頑張るということ

例外は無い

 夏休みに入った一日、私は知り合いの数人と飲みに出かけた。酒の飲めない私だが、知り合いと語り合えるこういう機会は好きで、よく出かけている。
 時は夏の高校野球と世界陸上で盛り上がっていた時で、スポーツ観戦好きの私はもちろん、その日同席したヤツらも、一言二言語りたさそうにしていた。

 で、予想通り、場はその話題で盛り上がったのだが、その最中、最年長の一人が、こんなことを言った。
 曰く、

「自分を感動させられない者が、他者を感動させられるワケがない。
 自らに向き合えない者が、他者に向き合って勇者たりえるはずがない。
 つまるところ、『頑張る』というのは、そういうことだ。どんな競技、どんなジャンルにおいても、例外は無い」

 なるほどね。
 その人は、今でこそ営業をやってるけど、学生時代はずっとラグビーをやってたバリバリの体育会系だ。「ならでは」の言い回しだが、説得力は確かに有る。

 激しくジャンル違いだが、心当たりが無いわけじゃない。
 自分で書いてて面白くない小説を、他者が面白いと思うか? 感動モノのつもりで書いて自分が感動できない作品で、読者が感動するか?
 いつも、書いてて自分で悩む。いくら表現力が身について、いくらそれで取り繕っても、面白くないものは、はっきり言って面白くないのだ。
 自分の才能は兎も角、「頑張る」という行為に限界は無い。
 一人で書いて満足するなら、今のままでもいい。多くの人に見てもらえているとわかっている今、自分で「頑張る」切っ掛けにする、いい機会なのかもしれない。

 いっちょまえにそんなことを思いつつ、ビール二杯でダウンした私であった。