円卓の生徒

2010年2月10日発売/エクスペリエンス/69点

 Xbox360初のダンジョンRPG。へー、オープンワールド形式のRPGがたくさん出てるから、ダンジョンRPGも出てるもんだと思いきや、初めてなんですね。
 ……というか、PCからの移植作品ではあるんですが、エクスペリエンスは本作がコンシューマー初挑戦らしい。初めての挑戦で、ダンジョンRPGでしかもXbox360を選ぶなんて、どんだけMやねん。
 製作者が過去ずっと「ウィザードリィ」に関わってきた人なので、あれを想像してもらえれば感覚としては間違いないです。いまどき擬似3Dとはいえ実質2Dのグラフィックや、コマンド選択式のターン制バトルなど、よく言えば懐かしさ、悪く言えば古めかしい一品。
 分かりやすく例えれば、ややマイルドになったウィザードリィ。

 確かに地味といえばたいへん地味なRPGですけど、過去の「ウィザードリィ」と違って、塚本陽子氏(「ロード・オブ・バーミリオン」など)をキャラデザに迎えて今っぽいキャラ・モンスターを配置したり、舞台を学園に持ってくるなど、見た目はややライト感覚。一見すればむしろ「剣と魔法と学園モノ。」に近いかも。
(というか、「剣と魔法と学園モノ。」の一作目は、ここが作った「ウィザードリィ・エクス2」のソースの一部を盗用して作られたことがわかっている)

 プレイヤーは六人の生徒を率いる教師となって、生徒を鍛え上げながら魔王の打倒を目指します。
 厄介なことに魔王には、誰でも自由に操れる「魅了」という能力があり、この「魅了」に負けないように自分の生徒達を育成していかなきゃいけません。生徒とのコミュケーションは本当に進路相談のそれで、生徒の悩みを聞いてやったり、生徒を食事に誘ってやったりと心配していると、そのうち生徒との間にイベントが起こったり。ウィズライクなRPGとは思えません(笑)。

 従来のウィザードリィから難易度が見直されているようで、戦闘はさくさく進むし(ボタン押しっぱなしでもOKだけど、考えてないと死ぬときは死ぬ)、モンスターデザインもカッコいい。なによりロードが速いのがいい。
 生徒との絆を深めていけばどんどんスキルや技を覚えていくので、育成のしがいもあります。

 ただ、やはり地味なのは地味。生徒の6人は固定の存在で、キャラクタークリエイトできるのが主人公だけで、というのは、やっぱり寂しいかも。
 また、フォントが小さいので、色んな情報が確認しづらいのも難。特に数字の見間違いが地味に影響してくるので、そのへんはパッチでなんとか。

 まさに、初心者でもとっつけるダンジョンRPGの王道復古です。派手なところは無いけれども、気がつけばプレイしている、そんな麻薬的な楽しさがあります。
 上記のようにやや文字が見づらいところと、戦闘中にAボタンを押しっぱなしにしているとたまにフリーズするバグがある、などの不具合もありますが、サブクラスを取得して以降はスルメゲーと化します。気軽にプレイできる良作ですね。

(2011.04.04)