1920年代まで、女性の衣服はほとんどすべて家庭で、または個人の体型に基づいて仕立て屋が作っていました。それまでは、女性が店先で気に入ったドレスを即座に買って満足に着て歩く光景はほとんどなたっかのです。
1920年代以降、既製服の大量生産が始まったころ、メーカーが従うべきサイズの標準がなかったため、消費者は様々なメーカーが独自に製造した様々なサイズを選別しなくてはならず、通販会社は大量の返品に対処しなければなりませんでした。メーカーの要請により米国農務省は1937年に15,000人のボランティア女性の体型を測定し、標準サイズの推奨値の作成を目的にデータを統計的に分析する大規模プロジェクトを行いました。若々しい都市部の白人の女性が対象の中心であったことなどいくつかの問題はあったものの、多くの女性の身体の59ヶ所を測定し、1941年に結果が報告されました。
1937年当時の平均的なアメリカ人白人女性は、バスト35.6インチ（90.4cm）、ウェスト29.15インチ（74cm）、ヒップ38.82インチ（98.6cm）だと判明しました。ただアンダーバストの測定はされませんでした。そのため、女性のバストと腕の測定値、または身長とバストの相関関係を調べることはできましたが、カップサイズを他のものと関連させて調べることはできませんでした。
1937年当時の白人女性の平均的体型（サイズはインチ）（クリックで大きな絵になります）。
この研究で最も一般的なバストとヒップの相関関係は、身長5フィート3インチ（160cm）で、バスト33インチ（84cm）、ヒップ37インチ（94cm）（差3インチ（7.5cm））でした。最終的に、この研究は豊富な情報を生み出しましたが、標準サイズの策定までにはいたらず、のちにメーカーごとに独自の基準が策定される結果にもなりました。
2023年現在、普通の身長で世界最大のバストを持つ女性は、アメリカのアニー・ホーキンス・ターナー氏で、身長149.9cm、体重204kg。3サイズは不明なものの202cm（USAサイズで102ZZZカップ！）という圧倒的なトップバストを所有しており、その乳房の重さは40kgに及びます。彼女のバストは豊胸手術によるものではなく、巨大乳房症の影響によるもので、今も大きくなり続けているそうです。
彼女はノーマ・スティッツの芸名で多くのソフトコア・ポルノに出演していますが、個人のウェブサイトを立ち上げたところ、最初の一年で100万人もの登録者を集め、約5万ドルを稼いだそうです。
豊胸手術を経て巨乳を手にした人では、アメリカのチェルシー・チャームズ氏。身長157cm、B182-W58-H86であり、これはかつてギネスブックに登録されたマキシ・マウンズ氏（アメリカ）のトップバスト153.7cm（Mカップ（USサイズ）／アンダー91.4cm）をしのぐ大きさです。
同じく9回の豊胸によってBカップからMカップ（KKKカップ）のバストを手に入れたシェイラ・ハーシー氏（ブラジル／主婦）は、そのためにバストに7リットル（「cc」ではない）以上のインプラントを注入し、「これ以上の豊胸は、バストが破裂する危険がある」と、以降の手術を医師から拒否されたといいます。
ハーシー氏は車の運転中に事故にあった時、エアバッグが開かず大きなバストがクッションになって命が助かったことがあるそうです。しかし、ハーシー氏はこの後、手術跡から黄色ブドウ球菌が浸入し感染症を発症。2010年9月に胸部組織を切除し、今後も時間をかけて「ノーマルな大きさ」の胸に整形していく予定だとニュースになりました。
（チェルシー・チャームズ氏とマキシ・マウンズ氏の豊胸手術はポリプロピレンストリングと呼ばれる、現在では禁止されている手法によるもので、ハーシー氏との単純な比較はできません）
なお、チェルシー・チャームズ氏とアニー・ホーキンス・ターナー氏（ノーマ・スティッツとして）には公式ウェブサイトもありますが、18禁サイトのため閲覧注意。
なお「世界最大のブラジャー」は、挑戦的なブラジャーを試作することで知られるトリンプのもの。なんとトップバスト28メートル、アンダーバスト24メートル！（このスクリプトで言えば、132Zカップ）
トップバスト28メートルがゴールデンカノン（身長×0.54）になるのは身長約52メートル。初代ゴジラやウルトラマンレオ、ウルトラマンアグルがちょうどこのくらいの身長だそうですが、例に出してもさっぱり想像できません。
また2011年には乳がん啓発サポーターのバニッシュによって、乳がん啓発運動のために長さ29.6メートル（32メートルとも）、カップは7×2.5メートル（サイズは1222Bカップだそうです）のサイズのブラジャーが作られ、ギネス記録に認定されました。なお、このブラジャーはチャリティーオークションに出品され、約46万円で落札されたそうです。商品の説明では「屋根にかけてもよし、巨大ハンモックにするもよし」といったが書かれたいたらしく、落札者はどのように使用しているのでしょうか。
「当社ではHカップまでの製作なのでわかりかねる」（トリンプ）、
「JIS規格で定められたIカップまでしか製造していないのでわからない」（ワコール）、
「Kカップまでの商品を扱っており、Zカップは想定していない」（ルイ・グラマラス）、
とのことで、残念ながらわかりませんでした。大手で想定していないということは、Zカップ以上の表記は正確には存在していないと見ていいでしょう。
それにしても、業務内容外の質問メールであるにもかかわらず、なんと三社ともメールの発信から三時間以内にごく丁寧な返信を頂きました。さすが業界大手です。ありがとうございます。
（同じサイズ表記で最大のサイズになるのは、イタリアのブラジャーです）。
ちなみに約2京5000兆cmは、N700S系新幹線で到達するのに約8万6400年以上かかる距離です。おそらくこれで計測できないのは「天限突破グレンガラン」の最終形態グレンガラン（銀河系と同程度の大きさがあるそうなので、最低でも身長約10万光年）くらいのものでしょう。
なお人類史上最大の体重は、女性ではキャロル・アン・イェーガー氏（1960〜1994）で最大時に公表では727kg（BMI251.6）ありました。彼女は1993年に236kgのダイエットに成功しています。男性ではジョン・ブロウワー・ミノック氏（1941〜1983）の635kg（BMI185.5）。彼も1978年に16ヶ月で419kgものダイエットに成功していますが、1981年には432kgに戻ってしまいました。