旋光の輪舞 Rev.X

2006年7月27日発売/グレフ/90点

 最近のゲームは一言でジャンル分けするのが難しい作品が増えてきましたね。新機種が出るたびに跳躍と言っていいレベルで記憶容量が増え、それだけ色々と詰め込めるようになり、一本のタイトルでできる事が増えたということで、個人的には大歓迎。
 中には「レーシング・ラグーン」のような不幸なジャンルのカップリング(レース+RPG)や、贅沢に様々なジャンルを詰め込みすぎて破綻したタイトルなんかもありますが、時に明らかに失敗しそうな組み合わせでも「CODE-R」(レース+恋愛アドベンチャー)などのように、予想外の大化けを見せてくれるゲームがあるのが面白いところ。
 本作「旋光の輪舞ロンド Rev.X」は、まさにそんなソフトの、最近の代表作のようなタイトルです。

 アーケードでもやや閉塞気味であったトップビューのシューティングというジャンルに、3D格闘ゲームのような対戦アクションの要素を持ち込むことで、一部に「センコラー」「センコロイド」と呼ばれる熱狂的なファンを生み出したヒット作の移植作品。というか、どっちかと言うと対戦アクションにシューティングを持ち込んだ、という表現のほうが近いかも。
 最近の、「売ったら売りっぱなし」という不誠実な対応の多い業界のメーカーにしては珍しく、開発したG.rev(グレフ)がアーケード版の新バージョン基盤を旧バージョンと無償で交換するなどの良心的な対応で、ゲームセンター側の評判もなかなかよろしいご様子。

 ゲームは基本的に、コマンド入力の弾幕技(=必殺技)と回数制限が課せられたB.O.S.S(なんと支援機を呼び出して合体・巨大化!)を駆使して相手の体力ゲージ(アーマーゲージ)を減らしあい、先に相手のゲージをゼロにするか、タイムオーバー時にゲージの多いほうが勝ちという、格闘ゲームと同じ流れ。8方向レバーとボタン三つというわかりやすい仕様ながら「同時押し」による特殊行動が多く、プレイ中の選択肢はけっこうあります。
 ストーリーとキャラクターを前面に押し出し、セリフや美麗なカットインがこれでもかと言わんばかりに挿入されるので、対戦中のまぁ賑やかなこと賑やかなこと。選択できるキャラクターは8人と少な目ですが、それぞれに2種類のキャラクターパターンが用意されており、ビジュアルから性能・攻略法までまったく違うので、実質は別キャラと考えていいでしょう。

 いやね、極めて個人的な現象で申し訳ないんですが、これほどまでに私が設定に振り回されたゲームキャラクターというのも実に久しぶりです。誰がって、翆藍(ツィーラン)!  お前は本当に男か!(アンドロイドだけど)
 16歳の男の子(っぽいアンドロイド)なのに、あんな艶(なまめ)かしい格好やこんな艶(つや)っぽい格好を!(漢字一緒や)
 いや、最初は普通に女の子だと思ってましたもの。それが、それが男と知った時のこのあらゆる意味でのショックッ! ああもう(以下、長くなるので省略)。これ、姉貴分のチャンポの趣味か?
 女の子キャラクター(翆藍除く)もみんな可愛く、スカートスタイルのビジュアルのときは「虫姫さま」のレコ姫様と正面からタメ張れるほど「穿いてない」感は百点満点で一兆点。これに対抗できるのはやはり「トリガーハートエグゼリカ」のスク水(以下、長くなるので省略)。
 キャラクターについて書き出したらそれだけで日が暮れそうですが、それだけキャラゲーとしても良くできている方ではないかと。

 キャラクターの個性が強く、自分にあったキャラや戦法を確立するまでは難しく感じるかもしれませんが(ストーリーモードの真ボスはまさに鬼!)、空間を弾幕で埋め尽くしたりダッシュ後の隙を狙い撃ったり、B.O.S.Sの対処方法がわかってくると俄然面白くなってきます。
 360版はアーケードの「NEW Ver.」や「SP」とはまた別物の調整をされているようで、慣れている人も新鮮なプレイ感覚を味わえるかも。翆藍の近接攻撃に延々と殴られ続けて涙が出ちゃうもんな人も、コツさえ掴めば明日はLiveで一等賞だ! 俺には無理。
 ちょーっとボリューム不足かな、と思わないでもないけれども。

(2006.09.25)