リッジレーサー6

2005年12月10日発売/ナムコ/59点

 もうこれも、新ハードが立ち上がるたびに本体と同時発売することに命をかけているんじゃないかとも思える、お馴染みのシリーズですね。本体と同時発売を謳いながらも、平気で発売延期を繰り返すタイトル(360で言えば「DOA4」「em」「ナインティナイン・ナイツ」あたり)に比べれば、遥かに心証が宜しい。

 印象的には、これの一年前に出たPSPの「リッジレーサーズ」の正統進化版という感じ。
 もう10年以上も続く長いシリーズですから、ファンならば安心してプレイできますが、やはり急いで作ったところがあるのか、たまにフリーズしたり誤字がちょくちょくあったり、オンライン対戦をしたときにスタート地点に相手の車が残る(タイムラグやフリーズが発生した場合、そのプレイヤーの車の残滓が取り残されるバグ。本人は普通に走っているが、“残滓”には判定が残っているので、障害物になってしまう)ことがあったりと、ちょっと詰めの甘さが見られるのは残念。

 こういうゲームは車がどうの挙動がどうのと詳しく言い始めたらキリがありませんが、その辺は良くも悪くもアバウトな「リッジ」。ドリフトがめちゃめちゃ簡単に出来て、ニトロがもりもり溜まっていくので、走りの爽快感なら、他のゲームに引けをとりません。
 登場する車種やコースがすべて架空のもの、というのもシリーズ恒例で、このあたりがリアルを求めるファンにとってはちょっととっつき辛い所かもしれませんが、車の知識なんざ放っといて、とりあえず走れればいいさぁ、という私みたいないい加減なプレイヤーには一切関係なく楽しめます。
 どちらかというと精神をスリ減らしながら極めていくタイプのゲームじゃないので、気軽にレースを楽しみたいタイプの人向け。超リアル志向で第一コーナーをミスったら即リセットということも、機銃を装備してなにもかもを破壊しながらイイヤッホオウウだけど撃たれたら即死ィィッということもなく、気軽に黙々と走りこめます。
 どうでもいいけどニトロ禁止のコースで、CPUが平気でニトロ吹かしてくるのはどういう料簡だ。

 ただまあやはり、同機種出ている他のレースゲームに比べたら、流石に見劣りがするのも事実。確かにこれは「リッジ」であり「リッジ」以外の何者でもないんだけど、それ故にシンプル、かつ地味。
 このゲームが車体のモデリングや全体のグラフィックなどに驚かれたのはもう昔。本作も良く作りこんであって、決して「悪い」とは言いませんが、他社の最新ゲームには流石に及ばないかな。ちょっと画面が暗いし(ただし、きちんとプレイ中の視点を考えて作っているあたりは好印象)。
 モードが多いのは良いんですが、わりと早く作業になってしまいがちで、飽きるのは早いかも。
 あと、トリプルニトロを発動した時のブラー効果(あまりのスピード感に視界が狭くなる現象)は、入れなくても良かったんじゃなかろうか。

 本作の正しい楽しみ方は、一人用のモードでこつこつとポイントを貯め、愛車を手に入れたらLiveでのボイスチャットで騒ぎながらレースを楽しむことですね。
 今なら2000円くらいで手に入るし、それほど気負わず気軽に楽しむには最適の一本かもしれません。

(2006.10.18)