トゥームレイダー・レジェンド

2006年10月5日発売/スパイク/73点

 三人称視点のアクションアドベンチャーの先駆けにして、全世界でシリーズ累計3000万本を売り上げた人気タイトル「トゥーム・レイダース」の最新作です。
 海外ではゲーム自体と女性主人公ララ・クロフトの異常人気から、01年と03年に映画も二作品製作されています。ララ役の主演アンジェリーナ・ジョリーが毎回ラジー賞(その年の最低の映画に贈られる賞)の最低主演女優賞にノミネートにされてますけど。
(ちなみに、ララ・クロフトは「最も成功したゲーム・キャラクター」という項目でギネスブックに載った、本物の「世界一」です)

 前作「ララ・クロフト 美しき逃亡者」は、ロードの長さと操作性の悪さで、評判は最悪でした。なにせ「前作より少しでも良ければ何でも許せる」と諦め顔でファンに言わしめた出来。本作はその評価を一転させるべく、キャッチコピーを「進化というよりも革命」とブチ上げ、グラフィックのレベルを向上させて帰ってまいりました。

 いやもう、ララ・クロフト(1968年2月14日生まれ。本作発売当時38歳)の気合の入りっぷりが違います。
 ララの肩書きは「女性冒険家」ですが、タイトルのトゥームレイダー(Tomb Raider)の意味は「墓荒らし」ってわけで、本物の墓荒らしも真っ青の眼光です。
 下手すればプレイヤーが捕って食われそうですが、普通に目玉や歯茎が顔面にめり込んでたPS2版の前作に比べれば、遥かに普通の人間です。いくらジャパニーズ・萌えとは無縁なキャラとはいえ、あれはあんまりでした。
 今回はララの生みの親であるトビー・ガードが製作に関わったそうで、グラフィックを向上させながら、内容的にはアクションと謎解きに重きを置いた原点回帰を謳ってます。
 やっぱり前作がまずくてお怒りを買ったんじゃないのか。

 ストーリーは世界中に散らばった聖剣の欠片を集め、それで行方不明になったララの母親を救出する……というもの。
 前作まで(特に前作)は操作性が悪いのに加えて操作そのものが難しく、それが難易度を上げてたんですが、本作ではその操作性を一新。随分と操作がシンプルになり、サクサクと進みます。途中に入っていた1アクションを省いたことで、ララの動きそのものも大分軽快になりました。アクションの判定もけっこう大雑把で、多少タイミングがずれても大丈夫なご様子。
 攻撃のアクションは映画みたいで面白いですが、オート連射のくせに妙に攻撃速度が遅かったり、バックステップが無いなど、微妙なところでストレスたまります。それでもやや理不尽だった部分がグッと下がって、純粋にアクションゲームと楽しめることは事実。この辺が原点回帰?

 なんか「トゥーム・レイダース」じゃなくて「プリンス・オブ・ペルシャ」をプレイしてる気分になってた、っていうのは内緒。

 ただまあ、恒例の即死トラップの雨あられは相変わらずで、難易度そのものが下がっているわけではありません(謎解き自体は簡単になってるけど)
 ゲームとしてのボリュームは小さめ。エンディングまでのプレイ時間は短いです。実績解除はそんなに難しくないので(クリアで半分、メダル集めで半分くらい)、ちょっと物足りなく感じるかも。ララ自身がエロカッコいいので、隠しコスチュームの収集には熱中できるけどね。

 あと、個人的に「トゥーム・レイダース」に敵組織はいらんと思う。一面のボリビアで、断崖絶壁を苦労して登って遺跡に辿りついたら、敵組織が車で乗り付けて待ち伏せてた、というシチュエーションは本気で萎えた。最初から車で行けよ!

 過去作にはまった人にとっては少々物足りなさを感じるでしょうが、初めての人なら十分楽しめるでしょう。どうでもいいけど、北米版にはヌードパッチがあるという話は本当か?

(2006.10.12)