コール・オブ・デューティー2

2006年6月15日発売/コナミ/85点

 わざわざ褒めちぎらなくても、新しいゲーム機が発売されるたびに、グラフィックの進化というものには驚かされるものですが、PS3やWii発売直前の現時点において、最強のスペックを誇るのは、間違いなくこのXbox360。
 残念ながら日本市場では先代に引き続き、登場とほぼ同時に半死半生という有様ですが、日本で売るなら日本のマーケットを勉強しろやという声が起こるのはどの業界でも同じようで、特に話題に上がったエレベーター業界ほどではありませんが、マイクロソフトも発売当初はそのツンデレっぷりで非難と失笑を買いました。なにぶん「ツン」の露出が激しすぎて「デレ」の部分が殆ど注目されないままここまできちゃいましたけど。

 そのおかげか、なかなかソフトが出揃わない中、前作で戦場に立つ仮想戦士達にドーパミンとアドレナリンを脳内にドバドバ流出させたニクいヤツが帰ってきました。
 舞台は第二次大戦中の1941年。あなたは米・英・旧ソ連の何れかの国の一平卒となり、戦場を生死をかけて駆け抜けていきます。
 前作はストーリーと演出を大プッシュというわけで、自由度が低いわけではないけれども、基本的には与えられたミッションをクリアし、連鎖的に起こるイベントを体感していくという流れでしたが、本作はそのシステムを一変。
 まず戦闘の自由度が格段に上がり、自分の思い通りのルートを自由に移動できるステージが大幅に増えました。前作では、システム・シナリオの上で予定外の行動をすると割と簡単にゲームオーバーになりましたが、本作ではその機会が激減したわけで、自分の脳が脳漿ではなくドーパミンの中に浮かんでいるのではないかと疑うほどの没入度が体験できます。
 ただまぁ、これは良し悪しで、行ける場所が格段に増えたぶん、敵兵と遭遇する可能性が上がるのも仕方がなく、難易度も自由度に比例して綺麗に上がってます。また、敵の動きが異様にバリエーション豊かで、常に考えながら行動しないと、秒殺確定。
 ああ、自分は勇者の息子でもなければ北斗神拳の伝承者でもないのだと、天を仰ぎながら死の淵で思うことに。

 ゲームはまず、旧ソ連のヴァシーリ・イヴァノビッチ・コスロフ二等兵という舌を噛みそうな名前の新米兵士となり、モスクワから戦闘開始。
 彼のミッションを幾つか達成すると、イギリス軍兵士ジョン・ディビス軍曹のシナリオが選択可能になる、といった具合に、順々にプレイできることが増えていきます。

 ヴァシーリやジョンのいるところは、言うまでもなく戦場です。Xbox360の圧倒的なスペックで描かれる戦場は、まさしく「ナマの生命の崖っぷち」。
 本作では一人で行動する場面は少なく、殆どが大勢の仲間と行動することになるのですが、そこは歴史上最も過酷な戦争であった二次大戦。生々しい質感、生々しい音で、ついさっきまで隣にいた仲間が、次々と、そしてあっさりと死んでいきます。ぬるま湯に頭のてっぺんまで浸かりきった心身に、強烈に穴を穿たれること必死。
 とにかく、ちょっとやそっとじゃクリアできないミッションが多いのですが、ちょっとやり方を変えてみるとあっさりクリアできたとか、そういう「発想の転換」によって達成の美酒を味わう感覚は、まさにプリミティブなゲームの快感そのものです。

 本作にも当然のように、前作で好評を博したネットプレイもできます。
 ……というよりも、むしろこちらの方が本作の楽しみの肝。専用マップがいくつも用意され、プレイモードも新たに二つ追加され、やり応えは抜群。
 相変わらず自分のやられ場面をリプレイしてくれる「キルカム」なんてなんのためにあるのか解らないけど、これはこれで面白いし。ボイスチャットにも対応しているので、極まりまくった外人の部隊に突撃して瞬殺されるのも、外人を挑発してリアルに敵を作るのも自由自在。

 素晴らしいグラフィックと素晴らしい臨場感、そしてなによりも素晴らしい「音」の世界。連射される弾丸と同じくらいの感覚で生命が消費される、倫理の通用しない戦場という舞台。
 一度この世界を体験してしまうと、なまっちょろい萌え判定ツールとかで「あなたはメイド属性アリよ♪ 大勢のメイドに囲まれても、みんなと仲良く暮らせる理想的な御主人様ね♪」などと言われて、ハァン♪などと簡単には萌えられなくなってきます。
 なに、それでも白パンティーには萌える?
 もう一度、戦場行きじゃあ!

(2006.09.14)