圧倒的なスピード感と「エアロバキバキ」の狂いまくったチューニングで人気の高い、エレクトロニック・アーツ(EA)の公道レースゲーム。コンシューマー版の初期作品では「オーバードライビン」という名称でしたが、PC版に合わせて現在のタイトルに変更になっています。
このシリーズを当初製作したのはエレクトロニック・アーツ・カナダ。この会社は91年にEAに買収される前、ディスティンクティブ・ソフトウェアという社名だった頃から「テストドライブ2」を手がけるなど、レースゲームのノウハウがあったのですが、92年後半からEAシアトルと共にこのシリーズを手がけています。そして2002年からバンクーバーのブラックボックス・ソフトウェア(現・エレクトロニック・アーツ・ブラックボックス)を加えた3ラインでシリーズを手がけているようです。
そして、この「ニード・フォー・スピード カーボン」を手がけたのは、そのエレクトロニック・アーツ・ブラックボックスだったりします。
(ちなみに、2005年に出た「ニード・フォー・スピード モストウォンテッド」を手がけたのは、EAカナダ)
本作は、このXbox360版以外にも、PS3、Wii、PS2、PSP、PC、DSで発売されており、ちょっと頑張りすぎじゃないかとも思える本作、正式には「モストウォンテッド」の続編ということになってますが、システムや車は「モストウォンテッド」、ステージを「アンダーグラウンド」から引き継いだ合作、といった印象ですね。今回も日米欧の有名車がゾロゾロ実名で登場しております(そのぶん、コピーライトが物凄いことになってます)。
今回はヒロイン(レーススターターのお姉さん)に日本人アーティストmelody.と、女優のエマニュエル・ヴォージアを起用。相変わらず金かけてますが、melody.演じる「ユキ」はともかく、エマニュエル・ヴォージア演じる「ニッキ」が頼りがいありすぎ。いや、確かに美人に違いないんですが、どうも残虐超人に堕ちたララ・クロフト(トゥーム・レイダース)という印象が頭から離れません。
気のせいでしょうけど、たぶん。誰かそう言え。
(ちなみに実物のmelody.本人もかなりの美人です。エマニュエルは、もうちょっと化粧が薄いほうが美人に見えるけどな〜、勿体無い。いや、すいません、話が逸れました)
シナリオモードの舞台は、懐かしのパルモント・シティ。せめぎ合う三つの珍走団。危険な山や峠をチームで攻めながら、グループのテリトリーを広げていくのですが、まあ一言で言えば「頭文字D」です。
山や峠だけあって、とにかく道が狭い、カーブがきついです。大排気量の車でブッ飛ばすだけではだめで、かなり正確なドライビング・テクニックを要求されます。
基本がチーム戦なので、作戦もかなり重要。運転を誤れば谷底まで真っ逆さま。スリルという点では、過去最高ですね。
しかし難易度という面では、良くも悪くも前作よりもむしろ簡単になってる気がします。
スピード感が薄れてしまったのは、舞台が舞台だけに仕方がないのですが、警察がなかなか気づいてくれなくなった(その代わり動きは良くなった)、幅広くチューニングできるわりにエアロが貧弱になった、ドリフトするとかなり滑る、ステージが夜である必然性がない、と、ちょっと急いで作っちゃったかな、という箇所もちらほら。
けれども、ヤリコミ要素は相変わらず豊富だし、オンライン対戦がめっちゃめちゃ楽しいです。どうせなら前作と一緒に楽しむのが、正しい遊び方かもしれません。
(2007.01.10)