ランブルローズXX

2006年3月30日発売/コナミ/88点

 まあ、なんのかんの言ったところで、テレビゲームの基本的な思想というのは、男の子向けの遊具です。それも、ある程度は大人買いができる成人男性は、そりゃあもうありがたいお客さんでありまして、いかにして彼等に興味を持たせるかというのは、製作者や広報にとっては大きな命題の一つだったりします。
 で、そういうことを突き詰めていくと、やはり柱の一本になるのは「エロ」という、ど真ん中ストレートな欲求。これはもう男性としては致し方ないところで、艶っぽい女性の悩ましげな肉体というのは永遠の憧れであって、言い訳のしようがありません。

 ゲーム機のグラフィック性能の爆発的な進歩によって、様々な「魅せ方」が出来るようになった昨今、確かに性表現への規制は強いものの、直接的な行為の表現と、キャラが素っ裸じゃなければ抜け道は幾らでもあるのだと言わんばかりに、この道に命をかける製作者もいるようです。
 最近じゃもう、「パンチラ」如きはエロの範疇にも入らない有様で、3Dではもともと当たり前のようにありましたが、2DでもGBA版の「魔法先生ネギま!」は中学生設定の主要キャラの女の子ほぼ全員にパンチラ(モロ含む)がある始末。いいのかこれ?
 で、その3Dゲームにおいて「エロ格闘」というジャンルを築き上げたのが「デッド・オア・アライブ」ですが、その「魅せ方」に究極に拘った一品が本作「ランブルローズXX」だったりします。

 本作はPS2版からの移植となるわけですが、PS2ではキャラクターにそれぞれ1万ポリゴンを費やしていたモデリングを、マシンスペックにモノを言わせて5倍にパワーアップ。変質的なまでに肉感とフェティッシュに拘ったキャラが、好きな人にはたまらないんじゃないでしょうか。
 実際のプロレスでは「こんなウェストの細い娘いねえよ!」とか、会場で口に出したらそれだけで集団リンチ確変突入で死へのオーラロード全開ですが、本作の女性達はリアリティを持たせる為か、体つきは華奢な娘が多いのに腹筋だけはムッキムキ
 現実感としてえらく中途半端な気もしますが、一介の女子高生が見よう見真似で格闘大会に乱入なんて設定が普通にまかり通る一部の格闘ゲームに比べればはるかに現実的なのが、いいんだか悪いんだか。

 最初から最後まで「色気」「フェチ」にとことん拘った本作は、キャラクターの選択画面から、キャラアイコンにマークを合わせると、それだけで色っぽく寝そべったキャラがプレイヤーを視線で悩殺という極めモード。
 それぞれのコスチュームがノーマル状態で半裸っていうのはもう珍しくありませんが、「裸に網タイツ」とか「下乳完全露出で下半身は(たぶん)ノーパンスパッツ」とか、あまりにも煩悩ストレート。セーラー服やチャイナ、バニーなどの隠し衣装の方がよっぽど普通に見えてきます。
 ……まぁバッサリ言ってしまうと「中学生が喜びそうな」というのが頭にはつくんですが、家庭用のマシンでここまでストレートにやっちゃった勇気は大いに評価。

 もともとプロデューサーの内田明里氏が、「泥レスゲームを作りたかった」そうで、本作は格闘ゲームではなくプロレスゲーム。慣れない人にとって、瞬時の判断で多くの技を使い分ける格闘ゲームはなかなか難しいものがありますが、そのへん使う技は実質打撃と投げの二択と非常に解りやすくなっております。
 技をかけてゲージをため、より強力なキラームーブやリーサルムーブ、そしてある意味本作のキモであるHムーブを決めることが試合を左右する決定打。
 ただ、やはりあまりの解りやすさゆえにカケヒキが生まれにくい、悪く言えば「チャラい」ということで、プロレスゲームとしての評価はちょっとキツ目。

 凝りに凝りまくった入場シーンを楽しみ、簡単かつ適当にバシバシ試合をこなしてタイトルを取り、キャラを海岸やロッカールームに連れ込んで凝った衣装に着替えさせ、ちょっとエッチな動きをさせてみる。要は家庭用のライトエロゲーと思えば、充分に楽しめます。隠しコスチュームの入手も、DOAに比べれば遥かに簡単です。
 今や「新・ブログの女王」となった中川翔子の、歌手デビュー前の歌が聴けるのは、たぶんこのゲームだけでしょうし。

(2006.09.14)