☆登場人物
・西園寺空(14)……中学二年生。151cm、45kg、72-54-77。
・東郷舞(14)……中学二年生。空の親友。155cm、48kg、81-57-83。
夕暮れの海岸に、寄せては返す波の音が響いていた。オレンジ色の空が海面に映り、まるで世界が二つに分かれたかのように見えた。西園寺空は裸足で砂浜を歩きながら、隣を歩く東郷舞に目をやった。
「ねえ、舞。将来ってさ、どうなるんだろうね?」
空の声は、風に混じって少し頼りなく聞こえた。彼女は長い黒髪を指でいじりながら、遠くの水平線を見つめていた。
舞は立ち止まり、スニーカーの紐をほどいて裸足になった。そして、空の隣に並んで砂に足跡を残しながら答えた。
「どうなるか、なんてわかんないよ。空だってさ、いつも『将来は絵描きになりたい』って言ってるじゃん。それでいいんじゃない?」
空は小さく笑った。
「そうだけどさ……。絵で食べていくって、簡単じゃないよ。親には『安定した仕事に就け』って言われるし、現実考えると怖くなっちゃって」
彼女はしゃがみこんで、砂に指でぐるぐると円を描いた。波がその円を消してしまう前に、次の円を描き足す。
舞は空の横に座り込んで、膝を抱えた。
「私はさ、空の絵、めっちゃ好きだよ。あの色使いとか、なんか心に残るっていうか。もし空が絵を諦めたら、私、悲しいな」
舞の声は真剣で、彼女のショートカットの髪が風に揺れるたび、少しだけ幼く見えた。
空は目を丸くして舞を見た。
「舞にそう言われると、なんか……頑張れる気がする。でもさ、舞はどうしたいの? いつも私の話聞いてくれるけど、舞の将来って何?」
舞は少し考えてから、海の方に目をやった。
「私? うーん……実はさ、看護師になりたいなって思ってる。最近、祖母が入院してて、病院で働く人たち見ててさ。誰かを助ける仕事って、いいなって」
彼女の声は少し照れくさそうで、でもどこか誇らしげだった。
「看護師かぁ。舞らしいね。優しいし、芯が強いし。絶対向いてるよ」
空は立ち上がって、舞の手を引っ張った。二人は波打ち際まで走り、冷たい海水が足に触れるたび小さく笑い合った。
「でもさ、空。私たち、将来どこにいるんだろうね? 別々の道歩いてても、こうやって会えるかな?」
舞がぽつりとつぶやくと、空は少し考えてから力強く頷いた。
「会えるよ。だって、私たち親友じゃん。絵描きと看護師、忙しくても時間作ってさ、ここでまた語り合おうよ」
波が二人の足跡をそっと消していく中、空と舞は笑いながら約束を交わした。夕陽が沈むその瞬間、海岸には彼女たちの未来への小さな希望が残った。
(FIN)
当サイト20周年記念として、断罪淫魔様からオリジナル短編・第五弾を頂きました! 空の未来は限りなく広がっています。良い未来を歩んで欲しいですね。ありがとうございます!