天誅 千乱

2006年10月5日発売/フロム・ソフトウェア/44点

 いや、まさか「天誅」の最新作が360で出るとは思ってませんでした。すっかりPS3で出ると思ってましたもん。
 これでもけっこう期待はしてたんですけどね〜。ん〜……、面白いかどうかと聞かれたら、微妙だな〜。

「天誅」は、1998年に一作目が発売されて以降、版権が目まぐるしく移り変わりながらも現在までシリーズが続く忍者アクション。
 第一作目はアクワイアが企画・開発し、SMEから発売。その後、SMEがゲーム事業から撤退し、一作目の北米版の発売を担当したアクティビジョンが版権を取得しますが、これによりアクワイアが製作に関与できなくなるという事態が起こります。アクワイアの代わりにK2が開発を担当、日本での発売はフロム・ソフトウェアの担当で続編の「天誅 参」が発売。その後、さらにフロム・ソフトウェアに版権が移り、「天誅 紅」(開発はK2)が発売されて現在に至る波乱の人生。
「天誅」を生み出しながらその後開発から干されてしまったアクワイアは、やはり意地があったのか、こちらはこちらで、独自に名作忍者アクション「忍道 戒」「忍道 匠」を出しています。

 で、本作360版「千乱」へと繋がるわけです。
 まず目が行くのはやはりグラフィック。「PS2レベル」といったところでしょうか。もうちょっと頑張れなかったかな?
 最初のこのグラフィックから始まる違和感が、ゲーム全編に渡って微妙に沈殿してます。

 動作や技の種類が増えたのは良いんだけど、どうも組み合わせの可否が変で首を捻るのが多い。壁に張り付いたまま声真似ができないとか、おにぎりとセンサーが同時に装備できないとか……。普通にセットで使うと考えないかな、これらの組み合わせは。
 つーか、忍びゲーなのに隠れることに重点を置いてません。完全隠密クリアでもボーナス低いし、見つかっても減点少ないから、忍殺の数さえこなせば皆伝が取れるというのはちょっと……。
 敵AIが激しく馬鹿なままマップをだけ広くなってるもんだから、難易度がガクッと下がってるような気がします(越後屋の追跡だけは難しかったが……)。見つかったら隠れて気状態に戻して、また完全忍殺狙い、というパターンでゴリ押しできるので、結局ひたすら忍殺するというのが正しい楽しみ方なのかも。敵のやられボイス笑えるし。
 肝心の忍殺の演出が地味だけどね。

 結局、似たようなステージ全50面×難易度三段階。立派な苦行ゲーです。壁走りや三角とびがもっと有効に使えるマップを増やしてほしかった。

 あと、散々宣伝されてたキャラクターのカスタマイズだけど、そんなに大げさには楽しめたようには思えません。まぁ普通かな。女性キャラが顔面の造形的に不自由なパーツ揃いなので、その点が見ものといえば見ものなんだけど……。
 途中でキャラを作り直すと、それまでに得た奥義や忍具はすべて抹消、っていう意味不明の仕様だけは勘弁してほしかった。しかもオートセーブされるもんで、ものの見事に全部消えます。キャラ一人作るごとにメモリーユニットを買い足せっつーのか、オイ!
 実績が消えないだけ、まだマシと考えればいいのだろうか……。

「天誅」未プレイの人ならば楽しめるかも知れませんが、過去のシリーズに触ったことがある人だと、ちょっと辛いかもしれませんね、これ。なんか「とりあえず入れておきました」みたいな要素が多くて、薄っぺらさを感じてしまうのも事実。
 とりあえずネタプレイに走れるんで、Liveが面白いです。キャラが全員女で声(ボイスチャット)が全員男、なんてザラ(笑)。

(2006.10.12)