クォ・ヴァディス 70

INTERMISSION - 太陽暦380年、ラズリル -

 昼過ぎのティータイムを一緒に過ごし、ソニアは、老ターニャと論議をし、祖母の著書に目を通すという行為を繰り返している。
 祖母の記録には時折、生者にしかわからぬ機微というものがあり、ソニアはまだ死の経験はなかったから、「当時の生者」の精神状態は、これは経験者である祖母ソニアに聞くしかない。

 例えば、群島解放戦争のおこる前よりおよそ統一した国家思想とは縁が無かったガイエン公国の場合。
 この時期のエピソードを読むのなら、実はラズリルやオベルよりもガイエンのほうが面白い。ラズリルなどは、事態が硬直して果てのない緊張状態が続いていたが、ガイエンは違った。たった一人の登場人物が歴史を引っ掻き回している。


 ガイエン公国は、ラズリル・オベル連合と、ラインバッハ二世の直接対決の直前になってようやく国内の汚職派を一刀両断し、革新派のキャンメルリング公ギネが独裁政権を確立したかに見える。
 キャンメルリングはスノウ・フィンガーフートに感化されてから、自らは群島・ラズリルに組することを決めていたが、それをいかなる方法で行なうかは難事だった。
 汚職派の占めていた閣僚を席の大半から蹴落とし、自らは宰相として政治の総てを決定することのできる地位に登りつめたが、ギネの真の問題はここからだった。
 汚職派の貴族が食い荒らした国内の元に整備をするためにかかる時間がどのくらいになるか、まったく予想できなかったからである。

 貴族と平民の裁判を、貴族側に有利に導くための政略機関と、社会の闇で平民を監視する治安維持局がまず廃止された。この機関のために、平民は公的には全く声を終え上げられなくなり、上げようものなら維持局に逮捕されて二度と太陽の下に出てくることは無いだろうと言われた。
 これで、一応は公平な裁判制度が定着するだろう。今度は公平な税制度の改革が行なわれた。貴族のみに低金利で金を貸す特殊な金融業が廃止され、その制度をそのまま平民に割り当てた。
 物価の高さと金利の高さに喘いでいた国民にとっては、金利が大幅に下る、それだけでも天啓に等しかった。また、その賄賂にまわされるために物価を不当に上げる後ろ暗い経済を正すのは、ギネの得意分野ですらあった。
 彼は、これまで法の網を潜り抜け続けてきた賄賂好きの闇の商人の幾人かを、大公妃暗殺未遂事件に関連したとして、政治家とともに処刑してしまった。
 ここから彼のが本領発揮である。強引で緻密な捜査によって、過去五年分にわたる大規模な不正賄賂の実態の調査が行なわれた。ギネはこの捜査によって汚職商人の殆どがあぶりだせると最初から考えていたから、結果が出てもすぐには驚かなかった。
 結局、首都から逃げ出してしまっていた商人をも徹底的に追いつめ、ほぼすべての商人が被疑者になった。そして、ギネは一切の呵責もなく断罪の鎌を振り下ろした。この「事件」で殺されたものは、先の大公妃暗殺事件を上回る、五百十七名に及んだ。
 首都の商業は壊滅するかと思われたが、ギネはここに、かつて自分が治めていた土地の商人たちを呼び寄せた。彼らもかつてはギネの「粛清」を生き残ったつわものたちであり、彼のやり方は良く知っている。
 法を犯さず、税を納める。この二つさえ守れば、ギネは商人にとってはこれ以上ないほどの保護者だったのである。

 もちろん、ギネの鎌は商人のみに向けられたものではなかった。人民を御する者たちの方にも、その刃はむいた。ギネが政権を奪取して以降、大公国の閣僚たる大政治家は、半数がその地位を追われた。それどころか、大公宮のサロンで一ポッチにもならぬ歌や詩に興じていた貴族たちは、半数が爵位を奪われ、さらに半数が何らかの罪を負って追放された。
 ガイエンの貴族は、罪をおかしていない者のほうが少ないくらいである。ギネはさすがに大公家を廃するまではしなかったが、その周囲は著しく変化した。
 門閥貴族が送り込み、長年勤めていた大公の主治医は、即座にその座を追われた。大公の世話は、その役にあるスノウ・フィンガーフートにすべて任せて問題ない。
 スノウの人格に対するギネの信頼は絶大なものがあったから、ギネはなんの心配もしていなかった。

 ただ、こうして急速に改革を進めていくキャンメルリング公の手にもあまる問題が二つあった。
 ひとつは、大公家の後継者の問題である。現大公スタニスラスは齢七十を数えるが、適齢期の後継者がいなかった。例えば、前々大公の六世の孫にあたるマイエルホーフ子爵アンスガルなどは、まだ二歳と七ヶ月でしかなく、父も祖父もすでに死没している。両者の死亡の原因は明らかにされていない。明らかにできない理由があった、と見るのが自然であろう。
 大公家にはこのような例がカビのように繁殖していた。アンスガルの父と祖父がどうなったのか、誰も想像はしたが、建設的な捜査はされなかった。
 もっとも自ら大公位継承権を放棄して山村に隠居したロザリンデ・アヴェルリーノという例外もいる。この人は大公家随一の教養人だった。歌を作り、恋をし、ピアノをひき、剣をとらせても身内は誰も叶わなかったという。
 ただ、教養があるだけに、ロザリンデは大公家の裏面を良く知っていたのだろう。その惨禍に巻き込まれぬようにか、十代のうちに継承権を放棄して、いくばくかの財産を持って世に隠れてしてしまった。

 こうして、オリゾンテの経済と裁判権は、すべてギネの手のうちに落ちた。普通の国の普通の首都、という立場に、ようやく落ち着いたのである。
 無論、まだ問題は山積しており、ギネがオリゾンテより動くことはできない。

 まず、疲弊したガイエンの経済力で持って、どのような形でラズリル側を支援するか。ガイエンの海防の要だったラズリル自体が独立してしまい、現在のガイエンには海防の要が無い状態である。
 それでも港や工廠がないわけではないので、ガイエン伝来のヤム・ナハル級巡洋艦(一番艦は、ガイエン艦隊でケネスが旗艦としている)三艦の起工が始まっている。現在のガイエンの経済力では、オセアニセス級などの巨大戦艦の起工は不可能であったから、仕方が無い。
 この三隻に乗せられるだけの志願兵と食料を乗せて、ラズリルに送り出すつもりだった。とりあえずは、ガイエンのできる精一杯の支援であろう。

 ギネとしては、この「支援艦」にスノウ・フィンガーフート「侯爵」を乗せて、一時期だけでも里帰りをさせてやるつもりだったのだが、ある事情がその希望をはじいてしまった。

 元来、キャンメルリング公ギネの最大の政敵と思われていたはずのマノウォック公ハーキュリーズである。
 彼女は、ギネに拠る公宮の大粛清が始まると、一目散にすべての公職を退いて、自らの大邸宅に引きこもった。それは見事な転身だというものもいたが、元々は政治にも経済にも興味が無いのに、愛妾どもに突き上げられ、キャンメルリングの対抗者という形で祭り上げられていただけの地位である。
 退くのに少しの後悔も必要なかった。それどころか、ハーキュリーズ自身が公職から解き放たれたことを誰よりも喜んだ。足かせを解かれたと心躍った。

 この女公爵にはある奇癖がある。生来の男好きで、男無しでは一睡もできぬというから、よほどのものなのだろう。
 その彼女の眼の前に、ハーキュリーズの興味をつついてやまぬ男が二人も、落ち着いている。
 一人はスノウ・フィンガーフート。ラズリルの使者としてギネのもとを訪れた男だが、あのギネがなかなかの御執心ぶりだというので、興味が出て横取りしてみた。
 線は細いがなよなよはしておらず、常に柔らかな危機感に身を包んでいる。現在はハーキュリーズの進言もあって、このガイエンに侯爵として残っている。彼女の進言の正当性を、ギネも認めたのだろう。
 そして今一人は、どこかの海賊の参謀とか言うシグルドである。どこの海賊かは、ハーキュリーズにはまったく興味は無い。商人を語ってこの街に潜入してきたが、商人を語って貴族に接触すれば、三人に一人は「運よく」自分の網に引っかかる。
 シグルドは、ハーキュリーズがこれまでに会ったことの無いタイプの男だった。自分の前でも全く萎縮することなく、丁寧に道理を説く。誹謗は軽く流し、上司と思われる人間の侮辱にのみ、口元に怒りをあらわす。感情よりも理性によって動くタイプの人間であるようだった。
 これまでハーキュリーズが相手をしてきた人間たちは、きな臭い情報やら安っぽい宝石やら、ハーキュリーズにとってはどうでもよいものばかりを持参し、その肉体も精神も、薄っぺらい紙のような男たちばかりであった。

 だが、群島出身のこの二人の男どもは違っていた。自分が重要な任務を帯びてオリゾンテにいるからであろうが、マノウォック公爵邸に逗留し、マノウォック公が何度声をかけても、この二人は自分の身体をなぶろうとはしなかった。

 ハーキュリーズも最初は面白がって、自分に会いに来る貴族どもを全員締め出し、スノウとシグルドを何とか自分を抱かせようと試みたが、その手段のいずれも失敗に終わった。
 最初はマノウォック公爵家の歴史を聞かせて、それに平伏させようとしたが、二人とも歴史を学ぶ生徒のような面持ちで聞いており、スノウなどはメモまでとっていた。まるで教師と生徒であり、このあと男女の密事に発展するような空気ではなくなった。
 その後、二人とも権威や金で心動かされる人間ではないと知れたので、今度は直接、その性欲に訴えることにした。いつも室内では裸に近い夜着を着ている彼女だが、いっそ裸になって二人の私室に真夜中、入ってみたりもした。夜這いというやつである。
 だが、シグルドはそれに気づくと、「お部屋をお間違いになりましたか?」と自分のナイトケープをハーキュリーズにかけて「おやすみなさい」とやさしく送り出した。
 スノウにいたっては、熟眠の才能でもあるのか、ハーキュリーズが裸でベッドにもぐりこんでも気づかずに寝ている有様である。

「なんじゃ、なんなのじゃ、あの男たちは!」

 こういうとき、ハーキュリーズの愚痴をきまって聞かせられるのは、なんとキャンメルリング公爵ギネであった。
 ハーキュリーズに組する若い貴族の大部分を処刑してしまったのは自分だから、文句を聞かされるのはある意味では自業自得なのかもしれないが、それでも不条理だと誰かに文句を言ってもいいであろう。
 特に横取りされたスノウに関しては、「彼をあるべき場所に戻すように」と毎日のようにハーキュリーズに勧告しているが、まったく手応えがないどころか、

「スノウがわらわを弄ばぬのはどういうわけか、答えろギネ」

 などと恐喝される有様であった。こういう不条理に対しては不条理で返してもいいのだが、マノウォック家をその目標にするのは格式と伝統がありすぎたし、なにより、ハーキュリーズ自身はなんの罪も犯していないのである。
 哀れなギネとしては、右から左に聞き流すしかないが、だからと言ってハーキュリーズの愚痴が止まるわけではない。
 特に、すでに他の男を絶ってから一週間ほどたっている。そろそろ禁断症状も現われる頃であろう。

「群島の男どもは、性交というものを知らぬのか?
 少なくとも我がガイエンでは、男の精が力強く女のらんを反応させて妊娠が成立し、子供が誕生する。
 もしや、群島ではこのシステムが違うのではないか? まさか群島の人間でもタマゴで産まれてくるとも思えぬが、彼らは女体に興味がなさすぎる。
 三十歳までは童貞でなくてはならないという民族的風習でもあるのではないか」

 書類とハーキュリーズに同時に視線をやりながら、ギネは書類に埋もれている。
 ハーキュリーズは色々と不満を口にしているが、その中には自分の非を疑う言葉が一切含まれていない。ギネにとっては驚きであり、一面では羨ましくもある。
 この女公爵は、自分が間違っているなどとは、欠片も思っていないのだ。

「何をされても出されなかった手は、今後も出されぬ可能性が大きい、と、思われたほうが良いのではありませんか?」

 ギネは遠まわしに「スノウを返せ」と言ってみたが、ハーキュリーズの返答は明確だった。

「思わぬ。彼らは、必ずわらわに手を出す。出させて見せる。
 出してこぬというなら、方向性を変えてみるだけじゃ。群島の風習だろうが、男の心理だろうが、勉強して見せるぞ。
 スノウ、シグルド、そしてお前じゃ、ギネ。わらわはお主ら三人のシンボルを、必ず我が子宮に迎え入れる。覚悟しておくがよい」

「承りました」

 いつものように言うだけ言って、ハーキュリーズは帰ってしまった。
 ギネはため息をつくしかない。ようやく、重要な裁判の記録に目を通すことができるからである。


 ハーキュリーズがギネの元に出ている間が、スノウとシグルドにとっては貴重なブレーンストーミングの時間である。
 公爵邸で逗留して居るとはいえ実質的には「軟禁」であり、自由な外出もままならぬ。自由に外出できる手段はいくらでもあるだろうが、二人とも目的を持ってこの国に来ており、その目的を果たしていないか、果たしている途中にあるので、現場から離れられないのだった。

 この日、マノウォック邸のラウンジで、二人は顔を合わせた。
 シグルドのほうが七つほど年長で、背も十センチほど高いが、この黒髪の海賊はもとが制服組という異端者で、スノウとの会話も自然と敬語になった。
 シグルドが敬語にならないのは、海賊の同胞だけであり、そのときは年上だろうが年下だろうが海賊らしい言葉遣いになる。

 スノウがシグルドに一礼し、自然と同じソファに陣取った。すでに会話の機会が何度かあったため、スノウはシグルドのひととなりもキカ一家の大まかな内情も理解しており、それをラズリルのカタリナの元に送ることも忘れていない。
 シグルドのほうでも同じことはしているであろうから、スノウも話してはいけないことは話していない。
 もっとも、この二人が顔をあわせたとして、主な会話の内容は、大半が現在自分たちを囲っている女公爵のことになってしまうのではあるが。

「昨夜も、お出でになられたようですね」

 シグルドが、同情とも苦笑とも取れる微妙な表情で言った。スノウは肩をすくめる。

「はい、朝起きたら、隣に裸のマノウォック公がおられました。
 そのうえで、裸の女を隣において目を覚まさぬとは、男として何事じゃと、小一時間お怒りになりました」

「この屋敷に若いガイエン貴族たちが来なくなって一週間。
 公爵の堪忍袋もそろそろ限界というところでしょう」

 こちらはスノウよりも人生経験が長いせいだろうか、スノウよりも少し余裕を見せて、シグルドが天井を仰いだ。
 だが、そのシグルドにも、政情的に余裕があるわけではない。

「ぼくはいったい、こんなところで何をしているんだろう」

 というスノウのつぶやきは、そのままシグルドの焦りでもある。
 マノウォック公爵が、二人について外の状況を何一つ隠さないおかげで、この首都オリゾンテの現状をよく理解している。
 では、理解したうえで自分は何をすればいいのか。

 たとえば、スノウはすでにキャンメルリング公に接触しているが、シグルドはまだそれを果たせていない。
 キカの望みは、できる限りの局外中立だ。前回のクールーク崩壊事件では、真っ先に自分の本拠地が襲われ、紋章砲が奪われるという苦い経験をした。
 その徹を踏むわけにはいかぬし、踏まないようにするには、なによりも情報がほしい。

 この際、スノウがガイエンからラズリル・オベルへの協調姿勢をとらせたということはよい。
 自分がそれをできれば喜ばしいことだったろうが、自分に対して不利益にならないので、他人の功績だろうと賞賛することができる。

 ただ、賞賛しているだけには行かない。
 自分は一刻も早くキカの元に帰らなければならないのだ。
 キカの元に返り、対ラインバッハ二世の対応にあたらなければならぬ。
 彼でなくてもいいではないか、と同僚のダリオは愚痴を言うだろうが、シグルドには、ラインバッハ二世にたいして因縁があるのだ。
 この因縁は、群島解放戦争の時にはマクスウェルの手で有耶無耶になったが、今回は自分の手でとっておきたかった。

 シグルドは無論、過去に自分を狙っていたラインバッハ二世の暗殺者・キーンが、今度はマクスウェルの間者としてスノウの周辺をうろついていることなど、知っている由もない。

 ただ、普通の海賊のように思考が一直線に伸びないのがこの海賊の面白いところで、思索の域を出ないが、様々な可能性を考えてもいる。
 例えば、いま目前にいるスノウは、このガイエンにおいてたいへん興味深い立場にいる。
 ラズリルの代表者でありながらガイエンで侯爵位を持ち、その気になれば大公に近づける「公師定」という役職にまでついている。
 現在、軟禁が解かれていないため、仕事のほうはマノウォック公が送り込んだ代理人が行なっているが、政府の中でそれなりの立場にいることは間違いない。
 例えば、である。このスノウを自分が扇動して、このガイエンの中で騒ぎを起こす、というのも面白いかもしれない。ガイエンは大国だが、その大国を実質的に動かしているのは、現在たった一人である。
 もっとも、そのたった一人がかなりのクセ者で、自分とスノウごときで相手になると問われると、少々怪しくもあるが。

 シグルドが思索に沈み、スノウがやや呆けていたとき、外出先からその屋敷の主人が帰ってきた。
 軟禁されているとはいえ、シグルドはともかく、礼儀的にはスノウはガイエンの貴族であるから、その出迎えをしなければならない。
 豪奢な馬車から胸元が大きく開き、背中の殆どがシースルーとなっている豪奢なドレスに身を包んだ女公爵は、自宅の玄関にいたったとき、スノウを見つけて、その顎に指先をあてた。

「なにか悩んでおるの。野獣のようにその悩みを精ごとわらわの中に解き放てば、解決するストレスもあるであろうに、群島の男は複雑じゃのう。
 なんなら今ここで行為に及んでも、わらわはいっこうにかまわぬぞ」

 微笑をたたえ、顎に添えた指をゆっくりとスノウの下半身にうつしかけたが、スノウが一礼し、一歩下ったので、その言葉が現実になることはなかった。
 本当にさびしそうな、残念そうな顔をして、その場の行為を諦めると、しずしずと自室へと向かった。何人ものメイドが、その後をついていく。
 室内着に着替えるのであろうが、どちらにしても露出の多い衣装なので、スノウなど達観できていない人間にとっては、毎日が試練であった。

「いや、昼食はギネのところで食べてきたゆえ、デザートのみにしよう。
 無論、スノウとシグルドも同席させよ。あの二人もわらわにとってはデザートゆえな」

 このような声を漏れ聞いて、シグルドは左手で顔を覆った。


 このとき、実は二人の公爵の脳内に、危険な発想が生まれていた。
 その根拠は全く違う。むしろ正反対であろう。
 だがその発想は、今後のガイエンにおいて、国内と国外とを驚倒させることになるだろう。

 二人の公爵が、一人が大公宮で、一人が自身の屋敷において、にやりと笑った。

 ―――見ておるが良い。このガイエンの力、いまだ尽きたわけではないのだ……。

COMMENT

(初:15.4.12)
(改:16.6.6)