レッドファクション:ゲリラ

2009年8月6日発売/スパイク/90点

 タイトルからして既に血なまぐさい空気がプンプンしてますが、いかに脳力トレーニングがはやっているとはいえ、 火星とゲリラで破壊 というエキセントリックな三つの単語の組み合わせから「萌え」を導ける日本人というのは、1億2000万人中、3人くらいじゃないでしょうか?

 本作は火星という広大なオープンワールドを舞台に、“破壊”をキーワードとし、ゲリラ組織が自由を取り戻すオープンワールドアクション。
「破壊」という行為に変質的に拘った本作は、「破壊」することに全てのパワーをつぎこんでしまった結果、それ以外の要素が実に中途半端という、究極にわかりやすいデキ。
 とにかく、画面上に存在するありとあらゆるものが、ありとあらゆる兵器で破壊できます。しかも、破壊の手段も、壊すだけでなく溶かしてみたり原子分解させてみたりと豊富で、この面白さ、カタルシスは、明らかにこれまでのゲームには無い、新しい快感です。
 破壊された物体の散り際がこれまた妙に美しく、しかも破壊した建物から回収した物体から新たな武器の開発や既存武器のパワーアップができるなど、継続プレイの心理をくすぐる成長要素も用意してあり、飽きさせません。
 ハンマーや爆弾などのありきたりな武器に飽きたら、今度は分子破壊銃を乱射してみたり、巨大ロボに乗り込み悪のメガデウスを気取って破壊の限りを尽くすことも可能です。

 メインミッションが短く、サブミッションが豊富というのも、個人的には好印象。
 なによりもサクサクと進めることができるので、小難しいことを考えずに破壊に専念できるのがいいですね。
 基本的にヌルめの難易度ですが、それでも敵に囲まれたら即死もアリという絶妙な歯応えもいい感じ。
 また、記録されている要素も多いので、自分の破壊活動を思う存分に見直して、身体を熱くさせたり背筋を冷やしたりするのも自由自在です。

 ……という、本作独特の素晴らしい点を上げたところで、今度は残念なところ。

 正直、上記以外の点は、ゲームとしての基本的なことも含めて、総じてパワー不足。
 ストーリーは陳腐すぎて内容は殆ど無い。しかもほとんどの人物が英語で喋ってるのに字幕すら出ないという謎仕様。
 サブミッションも数だけは豊富だけど、内容的に似たようなものが多い気がする。そのためか、数の割りにボリューム不足を感じてしまう。
 敵の種類は少なく、せっかくの火星も開発途上なのか、あまりに殺風景で地味。そのわりにマップはやたら広く、ストーリー後半にバックパックを入手するまで移動がやや苦痛。
 オンラインは独特のルールが非常に面白いものの、バランスは大味。ひたすら大味。

 怪獣が様々な街をひたすら破壊していく海外産ゲーム「ランペイジ」が、雰囲気的には一番近いかな。
 とにかく、「気に入らないヤツはついてくるな」という、0点か100点かの極端な指向で作られているため、破壊行為にカタルシスを見出せなければ、ただの手抜きゲーと断罪されてしまうかもしれません。
 私は大好きですが、購入の際は、まず体験版などのプレイをお勧めします。