インフィニット・アンディスカバリー

2008年9月11日発売/スクウェア・エニックス/0点

このレビューは、かなり感情的な文章を含んでいます。ご注意ください。

 このタイトルを見るだけで目を背けたくなる人、けっこういるのでは?

 モノを売るには、ある程度のコツがありまして、広報活動さえ成功すれば、どんな酷い商品でもある程度は売れるという、ちょっと極端な言い方ですが、大体世の中なんてそんなもんです。
 たとえそれでユーザーやプレイヤーを敵に回すことになっても、結局メーカーには金が入ってくるわけで、デキが酷くて評価は散々でも商業的には大成功、という矛盾した結果が出てきます。

 そこで、広報の成功を自分の成功と勘違いしちゃったお馬鹿クリエイターなんかが、結局は会社を潰しちゃうわけなんですが、スクエニほどの大きな会社になると、一本や二本の失敗なんかじゃビクともしないかもしれませんね。

 本作「インフィニット・アンディスカバリー」は、「スターオーシャン」や「ヴァルキリープロファイル」で知られるトライエース製作のファンタジーRPG。
 とにかく、「360の明日を担うのは僕たちだ!」と言わんばかりに、あらゆるメディアで大々的に広告を撃ち込んでプレイヤーを煽りまくった結果、「トライエース先生の次回作にご期待ください!」と、猛烈な速度で打ち切られてしまったバトル漫画さながらに世間からソッポ向かれてしまった驚異の一品。
 というか、このゲームのいいところって、マジでどこ?

 まずインターフェース最悪。
 戦闘を完全シームレスにした度胸には感服するが、メニューを開いている間も時間が流れ続けているため、回復アイテムを使いながら敵に殴られ放題など、めちゃくちゃな場面が頻繁に出てくる。
 その上、メニューの数が膨大で、毎回毎回一から開かなければならず、使いにくさも異常。

 そしてシナリオは陳腐
 ライトノベル作家を起用しただけに、世界観は秀逸。
 ルナグラムという月の力で恩恵を受ける世界を舞台に、月と大地を鎖で縛ってしまう封印軍と、月と大地の解放を目指す解放軍との戦いを描いていきます。
「月」というキーワードを徹底して貫く設定は深くて面白いんだけど、残念なことに、デキの悪いライトノベルにありがちな、典型的な「設定負け」になってます。
 ライトノベルが悪いと言うわけではなく、作家の実力如何でいかようにもなる(なってしまう)ということ。特にこのゲームのようにデキの悪いスタッフがいると、悪い意味で感化されることもあるでしょう。
 設定の上に乗っかる肝心のシナリオ自体が、扁平でありがち。
 というかあんだけ話を広げといて、ラスボスの目的はそんなことなの!!??

 加えて、プレイ時間は短いのに、フルボイスですらない
 しかも、あれだけキャラがいるのに、主人公しか操作できない
 トドメに、コネクトシステム考えたヤツ、アホやろ。

 とにかく、何もかもが中途半端というかクンフー不足というか、作った本人たちは楽しめたのかコレ?

(2009.09.10)