ラストレムナント

2008年11月20日発売/スクウェア・エニックス/18点

 ミトラ、ヤーマ、クシティ、ソバニ……。4つの種族が織り成す、あるひとつの世界。
 そこには、遙か古代より「レムナント」と呼ばれる謎の物体が存在していた。誰が、何時、何のために造ったのか……。
 人々はそれを知ることも、知る術もなく、ただひたすらに「レムナント」の持つ巨大な「力」を引き出し、利用し、生き続けてきたのだった。
 しかし、大きすぎる「力」は、世界の輪を少しずつ歪めていく。いつしか、支配する者と支配される者とに別れてしまった人々は、永き戦乱の世へと、その足を踏み入れていくのであった。
 それからおよそ1000年……。
 物語はレムナントの力が及ばない最果ての島、ユラムから動き出す。
 ラッシュとイリーナの兄妹は平和な生活を営んでいたが、突如として表れた謎の一団によって、イリーナが浚われてしまう。
 妹と奪還するため、そしてその魅に隠された謎を明かすため、ラッシュは島を出る決意をするのだった。

 スクウェア・エニックスが、日本/アメリカ/ヨーロッパ同時発売という壮大な規模で贈る新ブランドRPG。
 これまでにないほどの美しいグラフィック、大軍勢でのコマンドバトルなど、美麗な概観と複雑なシステムを落とし込んだ気合の入りっぷりは尋常ではありません。

 ただ、演出に気合が入りすぎて説明不足なところも多く、ついていけないところもかなりありますけど。

 システムでまず良いのは、どこでもセーブが可能なこと。
 メニュー画面が開けるところならどこでもセーブができるので、安心して死ねます。
 
というか、実際のとこ、これがないととてもじゃないけどやってられないので、厳しい言い方をすれば最低限のユーザーフレンドリーかな、と。

 ちょっと明度が低いかな、という気はするけど、グラフィックはさすがにキレイで、ムービーも弩迫力。
 覇王との戦闘なんかは、脊髄にビリビリくる熱さで、思わずコントローラーを握る手にも力が入ります。
 ただ、キャラクター、特にヤーマ、クシティ、ソバニといった種族には非常に魅力があるものの、ストーリー自体は良くもなく悪くもなく、ぶっちゃけわりと普通で、新しい局面になっても「あ、そーなんだ」と軽く流してしまいそうなほど奇抜な展開はないので、期待しすぎるとちょっと冷めてしまうかも。

 ここまでは、まだなんとか耐えられるレベル。
 本作の最大の問題点は、最大のウリであるはずの戦闘における不具合(バグではないが)や、説明不足の不親切からくる壮絶な難易度。
 前述のとおり、本作は日米欧同時発売という壮挙をやっているものの、難易度に関しては完全に欧米向けの調整で、日本人置いてきぼり。
 しかも、システムや編成について決定的に説明不測で、「死にまくって覚えろ」という鬼教官仕様のため、理解するまで時間とストレスが異常に積もります。
 ひょっとして開発者全員、覇王なんですか?
 特に、状態異常についてマニュアルになんも書いて無いうえに回復が非常にしにくい(複数のユニットがピンチに陥った場合、救助の順番はランダムになってしまう)ので、とにかく怖い怖い。
 戦闘から逃走することもできないし、ザコ敵との連戦がめっちゃ辛いです。そうかと言ってボスは必ずと言っていいほど全体攻撃を持っているため、回復の使いにくさも手伝ってアホみたいな難易度になってます。
 10〜20回どころか、クリアするまで死亡回数三桁とかザラ。

 マンネリにならないように気を使った形跡はありますが、残念ながらゲームのシステムやバランスが根こそぎ崩壊しているので、絶対に万人にお勧めできるようなゲームではありません。
「開発者になら嬲り殺されても本望」というほどのスクエニマニアか、本物のマゾヒストか、希望に溢れまくった人生で一度は本物の絶望を知りたい方か。
 とてもじゃないけど、そのような特殊な人種にしかお勧めはできないです。

(2009.09.10)