クォ・ヴァディス 22

4-7

 流血と衝撃のうちに日付が変わり、時刻は午前一時を過ぎようとしていた。だが、だからといって当事者たちの心象が入れ替わることはない。

 発見されたビッキーは、すぐさま隠し部屋から下ろされ、清潔なベッドのある部屋へと移された。ビッキーの心身のダメージは想像以上に深刻で、可能ならばすぐにでも適切な治療が必要だった。
 とはいえ、人質の中に薬物に対して知識がある者などおらず、自然、毒物の知識のあるアカギかミズキが診ることになるのだが、彼らにしたところで、このような状況で最高の治療など望むべくもない。
 アクセルやリキエなど解放戦争経験組が、この場にあってその高い能力を生かしきれず、かつての同胞の危機に顔をこわばらせることしかできなかった時、その沈黙を破ったのは、またしてもセルマだった。
 人間に比べてエルフは回復力に優れているのか、重傷は変わらず力強さにも欠けていたが、アクセルがまだ床に座っているしかできない状況で、セルマは確かに自分の足で立って歩いていた。

「この薬を服用ませてみるといい」

 そういって、アカギに小さな瓶を投げ渡したのである。

「これは?」

「この島のエルフに伝わる霊薬だ」

 セルマの説明は短いが、言葉は事実であろう。
 彼女の背後に立っている数人の老エルフの表情からは、「そんな貴重なものを人間などに……」という苦々しい想いが、必要以上に伝わってくる。
 セルマはアクセルを見下ろして言った。

「言葉で説明するよりも、見たほうが早い。
 今の私と、この単細胞の状態の差を見るがいい。これが薬の効能だ。
 この神木の樹液からとれる成分は、人間の作るものよりも強烈な回復効果を持つ薬となる」

 淡々とセルマは語ったが、それを聞いたアクセルが荒々しく息を吐き出した。
 彼はこの神木の樹液からとれるというエルフの霊薬に対して、深刻なトラウマを持っている。
 彼の心には、その「薬」が原因で命を落としたクールーク兵と、その復讐のために惨殺された多くの島民たちの遺体が霞んだ。
 吐き捨てるように言った。

「神木の樹液だと!? それは人間にとっては猛毒だったはずだ。【 あの事件 】を、俺は忘れてはいないぞ。
 お前、この期に及んで、それをビッキーに飲ませるつもりかよ。人間から与えられた苦痛の復讐を、身動きもできない彼女で果たすつもりなのか!」

 場の空気が凍りついた。
 アクセル一人が怒りを解き放ち、他の者は言葉を発し得ない。
 セルマだけが表情を変えずに受け止めていたが、そのセルマが自分の身長ほどもあろうかという大剣の先をアクセルに向けたことで、全員が息を飲んだ。

「望むなら、代わりにお前を血祭りにあげて、復讐の祭壇に捧げてやってもいいぞ。
 お前は島長だ。ほかの人間よりも、生贄の価値はあるだろう。
 獄中でも言ったな、貴様の口を切り裂いてやる、と。今それを実行してやろうか」

 傷のせいで身動きができぬアクセルが、全ての怒りを顔面から放出するように、セルマの大剣の剣先を睨みつける。
 誰も身動きができぬ中、アカギが一瞬、動きを見せようとしたが、それに気付いたポーラが彼の腕を つかみ、首を横に振った。
 今は手を出すところではない、という意思表示だ。
 アカギはそれでも安心などできなかったが、とにかくも動きを見せるタイミングを逸してしまった。
 果たして、ポーラの予想は当たった。
 セルマはアクセルに向けた剣を振り下ろすことはせず、後ろにいた老エルフに投げ渡した。老人は、二人がかりでそれを受け止めた。
 そして別の老エルフから何かを受け取ると、アクセルの前にしゃがみこみ、警戒を解いていないその人間世界の島長の鼻を、いきなり力任せにつまんだのである。
 意表をついた光景に、さすがのアカギやミズキも見ているしかなかったのが、当事者はそうはいかない。
 いきなり呼吸器をせき止められて、アクセルの顔がみるみる紅潮していく。ついに耐え切れなくなって、彼は口を開いた。

「なにをしやがる!」

 と、言いかけたのだが、「なに」まで言ったところで、セルマが何かを口に、これまた乱暴に押し込んだ。
 その中から、なんとも言えぬ味をした液体が、アクセルの口の中に溢れる。
 得体の知れない味と香りが、アクセルの五感を強烈に掻き毟ったが、彼に抵抗するすべはない。
 その顔を、セルマが力任せに上に向かせたため、液体は強引に咽喉を通過して、体内に侵入した。
 アクセルが全てを飲み干すのを確認して、ようやくセルマはその側を離れた。
 アクセルは十秒ほど激しく咳き込み、ようやく落ち着くと、勢いよく立ち上がってセルマにつかみかかった。

「てめぇ、何をしやがる!」

 だが、それを眺めていた周囲の人間と同じく、彼は自分の状態にふと驚いて、動きを止めた。
 先ほどまで立つこともままならない身だった自分が、立っていた。
 身体は変わらず熱を持っているが、それは先ほどまでの、傷による熱ではなく、身体の回復代謝の活性化によるものであることは、彼自身にも理解できた。
 怒りの表情に多分に驚きの成分を加えて、アクセルはセルマを見る。
 セルマは、面白くもなさそうに息を一つ吐き出すと、自分の胸倉をつかんだアクセルの手を引き離した。

「人間への効果は、これで実証済みだな」

 そして、視線をビッキーに移す。

「その薬は、残念ながら貴重品でな。負傷者の全員には行き渡らん。
 重傷者に優先的に飲ませろ」

 ポーラとラクジーが、渡された少量の瓶を抱えて、エントランスに戻る。
 ミズキは意識を失っているビッキーに、慎重に薬を飲ませた。その苦しそうな寝息が安定したのを、アカギは心底安心したように眺めた。

「すまなかったな」

 ぶっきらぼうに短く、アクセルがセルマに言った。
 セルマは、意識してかせずか、アクセルの方を見ないまま言う。

「敵対している我々に素直に謝ることができるお前には、まだ見込みがある。
 見込みがないのは……」

 その視線が窓の外に向いているのを見て、アクセルは事態が次の段階に移ったことを悟っていた。


 ビッキーを刺激することを避けるため、一同は場所をセルマの族長室に移して、今後の対策を錬った。
 とはいえ、アカギとミズキの方針は既に決まっている。できるだけ速やかに過激派の本拠地となっているアクセルの屋敷を急襲し、短時間のうちに決着をつけるのだ。
 時間は有限の資源であり、もたもたしているひまはない。
 アクセルや捕虜になっていた島民の証言から、過激派の中心人物などの情報がアカギたちに知らされた。
「おそらく」という注釈をつけてアクセルは言う。

「ロドルフォという男だろう。独立志向が強い上に、そこそこ腕力も行動力ある。
 思い込みの強さも普通じゃない」

「その男に、他人をまとめる……カリスマ性みたいなものはあるのか?」

「カリスマだって!?」

 アカギの質問に、アクセルは口から嫌悪感の塊を吐き出した。

「そんなものがあったら、島をこんなにめちゃくちゃな状態にするかよ!」

 もしそれが可能ならば、この場で誰かを撲殺でもしてしまいそうなほど殺気をこめた、それは苦々しい叫びだった。その言葉の中に、ロドルフォという男以外に向けられた怒りを、セルマは感じ取っている。
 それは他ならぬ、アクセル自身への怒りだった。
 ロドルフォが島の平和を乱して生活の形をかき回したというなら、それを阻止するどころか、不意を突かれたとはいえ、満足に戦うこともできなかった自分は何だというのだ。
 ナ・ナルの島長は、「最強の男」が勤める風習ならわしのはずである。
 だが実際問題として、その「最強の男」たるべき自分の有様がこれだった。最強が聞いて呆れるというものだ……。

 アカギは同じ男として感じるところでもあるのか、表情に憐憫の成分を少なからず浮かべている。
 この場で最も冷静な思考を働かせていたのは、ナ・ナルの嗜好風俗とも、男たちの愚かな拘りともまるで無縁の人間だった。
 ミズキである。
 彼女の思考は、冷静に直線状の現実を俯瞰していた。
 なるほど、現在の過激派は、リーダーが存在しないか、存在しないのと同じような状況である。それはアクセルの語るロドルフォとやらの人為ひととなりとも合致する。
 発作的に噴火して、勢いを制御しきれなくなると、あとはバラバラに空中分解するにまかせるしか能のない人間であろう。よくいるタイプの、「力持ちの田舎者」と思われる。
 だが、一度空中分解してしまった集団を全滅させるのは、困難を極める。
 細かな塵を一つ一つ潰していたのでは、時間がかかりすぎる。まるで埒が明かない。
 何とかして一箇所に集める手段はないか。
 ミズキに問われて、アカギはしばらく考えて、アクセルに顔を向けた。

「アクセル、悪いがあんたの屋敷を焼き払うぞ」

 そう前置きしておいてアカギの口から説明された作戦を聞き、アクセル、セルマ、ポーラ、ミズキの四人は、四様の表情で驚きを表した。
 もっとも驚いていたのは、意外にもミズキである。
 もともと感情表現が豊かではないミズキは、驚きの表現も大きくはないが、その表現が彼女から出ること自体が稀であることを、相棒のアカギは知っている。

「……それはむしろ、エレノア様に相応しい思考だな。
 お前はそういう策を、もっとも嫌うたちだと思っていたが」

 ミズキの疑惑に対し、アカギは気難しそうに肩をすくめた。

「ああ、大ッ嫌いだよ。自分でも辟易へきえきするね。
 けど、こっち側でまともに戦えるのは、俺とミズキちゃんの二人だけ。対する敵さんは六十人だ。
 のん気にしらみつぶしにしてる時間もない。好き嫌い言っていられる現状じゃないってことさ」

 いざとなったら手段は選ばない。
 性格的な違いはあっても、「忍び」という性質の根本は、アカギとミズキで変わるところはないのである。

 アクセルは凄愴と言っていい表情で天井を見上げ、大きく息を吐き出すのと同時に、「分かった」と首を縦に振った。

「ナ・ナルは枯れてもかまわない。だが、腐ってはいけないんだ……」

 アクセルの意思の中に、オベル王国の利害に関する思惑はまったくない。あるのは、ナ・ナルの将来への心配だけである。
 同じ根から生じた実としては心苦しいところもあるが、腐ってしまった部分は、将来のために根絶しておくべきだろう。
 その苦々しい決意を心に刻み込んで、アクセルは愛剣を握り締めた。

4-8

 アクセルやラクジーに指示を出し、セルマにビッキーを託してから、アカギとミズキは独自の動きを開始した。
 二人はエルフの神木を後にすると、峡谷の入り口で二手に分かれた。
 アカギはアクセルから聞いた獣道を通り、彼の屋敷の裏手に出る。時刻が時刻であるが、屋敷からは煌々と光が漏れており、外に聞こえるほど大きな声が漏れている。
 内部ではかなり激しいやり取りが行われているようだ。
 恐らく、過激派の中心人物が集まって、口論なり討論なりにせいをだしているのだろう。

 ナ・ナルの混乱の原因とも言える強硬派の人間たちは、彼ら自身が既に混乱と恐慌の只中にあった。
 彼らは現在、自分たちがどういう状況にあるのか、何をしているのか、何をすればいいのか、それすら理解不能な状態であった。
 彼らの中心メンバー五名は、毎日毎夜、アクセルの屋敷にその顔を並べては無駄で無益な論争に明け暮れている。
 外に対しては島の外の状況を探ろうともせず、内に対しては勢力を纏めようともせず、ひたすら自らの主張を繰り返すだけの機械と化している感すらあった。
 オベルから届いた尊大な詰問状は、島を我が物にして肥大しきった彼らの自尊心を、弾丸と化して打ち砕いたのだ。
 もともと彼らを繋いでいたものは、オベル王国と群島諸国連合への反発心でしかなく、クラスに順応できずにアウトローを気取る子供じみた稚拙さを多分に含んでいる。
 その幼稚なプライドを打ち砕かれてしまうと、もうお互いの理解の島へ到達しあうことは不可能であった。

 アカギは、気配を消して窓から内部を伺う。
 視認できるのは、応接間の中央でテーブルを挟んで口論している五名。
 それ以外にも気配が何人か確認できる。中心メンバーの護衛役がいるのだろう。
 先んじてこの屋敷を警護する者の数を確認しているが、それを含めても現在この周囲に存在するのは二十人ほどである。
 神木に侵入した際に「先客」が打ち倒した見張りが十名ほどだったことを考えれば、この島にはまだ六十人近い過激派が残っているはずで、この屋敷には三分の一しか詰めていないことになる。
 アカギは、海岸や港などの警備についている者が三割、家などで休んでいるものが七割と見ているが、それらをいちいち潰していこうとは考えてはいない。
 即興的にではあるが、そのための策をいくつかミズキやアクセルらに託して、島にバラまいていた。
 その策―というよりも、小細工に近いが―は、彼自身のオリジナルではなく、エレノア・シルバーバーグが用いたものの亜流といえるが、それらが上手くいけば、もうじきこの屋敷が過激派の人間たちで溢れるはずである。

 当初は中心人物のみを消去すればよいと思っていたが、こうなればもうやむを得ぬ。
 過激派を一人でも残しておけば、また同じことが確実に繰り返されるだろう。
 アクセルが過激派の根絶を決意したことは、アカギにもわかっているが、そのアクセルの体調が万全でないこともあり、自分たちが去った後、彼を中心に過激派を狩りつくすことは一朝一夕にはかなうまい。
 ならば自分たちがいる間に、彼らを根絶しておくしかない―――アカギは、そう考えを変えている。

 戦闘においてなんら懸念はないが、アカギの頭から離れないのは一人の人物のことである。
「先客」の男であった。
 彼はまだ、この島の中に潜伏しているだろう。彼はこれからどういう行動を取るであろう。
 敵対することはないだろうが、アカギとは目的を異にするかもしれない。
 もしも、「先客」の目的が屋敷の中の主犯を生かして捕らえることなら、再び剣を合わさなくてはなるまい。
 そうならないことを、アカギとしては祈るしかない。

 アカギが一度ネイ島に戻ったり、ミズキがナ・ナル中を駆けずり回って「仕掛け」に専念しているうちに、はやばやと半日が経過し、四月十五日午後十時を回った。
 状況に少しずつ変化が表れはじめていた。

 彼の小細工が功を奏したか、この日、ぽつぽつと屋敷に人が集まり始めた。過激派の末端の人間たちであろう。
 彼らの間には、一つの奇怪な噂が、尾ひれをつけて急速に広まりつつある。
 曰く、

「昨日の昼、ミドルポート領主ラインバッハ二世は、策を持って憎きオベル王国の高慢な鼻面を張り飛ばし、大ダメージを与えた。
 そしてラインバッハ二世は、ナ・ナルの独立派(過激派)の危機を憂い、改めて我らを支援するために、大量の物資を贈ってきている。
 我らに、再び勝利のつぼみが芽生えた。互いの利害をぶつけるだけの無益な時間は、終わりを告げた。
 真のナ・ナル独立を勝ち取るために、今一度、団結せねばならぬ。
 ナ・ナルを愛する者たちよ、英気を失うことなかれ。再び起って、侵略者オベルに止めを刺すのだ。
 勝利と団結を確認するために、今こそ参集せん」

 これこそアカギが考案し、ミズキがバラ撒いた「噂」であった。
 過激派を一網打尽にするためには、彼らを一箇所に集める必要がある。そのためには、どうしてももう一度、彼らに団結してもらわねばならないのだ。
 彼らが分裂している最大の原因は、自信の喪失である。柱を失った陋屋は崩れ去るのが道理であり、それを食い止めるには、なんでもいいから新たな柱を建てなければならない。
 過激派が発起したとき、彼らの精神的な主柱となったのは、ミドルポートからの支援である。ならば今一度、ミドルポートから甘い話があれば、彼らは飛びつくに違いない。
 アカギはそう読んだのである。
 その話に箔をつけるために、オベル王国軍には空想の敗北を喫してもらったが、まさかその敗北が現実のものとなってしまおうとは、さすがのアカギも、この時はまだ想像もしていない。
 そして、噂が広がりだしてわずか一日弱で人が集まりだした、ということが、アカギの予想の正しさを裏付けていた。
 一様に素朴な男たちの顔には、心なしか安心と笑みが張り付いている。それほど魅力的な「噂」だったに違いない。
 その笑顔も安心感も、もうすぐこの世から失われるとも知らずに。

 ネイ島から戻り、再び屋敷の傍に潜んでいたアカギの隣に、ミズキとラクジーがやってきた。
 アクセルとポーラは、捕虜の中から戦えそうな者を自薦他薦で十名ほど選抜し、この屋敷を囲む森林に身を潜めている。それは、アカギの策が成功した場合と、失敗した場合の、両方のケースに対応するためだった。
 ラクジーは、彼らとアカギとの連絡役を務めていた。

「今、屋敷とその周辺にいるのは五十三名。もう二人で過激派が全員来ることになる」

 ミズキは島の女を装って噂をバラまく際、人数まで確認している。どのような仕事でも、手抜かりはしない。
 ラクジーが、ぶるりと身体を震わせた。

「向こうは五十人、こちらは十人そこそこ……勝てるんでしょうか?」

「作戦行動ってのは、策で勝利が確定した後の、確認手段でしかないんだぜ、ラクジー」

 アカギは得意げに言ってみたが、それはエレノア・シルバーバーグからの完全な受け売りである。

「心配なのは、ラクジー、むしろお前のことだ」

「僕が? なぜです」

 少年はその表情に、緊張とともに不満を浮かべている。アカギが心配なのは、この少年の優しさだった。
 解放戦争のときもそうだった。彼は罰の紋章に翻弄され続けるマクスウェルを、その背中から心配し続けていたのだ。

「これから、俺たちはあいつらを「殺す」。「倒す」んじゃなくて「殺す」んだ。
 ついこの間までの隣人だっているんだろう。お前に、耐えられるのか」

「………………………」

 少年は五秒間、沈思した。
 そして言った。

「この島で一番偉いのは、アクセルさんです。僕はずっと、アクセルさんのやっていることは正しいと思っています。
 そのアクセルさんに敵対するなら、僕にとっても、彼らは、【敵】です。隣人ではあっても、同志ではありません」

 言い切った。
 アカギは頷く。

「よし、アクセルたちに伝えてくれ。
 もうじき、屋敷から火の手が上がる。それを見たら斬りこめ、とな」

「分かりました」

 力強く言ってラクジーは、アカギたちよりも不器用に、闇の中を走った。
 アカギは一つ頬を叩いた。
 自分で決意したこととはいえ、人を殺す任務が、快いもののはずがない。しかし決意した以上は、それを完遂しなければならぬ。
 アカギの目の光が、完璧な忍びのそれに入れ変わった。彼はこれから、別の人格になりかわらねばならなかった。

COMMENT

(初:09.05.10)