空の彼方

断罪淫魔様・作(KEEF感謝コメント


☆登場人物
・西園寺空(14)……中学二年生。151cm、45kg、72-54-77。


 春の柔らかな陽射しが窓から差し込む。中学二年生の西園寺空は、教室の片隅に座りながら、ぼんやりと窓の外を眺めていた。新緑が風に揺れ、学校の庭では後輩たちが楽しそうに笑い合っている。しかし、彼女の心にはどこか暗い影が差していた。

「空、大丈夫?」

 隣の席の親友、美咲が心配そうに声をかける。空は小さく微笑んで、「うん、大丈夫」と答えた。だが、その声にはどこか力がなかった。
 進学先を決める時期が迫っていた。先生からは「空ならどこの高校でも合格できる」と言われている。両親も「あなたの好きな道を選んでいいのよ」と言ってくれる。しかし、それがかえって空を苦しめていた。何を選べばいいのか、どこに行けばいいのか、未来がまるで霧のように霞んでいた。

「本当は、何がしたいんだろう……」

 誰にも聞こえないように、空は呟いた。勉強は得意だったが、特に夢中になれるものがあるわけではなかった。将来の職業についても、ピンとこない。周りの友人たちは、「将来は教師になりたい」「デザイナーを目指している」と目を輝かせて話しているのに、空だけが何も見つけられずにいた。
 ある日、進路相談の時間に、担任の川瀬先生が静かに問いかけた。

「空は、どんな未来を思い描いてる?」

 空は答えられなかった。胸の奥にある不安を言葉にすることすら怖かったのだ。

「焦ることはないよ。今すぐ決められなくても、少しずつ見つけていけばいい」

 先生の言葉は優しかったが、それでも空の不安は消えなかった。
 高校受験が終わり、空は地元の進学校に進むことになった。しかし、そこでも悩みは尽きなかった。周囲にはすでに将来の目標を持ち、真剣に努力している生徒が多かった。そんな中で、空はますます自分の居場所を見失っていった。

「就職って、どうやって決めるの?」

 ある日の帰り道、美咲に思わず聞いてみた。

「うーん……私はお姉ちゃんみたいに看護師になりたいから、その道に進もうと思ってるけど……空は?」

「……わからない」

 何をやっても「本当にこれでいいのか」と不安になる。自分はこの先、どう生きていくのだろう。将来への道が見えないまま、時間だけが過ぎていく気がした。
 ある日、ふと立ち寄った図書館で、空は一冊の本に出会う。それは、世界中を旅しながら働く人々のエッセイだった。
 
「こういう生き方もあるんだ……」

 ページをめくるたびに、空の心は少しずつ軽くなっていった。決められた道を進むだけが人生ではない。遠回りしても、迷っても、自分なりに進んでいけばいい。

「まだ答えは出ないけど、少しずつ探していこう」

 そう思えたとき、空の心にようやく一筋の光が差し込んだ。

(FIN)

KEEFコメント

 当サイト20周年記念として、断罪淫魔様からオリジナル短編・第四弾を頂きました! 空はこれから、どのような未来を歩んでいくのでしょうね。ありがとうございます!