にまで巻き込んでしまって……。随分と苦労をかけたな。儂はお前達に父親らしい事を何もしてやれなかった。儂を許してくれ。儂は父としても人間としても最低だ……」
ユリ
「お父さん……。お兄ちゃん、お父さんを許してあげて!」
リョウ
「父さん、もういいよ。無事でさえいてくれたら、生きていてくれさえすれば、俺は何も言うことはないよ」
数日後タクマは、極限流空手師範の座をリョウに譲り、自ら街外れに小さな道場を開き、日夜指導に当たっていた。一方道場に戻ったリョウとロバートは更なる修行を続けた。