私が幻想水滸伝4に出会ったのは、2004年8月、発売から半月ほどたってからでした。
最初のプレイでは、最初の海戦に敗北、そのまま積みゲー行きになってしまいました。
しかし、どういう心境の変化か分厚い攻略本を買い、研究を重ね、最初の海戦をケネスで突破! 本当にプレイを楽しみ始めたのはここからでした。
確かに、プレイしてて「?」と思うことはありました。しかし、それ以上の面白さがこのゲームにはあったのです。
世にあふれる名作ゲームと比較して、幻想水滸伝4が名作だとは決して言いません。それどころか、イベントの省略は激しいわ、エンカウント率はやたら高いわ、船は扱いづらいわで、私に言わせても立派なクソゲーです。
しかし、その「クソゲー」の小説を、私は書きたくて書きたくてたまりませんでした。理由は自分でもよく分かりません。おそらく、リノ、フレア、ジュエル、ポーラ、クレイ等、多くの人物の魅力だったのだと思います。
いくつかの短編を経て、2008年8月、この「クォ・ヴァディス」を書き始め、足掛け8年2ヶ月、ようやく2016年10月、完結することができました。その影には、WEB拍手でコメントを頂いた多くの方の励ましが力になったことはいうまでもありません。
この小説は戦記ものですが、書きたかった裏テーマとして「家族愛」があります。家族を知らない主人公と、歪んだ家族愛にこだわる悪役、というテーマを書くのに、このゲームほどぴったりの題材はなかったのです。そして主人公とグレアム・クレイ、この二人が、とても魅力的なキャラクターであったことも幸いしました。
私は、これからも大好きなこのゲームの小説を書くでしょう。それが長編になるか、短編になるか、それは分かりません。しばらくは「クォ・ヴァディス」の改訂を続けながら、少しずつ案を練っていきたいと思います。(追記:2016年10月26日、最後の改訂を終えました)
「クォ・ヴァディス」全23話+α、全136回、ご愛読いただきまして、本当にありがとうございました。ご意見、ご感想など、いただけると嬉しいです。
それでは、また短編なり長編なり、次回作でお会いしましょう。
2016年10月、KEEF
■マクスウェル
我らが主人公です。たぶん、真の紋章に頭突きをかました、唯一の幻水二次創作主人公でしょう。まあその分、自分も味方から殴られるわ、チョップされるわ、吊るされるわ、敵からは斬られるわ、刺されるわ、抉られるわ、撃たれるわの大騒ぎでしたけど。
これでも、当初の予定からしたらだいぶハッピーエンドになりましたが、彼は国王にはなりたくないだろうなあ。永遠の「リーダー」という印象ですね。
■ジュエル この物語の準主人公。彼女の存在なくしてこの物語は存在しませんでした。彼女の最期も、セリフが一つしかないのも、最初からの決定事項でしたが、その機会になにを言わせるかは最後までかなり悩みましたね。
■マノウォック公爵ハーキュリーズ
ガイエン公国のエロエロ女公爵です。オリジナルキャラクターでは一番のお気に入りです。最初は八房の眷族紋章の持ち主ではなく、「T」のクロウリーみたいに、「力強化の紋章」を身体中に仕込んでの肉弾戦特化のキャラクターだったんですが、書いていくうちに気に入ってしまい、ちょっとだけ重要度がアップしました。
死なずにすむなら殺したくなかったキャラクターですね。で、ずーっとギネをからかってると。ギネが誰かと結婚したらたぶん拗ねます。
■ポーラ
実はこの小説で一番はっちゃけたキャラクターです。可哀想な役で理性派として登場したはずなのに、最後はそんなこと忘れて開き直っちゃった。
キレたら一番怖い人なのに、事あるごとにキレてたような……。
■ヘルムート
最初から最後まで作者の思惑通りに動いてくれた、珍しいキャラクターです。彼がこうまで筋書き通りに動いてくれなければ、「クォ・ヴァディス」のストーリーはもっとしっちゃかめっちゃかになるところでした。
とはいえ、最初から死ぬ予定ではあったんですが……。
■クロデキルド
ご存知「幻想水滸伝ティアクライス」からのゲスト出演です。キリルとの中の人つながりということで特別出演願いました。
生真面目な性格が功をそうして、適所々々で正確にツッコミを入れてくれる、実にいいキャラになったと思います。幼ビッキーとの凸凹コンビは必見。
ただ戦闘方面での活躍が少なかったので、もう少し戦わせてあげたかったですね。
■幼ビッキー こちらは「幻想水滸伝3」からのゲスト出演です。PSのアドベンチャーのほうが初出だっけ? 彼女の出現によってビッキーの出番が大幅に減ってしまったことは残念でしたが、この子がいないと紋章術士グループでのツッコミ役が皆無だったので、自然と出番が増えてしまい、途中から開き直ってカレー大会とかやってしまってます。
■キャンメルリング公爵ギネ
ガイエン公国の侯爵→公爵→皇太子閣下という出世頭。オリジナルキャラクター。「酸いも甘いも経験した人生の達人」として書きたかったんですが、なかなか上手くいきませんでした。最後はスノウストーカー・兼・驚き役になっちゃいましたね。
ちなみにこの人、モデルがいます。見たら一発で分かるよ。
■霧の船の導師
「何しに出てきたんだ、テメーはよー」という、壮絶な出落ちキャラ。えらそうなことを言いつつ出てきた瞬間にばっさりやられた、まさにドリフオチ。
まぁ相手が悪かったよ、真の紋章だったですからね。これでも死んでません。また出てきそうですね。
■ジーン
偉大なる紋章師。「幻水5」以外ではゲームの本編での活躍の場がほとんどない彼女ですが、それゆえにスポットを当ててみました。今回はたま〜にボケをかましてくれます。ただ、謎を残しながら活躍させるって、難しいわ。
ちなみに「この」ジーンさんは料理できません。
■リノ・エン・クルデス
怒ったり拗ねたりで忙しかったオベル国王です。とりあえず空気を殴るのと、手紙を丸めて捨てたり破ったりするのがお約束になっちゃいました。
なんでかわかりませんが、とにかく動かしやすいんですよ、この人。指導者たちの間では一番の経験者なんだよね。その人生経験も賜物でしょうか。
ちなみに別作品とのつながりで、マクスウェルと覆面姿で殴りあうという謎のハロウィンをやらかしてます。
■リシリア
ポーラの妹分にあたるエルフの少女。オリジナルキャラクター。この物語は彼女の成長記録(のつもり)でもあります。作者は悪い心の持ち主ですが。
場面々々で口調がころころ変わりますが、これは人間に対しては敬語を使わず、エルフのポーラにだけ女の子っぽい喋り方をするためです。
実はこのサイトのオリジナル対戦ゲーム(スクリプト)に、裏バージョン「覚醒リシリア」とともにゲストボスとして参戦してます。探してみてもいいかも?
■スノウ・フィンガーフート
実はもっと活躍の場が多いはずだったのに、「ガイエン編が長すぎる」という理由でその出番を大幅に削られてしまったもっとも可哀想な人。爵位はガイエンの公爵までいったので、人生もっとも成功した人のはずなんですが、物語的には残念でした。
次回作があれば、「腕」の称号(?)に相応しい活躍をさせてあげたいですね。
■グレアム・クレイ
この人も悔いが残る人です。政治的な駆け引きが多い小説だったせいか艦隊戦が少なく、ほとんど活躍させてあげられませんでした。なんかいつもデスクに向かっている印象で、腰痛が心配なのでバンテリンでもプレゼントしたほうがいいでしょうか。
ただ、この小説の裏テーマ「家族愛」をもっとも体現したキャラとしては、成功だったといえるかもしれません。
■ケイト この小説最強のジョーカーです。どちらの側につくわけでもなく金次第でどんな仕事でもする何でも屋。平気な顔して散々ストーリーを引っかき回してくれたうえに、任務達成率100%というとんでもない人です。ちょっと忍者を優遇しすぎたかなぁ。この先もアカギとミズキをからかいながら、好き勝手に生きていくんでしょうね。
■マキシン
「強えーな、おい!」というのが書いている最中の感想でした。最初はリシリアの壁として立ちはだかるだけの予定だったんですが、書いてるうちにどんどん出番が増え、ついにラストバトル四連戦にも登場。七人がかりでようやく倒せるほど強キャラになりました。
なにせ銃で胸を貫通されても生きてるんだもの、たぶん原作より強いよね、この人。