ミリタリーゲームというジャンルにはもう欠かせなくなった「トム・クランシー」シリーズの最新作。
原作を担当したトム・クランシーは「レッド・オクトーバーを追え」「ジャック・ライアン シリーズ」等で有名なベストセラー作家。で、あるのと同時に、個人的にどうも著作の邦題の絶妙なダサさがなんともいえない作家さんです(本人には責任はないけどね)。
舞台は2013年のメキシコ。アメリカ特殊部隊グリーンベレーの中でも最精鋭の集団“ゴースト”が、謎のテロリストによって拉致されたアメリカ大統領、そして制圧されたメキシコ首都を救うことができるのか?
グラフィックについては他のゲームで散々書きましたんでもう書きませんが、何が凄いって、その製作の規模。なんと米軍全面協力で、軍事の最新技術、最新装備を余すところ無く再現。
アメリカ軍って実はわりとこういうのに簡単に協力してくれるらしく、テレンス・ヤングが朝鮮戦争の映画「インチョン!」(1982)を撮ったときは、わざわざ1500人もの軍人をエキストラとして派遣したりと物凄い協力ぶり。
ま、「インチョン」は韓国側のスポンサーに集団結婚式で有名な某教会がいたおかげで、(宗教団体と国防総省が結びついているという悪印象を与えない為)さっさと映画に対する支持を取り下げちゃってますけど。
ちなみにこの「インチョン!」、110億円という世界最悪の赤字を出した映画(※)として有名で、同年のゴールデンラズベリー賞(世界最低の映画を選ぶ賞)で最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞、最低主演男優賞の4部門を堂々受賞、最低助演男優賞にもノミネートされてましたが、助演男優って三船敏郎じゃなかったかな、たしか。アメリカ軍が支持を取り下げたのとは関係ないと思いますけど、たぶん。
すいません、ゲームに全然関係ありませんでした。
(※……ただし、赤字の記録は1982年当時のもの。現在、世界一の赤字を出した映画とされているのは、劇場版「ファイナルファンタジー」の130億円)
で、その米軍が気前良く、まだ完成もしていない(研究中の)技術まで提供してくれたらしく、クロスコムなんて聞いたこともない衛星通信システムで、戦車はもちろん軍事ヘリまでラジコンよろしく操れる始末。うわぁ、現代の軍事技術って凄いのね。
他にも身を乗り出さずに敵を狙えるガンカメラとか最新技術はもちろん、キャラクターが現在日本では取り扱っていない米陸軍正式採用のユニフォームを着用しているなど、そのコダワリはハンパありません。
たしかに、こういうゲームというのは技術と同時に拘ってナンボですが、ここまでやってくれりゃ、ミリタリーファンが全身の水分をヨダレにして垂れ流す気持ちも解ろうというもの。いや、そんなヤツはおらんだろうけれども。
プレイしてまず気になるのが、画面じゅうに散りばめられた物凄い数のアイコン。まあ確かに邪魔にはなりませんし、最新の装備で戦っているんだという実感はありますが、激しく明滅されるとちょっと気になるかも。
また、ここまで「リアル」を振りまいておいて、一度発見した敵は色が変わっていつでも位置を確認でき、その敵の残り体力が表示される、という、「いかにも」なゲーム表現は、没入すればするほど違和感があるかもしれません。
もともと前作よりも出来るアクションが大幅に増え、確実に操作が大変になっているので、このへんの難易度の低下は好き好きでしょうね。部下への指令の出し方も随分簡単になってますし。
……が、まぁそうは言ってもミリタリー初心者には、やはりかなり壁は高いです。音声関係の不備も多く、うっかり命令を聞き逃すこともしばしばで、大変な結果になることも。
第二次大戦モノが多いこのジャンルで、現代〜近未来を扱ったミリタリーものは貴重でしょうから、好きな人は是非プレイしてみて欲しいですが、苦手な人が無理して手を出すジャンルではないような気もします。
(2006.09.18)