ROCKSTAR GAMES PRESENTS TABLE TENNIS

2006年10月12日発売/マイクロソフト/70点

 卓球です。漢字で書くとたった2字(半角4字分)ですが本作は半角32字を費やすのタイトルの長さからも解るとおり、気合の入りっぷりが違います。

 世界中で大問題になった「グランド・セフト・オート」シリーズのスタッフが製作したということで、最初は荒唐無稽な必殺技や凶器の使用、様々な妨害行為(観客を人質にとって勝利を譲らせるとか)などのアナーキーなスプラッシュゲームを期待したのですが、ものすごく誠実に卓球をゲーム化してます。
 そもそも360参入第一弾の題材に「卓球」を選んだというのが少々意外ですが、やはりどこかで弾けたかったのか、「餓狼伝」「刃牙」の板垣キャラをそのまま3D化したようなキャラクター(顔のみ)は異様なほど作りこまれてて、非常に怖いです。
 独自の物理計算エンジンを搭載し、汗のかき方なども非常にリアル(試合の最初のうちは汗はないけど、ラリーが続くと上半身びしょびしょとか)。キャラクターの能力にもきちんと差をつけています。

 ゲームの出来そのものもかなり良好なんですが、いかんせん地味

 卓球の知識といえば「打って返す」「2点差11点先取で勝ち」くらいしか知らない私ですが、それだけの知識でも全然困りません。ボタンによるショットの打ち分けがかなり出来るのでそれなりに本格的なのですが、やはり「本物」のスピードをそのまま再現するとゲームにならないと判断したのか、ボールの速度が抑えられてしまったため、余計に地味に感じてしまいます。
 また一人用のモードがトーナメントとエキシビジョンの二つしかなく、どのモードでも基本的にやることはカコンカコン打ち合うだけなので、飽きるのは非常に早いかも。選手のフォームやガッツポーズ、観客の歓声などは作りこんであるのですが、地味さを払拭するほどのパワーは、残念ながらありません。

 本作をプレイするなら、2P対戦かオンライン対戦に限ります。特にオンライン対戦は8人まで参加できるトーナメント戦や観戦モードもあるので、わいわい騒ぐにはもってこいです。
 一瞬の判断力が勝負を決める本作、地味ながらに、実は「真剣勝負」という言葉が一番似合う作品なのではあるまいか。

 なお余談ですが、本作のエグゼクティブ・プロデューサーであるサム・ハウザーが、本作についてこんなことを言ってます。

「現在の多様なゲームの“哲学”を、蒸留して抽出した“純粋なゲーム”なのです。
 我々は多くを求めるあまり、妥協を余儀なくされていたこれまでのゲームの制作方法を捨て、これまで誰も成しえなかった最高のゲームをめざして、ハードウェアの持つすべての能力をシンプルなアクションに注ぎ込みました」

 この人、このゲームを作ったスタッフが過去、「多くを求めるあまり、妥協を余儀なくされていた」結果、製作したのがはっちゃけまくった「グランド・セフト・オート」だって知ってて言ってるんだとしたら、物凄い懐の広さです。

(2006.10.13)