フランシス・フォード・コッポラの名作映画を忠実に再現した話題作の続編。
「ゴッドファーザー パート2」を追体験する本作でも前作と変わらず、コルレオーネ・ファミリーのために爆破したり脅迫したり銃撃戦を演じたりと、やりたい放題絶頂でオーイェーッッ!
敵対組織の店舗を片ッ端から襲って自分の傘下においていく様は、日本で言えば、戦国時代の群雄たちの国盗りなどではなく、新宿歌舞伎町か本場広島かで行われたヤクザの抗争のそれ。
血湧き、違う意味で肉が踊る様は、もうヤバイ快感のあまり、長時間のプレイの末にクタクタになってしまうほど。
前作では、マフィアの幹部になっても、結局チンピラの頃とやってることは変わらなかったんですが、「2」では部下を引き連れて指令を出せる「ドンズ・ビュー」が搭載されたおかげで、防衛なんかがすごく楽に。
なにせ、部下を適当に店舗に配置しておけば、敵の攻撃があった場合、自動的に防衛行動をとってくれます。いちいち自分で動かなくてもいいので、アジトの奥でふんぞり返りながら、
「前作の自分は、死んでも代わりがいくらでもいるコマに過ぎなかったのだな」
などと、へんな感慨にふけることに。
部下それぞれに能力差があり、その能力によっては意外な抜け道を見つけ出してきたり、敵を後ろから忍殺してくれたりとバリエーションが生まれ、飽きにくい仕様になっています。
しかし、敵組織の幹部レベルになると、さすがにただでは殺されてくれません。
敵人にはそれぞれ抹殺条件なるものがあり、それを満たさないと、いくらでも復活してきやがります。
車で豪快に轢いたりしても、普通の人間ならペシャンコで一発成仏南ー無ーなはずなんですが、幹部は病院に入院して一定期間がたてば、何事もなかったかのように復活してきます。
きっと、組織のために命を投げ出すよう、病院でロボトミー手術でも施されているのでしょう。
もちろん、退院してきたらもう一回轢いてやるわけですが。
と、ここまで読むと、何でもできてどんなところへも行ける超絶フリーダムな様相を想像してしまいがちですが、残念ながら自由度はさして高くありません。
まずCEROがおかしな横口をかましてくれたのか、本作では、どこでドンパチ銃撃戦をやらかしても、市民が一人も死にません。
そのため、無敵キャラの一般市民が、あらゆる意味で邪魔になります。もともとカメラワークが悪いので、物凄いストレスに。
別にリアルを求めるわけでも無いのだけど、どうせ現実でしてはいけないことがゲーム中でできるなら、とことんまで極めて欲しいという思いはあります。
また、どうしても並べてしまう「GTA」や「セインツ・ロウ」などと比べると、やはり自由度の低さは歴然。
移動手段はダッシュと車しか無いうえに、ジャンプができないので、ほぼ迷路に近い街中の移動がけっこう大変です。
こちとらマフィアのボスを目指す身なんだから、ヘリなどで上空からスパーンと登場させてくれると楽なんですが、映画の内容を追体験させるというコンセプト上、やりにくいんでしょうか。
中盤からお金の使い道もあまり無いので、せめて幕末の後藤象二郎のように、ドラム缶からドル札をブチまけるような使い方で、女の二人や三人でも囲ってみたいものですが、それくらい許してくれCEROよ!
18禁描写は諦めるから! いやもうそれっぽい動きだけでも(以下省略)。
結局のところ、システムのほとんどを前作から継承したおかげで、前作ほどの衝撃はありませんでした。
もちろん、単体で見ればこれもよくできたゲームなんですけど、いろんな意味で前作が面白かったのだな、という再確認になってしまいましたね。
本作の最大の売りは、なんといっても「ゴッドファーザーであること」。それ以上のものでも以下のものでもありません。
(2009.09.10)