剣豪ZERO

2006年9月7日発売/元気/4点

「剣豪」シリーズは、2000年にPS2に登場して以降、順調にシリーズを重ねている剣劇アクション。どちらかというと携帯電話用のコンテンツの方が元気がいいようで、コンシューマはこの「剣豪ZERO」で四作目ですが、携帯用アプリはすでに倍の八作品がリリース(配信)されています。
 ある意味基本に忠実な剣劇アクションで、大技炸裂な派手さよりも、攻め・捌き・崩しという三竦みの駆け引きを楽しむゲーム…と言えばギリギリの緊張感を身体で感じながら渋く極めるゼ!というイメージを持ってしまいそうですが、なにせ製作チームが過去に作ったのがあの「ブシドーブレード」ということで、引いてはいけない禁断の血を色濃く受け継いでしまった忌み子でもあり、一撃死なんて当然の如く起こりますけど。

 そして、さいとうたかを御大の描く素晴らしく濃い宮本武蔵(推定)が燦然とパッケージに輝く本作「ZERO」は、基本的に延々と続けられた前作までとは違い、ステージクリア型に変貌。
 登場する剣豪は、宮本武蔵、佐々木小次郎、岡田以蔵、堀部安兵衛、柳生十兵衛、坂本龍馬、沖田総司、伊藤一刀斎、千葉佐那子の9名。
 え? たった9名? そう、たった9名です。
 ちなみに前作では番外を含めて40人いました。少数精鋭という言葉も使いようですが、キャラの78%をリストラする続編という衝撃の事実に、制作会社がどういう状況にあったのか、納得のいく説明が欲しいものです。

 そしてその人員リストラの影響を内容までまともにうけてしまたようで、本作、内容はスッカスカ。

 発売前からやかましく宣伝されていたグラフィックは、「見ようによっては」悪くありません。それも「技術的には悪くない」という意味で、正直センス的には「?」を連呼。直前までPS2用に製作してたって噂は本当でしょうか。
 シナリオの内容なんて無いも同然です。たった9人しかいないのに、セリフが違うだけで動作はみんな同じ。もう少し脳を動かして作ってくれよ。なんで意地でも9人総当りにしたがるんだよ。

 そして一番ワケがわからないのが、XboxLiveでの通信対戦。なんとAIによるオート操作で、プレイヤーは見てるだけ。なんじゃそりゃあ!
 実はストーリーモードをプレイするとプレイヤーの操作の癖をキャラクターが憶えていきます。これが育成要素に繋がってるんですね。当然、上手にクリアすれば、それだけ強い“分身”が出来上がるわけで、プレイヤーの腕が問われるわけなんですが、どうして素直に対戦させてくれないかね。
 面白い要素といえば面白いんですけど、ここまで散々ツンっぷりを見せ付けられているので、正直には楽しめないのが実情。

 他にも、アイテムの収集要素が殆どゼロになった、ステージの使い回しが多い、カメラ周りの設定が悪くてすぐにキャラが画面から出てしまうなど、どうにもこうにも手の施しようが…。
 正直、一回クリアしてしまうともう駄目です。AIによるLIVE対戦によほどのめりこまない限り、もうグダグダ。
 ぶっちゃけかましてよかですか? 金返せ!