「シルフィード」という名前を聞いてたまらない懐かしさを感じる方は、かなり長いゲーム歴をお持ちの方です。
元祖が出たのが1986年、PC-8801mk2SR用の、日本初の3Dシューティングとして発売されました。当時としては非常に高速のポリゴンを実現し、その後FM77AV版(1988)を経て、1993年に既に伝説となったメガCD版(ゲームアーツ開発)が発売されます。
(余談ですが、1986年の元祖版は開発当初「ゼビウス」のようなシューティングになる予定でした。またその後に3Dに仕様が変更になるのですが、当時はまだ「ポリゴン」という表現は一般的ではなく、製作スタッフの間では「トライアングル・フィル」と呼ばれていました)
そして2000年のPS2版「シルフィード ザ・ロスト・プラネット」(トレジャー開発/カプコン販売)を経て、本作へと流れ着くわけです。私はメガCD版からしかプレイしておらず、流石に元祖は未プレイなのですが、例のどもりまくる人口音声「私は宇宙の帝王、ザ、ザ、ザ、ザカリテ」などは伝説らしいですね。
(再び余談ですが、このPC-8801版のザカリテの音声を担当したのは、OP/EDを担当した三橋正邦氏(当時、東大建築学科の学生だった)。自分でルーチンを組んで自分で喋ってたそうです)
本作ではPS2版に続き、伝説のメガCD版を製作した旧・戦船(現・セタ映像コンテンツ事業本部)が開発に加わることで、シルフィーダー(今作った)たちの期待を一心に集めていました。さすがに今のゲームアーツにすべてを任せるのはねぇ……。
まぁ、流石に最後のPS2版から七年も経ってるし、絶大な人気を誇っていた時代が古すぎて、一般プレイヤーに対する訴求力があるか、といわれたらちょっと疑問だったかもしれませんが。
まず何が驚いたって、ヒロインの清々しいほどのマイナス思考っぷりに驚いた。普通、主人公が挫けそうな時は立ち直らせたりするのがヒロインのお約束だと思うんですが、開始早々、真っ先に敵前逃亡を突っかけるなんて新機軸です。これは流行るか?
いやまぁ、一般人としてはその反応もありなんだけど、あんた一応士官学校卒でしょ? 補佐すべきパイロット(幼馴染)を敵前逃亡させてどうすんのさ。ストーリーのデキはけっこういい感じなんですが、ちょっと鬱要素多いかな。
シューティングとしてのデキは普通に良好です。基本的には宇宙が舞台の「真・三国無双 in 無重力」とお考え頂ければ結構です。多数vs.多数のドッグファイトや艦隊戦は迫力満点で、かなり面白いです。とにかくしゃしゃり出て大暴れするのが正解かな。丹念に時間かけてたら、自分とこの空母落とされて速攻アウト。
ただし、360度の空間把握能力が要求されるので、かなり難易度高いです。全方位どこから敵が来るのかまったく解らないので、緊張感は抜群にあるんだけど、レーダーを頼りに反応するのがかなり大変。またミスの殆どが宇宙戦艦に激突しての撃沈っていうのがちょっと納得いかない。慣れないと補給のために母艦に戻るのも一苦労です。自分が下手だって言われればその通りなんですが……。
このゲームで実際に爽快感が感じられるのは、武器開発が進む中盤以降ですね。もともと敵を撃破したときの演出が派手なんですが、段々と大きな敵を撃沈できるようになり、演出もより派手になってくるので爽快感も雪だるま式に上がっていきます。
残念な部分は、とにかく画面がゴチャゴチャしすぎること。また、実際のところこれが一番キツイんだけど、ボタンコンフィグができないのは非常〜に辛い! 加速減速と攻撃が全部LRなんで、長時間プレイすると腕が確実に攣る! 更に、舞台が宇宙空間ということもあってか、ひたすら目が回ります。
1ステージ(×3パート)だいたい30〜40分くらいなんですが、終わった頃にはもうヘトヘト。物凄く体力使うよ、このゲーム。
正直言って、「コレはシルフィードか?」と聞かれると残念ながら答えは「NO」。これまでとはシステムも視点も違うので、別のゲームと考えた方が良いです。もちろん、そう考えた上でもデキはよろしいので、けっこう楽しめると思います。疲れるけどね。
あと、ホントにどーでもいーんですが、何気に巨乳率高し。
(2006.10.04)