真・三國無双4 Special

2005年12月22日発売/コーエー/81点

 実は三国志が大好きです。子供の頃に「横山光輝 三国志」に直撃を受けてから、「三国志」の名のつくものは小説だろうが漫画だろうが、大抵読んでます。さすがにゲームは高額商品なので、おいそれと纏めて購入というわけにはいきませんが、歴史SLGものは少なからずプレイしてます。
 ですので、今ではすっかり武将の名前を見ると燃える体質。歴史SLGでは国盗りと政治がプレイの主眼のため、領主の政治や軍師の作戦など頭脳方面の能力が目立ち、武将の強さは「武力」とか「体力」とかのパラメータで現されることが多く、実際の暴れ様は想像の中の出来事でした。
 ですから、この「真・三国無双」シリーズの登場は、まさしく奇跡。

 まさか、董卓が大軍のド真ん中でボディプレスをかますゲームができるなんて思いもせんわな。

 三国志マニア=武将ファンということもあって、毎回毎回新作が出るたびに新登場する武将の名前を見てニヤニヤしてるなんて、自分で想像して死にたくなってきます。
 だって、あの呂布や孫策が自分で動かせるんだぜ? どっかの悪の組織に洗脳されたグレート・サスケみたいなマスクマン魏延を見たときは倒れそうになりましたが、よきかなよきかな、キャラクターを通して製作者の三国志感を垣間見れるのも面白いところです。
 劉備や曹操、孫親子のような主君組や、呂布や関羽、趙雲に馬超といった超有名な猛将に加え、女性武将も存在。大喬・小喬姉妹(ビッグサイズの扇子で敵を撲殺)の、小柄でロリ顔で巨乳という余りのビジュアルに、彼女らの旦那である孫策と周瑜にマニア趣味疑惑が囁かれたのも懐かしい話。
 この4でも曹丕や関平、星彩(張飛の娘)など面白い選抜で、ゲームを盛り上げます。

 もともとコーエーといえば光栄時代から三国志はじめ歴史シミュレーションの一大ブランドですが、昔からどっかおかしな芸風をもった会社でもありました。
 PCを主戦場にしてたときからその兆候はありましたが、家庭用ハードの性能が加速度的に上がるにつれ、その芸風も微妙に拡大。いきなり三国志を格闘ゲームにしてみるなんて、普通は考えないって。
 で、その格闘ゲーム「三国無双」の続編が「真・三国無双」にあたります。一つの画面内でたくさんのキャラクターを戦わせたら爽快じゃん!という実に単純な思いつきを、壮絶なプログラミング技術を駆使してPS2を酷使しながら無理やり実現させるという、実にコーエーらしい力技炸裂で、感動したもんです。
 ……が、作品がヒットしたら当然その続編の話が出てくるのですが。
 その後の商品展開もコーエーイズム全開であり、コンシューマーだっつーのに同じタイトルで次々とバージョンアップ版を出し、ファンの財布を細らせていくニクイ戦略。で、それがまた面白いもんだから、文句も言えないと来た。
「真・三國無双」のナンバリング自体は「4」までですが、猛将伝だのスペシャルだのエンパイアーズだの、関連商品が一体幾つ出てるんだか。全部買ってる人を尊敬する次第です。

 で、それはさておき、360版の「真・三國無双4 Special」です。PS2で出た「真・三国無双4」と「猛将伝」を足して、ちょこっと内容を削ったような一品。正直、グラフィックが良くなった以外、PS2版との違いがわかりません。
 このシリーズをプレイしたことがない人ならば大いに感動できるでしょうけれども、本作を買う人って、やはり事前にPS2版を遊びつくした人が多いでしょうから、物足りなさが目立つかもね。

 遊べるモードは5つ、48人の武将のストーリーを追っていく「無双モード」、新エピソードや架空のシナリオをプレイできる「外伝モード」、パワーアップしながらランダムで出てくるショートシナリオをひたすらクリアする「修羅モード」、6種類の条件付コースを極める「チャレンジモード」、好きな武将で好きなだけ暴れまわる「フリーモード」。
 単純にバッサバッサと大暴れし、敵を百人単位で薙倒すのが楽しい本作。新アクションも登場し、爽快感が毎回上がっているのが信じられません。
 PS2版をやった人はわざわざ手を出す必要はありませんが、初めてプレイする人には充分お勧めできます。

(2006.09.18)