☆登場人物
・公爵（28）……忙しい為、めったに屋敷にいない。164cm、54kg、88-62-84。
・アナスターシア（19）……公爵家に仕えるメイドの最古参。171cm、58kg、93-61-90。
・テンペランス（142）……ある事情があって雇われたエルフのメイド。155cm、48kg、73-53-77。
・アレクサンドラ（15）……メイド最年少。明るくムードメーカー。154cm、49kg、80-55-83。
陽光が降り注ぐ公爵領の街並み。整然と並ぶ石造りの建物と、石畳を行き交う人々。市場には活気が満ち、威勢のいい商人たちの声が響き渡っていた。
アナスターシア、テンペランス、アレクサンドラ、リーゼロッテの四人のメイドは、買い出しのため市場を訪れていた。
「さて、注文されたものは……牛肉に新鮮な野菜、それとハーブの詰め合わせだったわね」
アナスターシアが手にしたメモを確認しながら、静かに言う。
「おいしそうなパンの匂いがする～！ついでに買っちゃおうよ！」
アレクサンドラが目を輝かせながらパン屋の方へ向かいかけるが、テンペランスがそっと肩を押さえた。
「ダメよ、アレクサンドラ。仕事の途中でつまみ食いするのはよくないわ」
「えー、ちょっとくらいいいじゃん！」
そんなやり取りをしながら買い物を進めていると、通りの向こうから数人の男たちがこちらへ近づいてきた。派手な装いをした若者たちで、見るからに軽い雰囲気だ。
「お嬢さん方、ずいぶんと綺麗な服を着てるね。どこの貴族のお嬢様かな？」
「俺たちとお茶でもどう？美味しいお菓子を知ってるんだ」
男たちは軽い調子でナンパをしてくるが、四人のメイドたちは微塵も動じない。
「申し訳ありませんが、私たちは仕事中ですので、お誘いには応じかねます」
アナスターシアが凛とした態度で断る。
「そんな冷たいこと言わずにさ……」
男たちはまだ食い下がろうとするが、ここでリーゼロッテが静かに一歩前へ出た。
「……公爵家のメイドに手を出すとは、いい度胸ですね」
その低く冷たい声に、男たちはハッと息をのむ。
「え、公爵家？」
「ま、まさか……」
「ふふっ、どうする？このまま続ける？」
テンペランスが優雅な笑みを浮かべながら、静かに問いかける。
男たちは完全に気圧され、視線をそらしながら後ずさった。
「いや、その……悪かったな、じゃあな！」
そう言って、男たちはそそくさと逃げていった。
「ははっ！あの顔、最高だったね！」
アレクサンドラが笑いながら言う。
「ええ、見事な撤退だったわね」
アナスターシアもクスリと微笑んだ。
「まったく、少しは慎みを持ってほしいものです」
リーゼロッテは小さく溜息をつく。
「でも、これで買い物に集中できるわね。さ、次は肉屋よ」
テンペランスが促し、一行は再び市場を歩き出した。
こうして、四人のメイドは笑いながら買い出しを終え、無事に公爵邸へと帰るのだった。
（FIN）
当サイト20周年記念として、断罪淫魔様から短編を頂きました！ 忙しい仕事の合間を縫ってのティータイムは穏やかな空気の中でゆっくり進みそうですね！ ありがとうございます！