ゼーガペインXOR

2006年7月27日発売/バンダイ/35点

 原作はテレビ東京で放映中(当時)の人気アニメ。メディアミックス戦略の一環として製作されたようです。
 販売はバンダイナムコですが、開発を担当したのはキャビア。現AQインタラクティブグループの一員で、「ドラッグ・オン・ドラグーン」(PS2)や「サッカーライフ」(PS2)、最近では「ドラゴンボールZ 舞空烈戦」(DS)を発売した、……ここだけの話、ちょ〜っと開発力がナニなことで有名になっちゃったメーカーさんです。
 原作の知識関係なく、こういうところでアンテナが反応するのが腐れゲーマーの救われざる一面。もっと素直にゲームを楽しめ!とお叱りを受けそうですが、楽しめるモンなら最初ッからそういう書き方しとるわい。

 まずストーリーにあった敵の名前「ガルズオルム」を「オルガスムス」と素で読み間違えてしまった自分の人間度の低さに普通に絶望しながらゲームスタート。後から聞けば、アニメとゲームでは主人公が違うんだそうで、その時点であんまり期待しない方が良かったのかも。
 ジャンルはミッションクリア型のアクションシューティング。色々とカスタマイズできるロボット「ゼーガペイン」に乗り込み、目前に現れる敵を撃ち落としていきます。
 ゼーガペインの操作はボタンを全部使うので一見大変そうですが、実際に攻撃に使うのは2ボタンのみで、しかもAボタンのショットは自動追尾で自分の方向に関係なく敵を追尾・破壊してくれるので、Bボタンの近接攻撃を無理に使わなくてもこれだけでクリアできてしまうという、異常な底の浅さが好感度アップ。
 というか、ロックカメラモードだと次々と敵をロックオンして自機がその方向を向くため、画面がグルングルンまわってやたらと目と脳がシェイクされるので、攻撃が煩雑だとまともにゲームにすらなりません。「間をとって調整する」という選択肢はありませんでしたかキャビア様。
 数年前にやはり目と脳が回りまくったPS版「カウボーイ・ビバップ」を思い出しましたが、あれは原作アニメとは関係ないゲーム版のオリジナルストーリーだったから良かったものの、本作はアニメ版「ゼーガペイン」とストーリー的に密接に関係があるそうなので、やっぱりアニメ版のファンはプレイしなきゃいけない義務感に駆られるんでしょうか。元々難解なストーリーの原作アニメのファンに、更なる苦行を強いるとは罪深き聖者よ、キャビア……。

 ゼーガペインは色々とカスタマイズでき、着けたパーツによっては見栄えが変わるのでやりがいはありますが、そもそも変更できる部分が4箇所しかなく、また搭乗者である「ガンナー」にはスキルが着けられるのですが、これも3つのみと少なめ。
 ゼーガペインには攻撃担当の「ガンナー」の他に、それを補佐する「ウィザード」が同乗しており、選んだ「ウィザード」によってエンディングが変わるのが面白いところ。ミッション中に様々な会話が発生するので楽しくはあるのですが、このウィザードの数も3人と少ないのが残念。

 正直な話、ゲームとしてのデキはイマイチ。「原作を知っている」ということが大前提なので、原作を知らないと次々と飛び出す意味深な単語やストーリーの流れがさっぱりわかりません。そもそもアニメ自体がまだ終わっていないので、本作のエンディングもなんともハンパに感じます。
 また、シューティング部分もカスタマイズ部分もサウンド関連もシステム関連も、何もかもが中途半端でボリューム不足。全員に話しかけないと出撃できないというのは、どういう仕様?
 原作アニメのファンで、アクションシューティングが好きで、しかもそれなりの苦行に耐えられる人向け。「新・ベストプレイプロ野球」とはまた違う意味で、ニッチ商品になるのかなぁ。

 ところで、本作の「ガンナー」と「ウィザード」の関係って、まんま「ファイブスターストーリーズ」の「騎士」と「ファティマ」の関係と同じように見えるんだが……、気のせい? ファティマと違って、ウィザードは人間だけどね。

(2006.09.21)